マーティ・ウィンゲイト 『殺人は展示する』2023/12/27

図書室の死体』に続く、初版本図書館の事件簿の第二弾。


初版本協会のキュレーター、ヘイリー・バークは初めて企画した公式のイベント、文芸サロンの初開催で神経が張り詰めていた。
それなのに、列車でロンドンから来るはずの講師、アーサー・フィッシュからパディントン駅が閉鎖され、彼は車を運転できないのでサロンに間に合いそうにないと連絡が来る。
急遽ヘイリーの恋人ヴァル・モファットがフィッシュを迎えに行き、無事に文芸サロンは開催される。

そんな時、図書室で手に取ったドロシー・L・セイヤーズの『殺人は広告する』からセイヤーズの私的な手紙が見つかる。
その中にディテクション・クラブに所属する作家の全員がサインした『殺人は広告する』の初版本があることが書かれていた。
展覧会の目玉になると思うヘイリー。
その本はどこにあるのか?

文芸サロンと平行してヘイリーは協会の創設者であるレディ・ジョージアナ・ファウリングと彼女の業績に焦点を絞った展覧会の開催を企画していた。
だが、会場と展覧会マネージャーがまだ決まっていない。
しかし、偶然が彼女の味方をする。
なんとか会場とマネージャーが決まり、理事会も展覧会開催に同意する。
しかし、マネージャーとなったウーナ・アサートンがヘイリーに初版本の謎が解けたとメールしてきた日に、らせん階段の下で死亡しているのを発見される。

果たして事件は解決し、展覧会は開催できるのか。
そして『殺人は広告する』の初版本は見つかるのか。

セイヤーズの『殺人は広告する』の原題は『Murder Must Advertise』で、この本の原題は『Murder is a Must』です。
ピーター卿のシリーズは読んだような気がしますが、面白そうなので再度読んでみようかと思います。(そういえばポワロも読んでないわ)
セイヤーズはオックスフォード大学で最初の学位を取得した女性たちの一人だそうです。

前回は自分の存在価値を証明しようと躍起になっていたヘイリーですが、今回は協会の仕事にも少し慣れてきて、恋人のヴァルがいい影響を与えているのか、落ち着いてきました。
それにともない、協会の事務局長のミセス・ウルガーも角が取れてきて、ヘイリーに対して優しくなっています。
私はミステリ好きのヘイリーのお母さんに興味があります。彼女がいつかバースのミドルバンクハウスにやって来て、ヘイリーと一緒に殺人事件を解いて欲しいです。

三作目は『The Librarian Always Rings Twice』です。
『The Postman Always Rings Twice』のもじりですか。
内容はダフネ・デュ・モーリアの『情炎の海(Frenchman's Creek)』をモチーフにしているそうです。モーリアってあまり日本では有名ではないような…。私が知らないだけかしら。
レディ・ファウリングの孫だと名乗る男性とろくでもない彼女の甥チャールズ・ヘンリー・ディルが現れ、事件が起り、ヘイリーはレディ・ファウリングの過去を辿っていくことになるようです。