ジェニファー・アッカーマン 『からだの一日 あなたの24時間を医学・科学で輪切りにする」2010/01/07

 

自分のからだの中で何が起きているのか、私達は意外と気にしていません。
この本を読むと、人体ってすごいんだと思います。
どういう風にすごいかって。一部を載せて見ます。
 
誰でも知っていますが、人には朝型人間と夜型人間がいます。
この違いは体内時計の性質の違いなんです。
遺伝子にインプットされているので一生変えられないそうです。
たいていの人は軽度から中度の夜行パターンをしています。
子供はヒバリ型(朝型人間)ですが、10代の後半からフクロウ型(夜型)に移行していくそうです。
だから、高校生ぐらいになると、朝起きれない子が増えるんですね。

覚醒のピークも違います。ヒバリ型は午前11時。フクロウ型は午後3時。
心拍数のピークもヒバリ型、午前11時。フクロウ型、午後6時。
好みの運動時間や食事時間、摂取するカフェイン量も違うんだそうです。
フクロウ型の人にとって、普通に働くのって体内時計に合っていないということで、大変ですね。
一般的に人は目覚めてから2時間半から4時間のあいだが一番頭が冴えているそうです。大事な仕事をするのは、この時間帯にしましょうね。

血小板の粘着性が高くなるのは午前8時。歯を抜くのには朝がよさそうです。
でも歯の痛感閾値が一番高いのは午後なのですが・・・。
普通の治療では歯医者には午後に行きましょう。

アルコールの悪影響が最小限になるのは午後5時から6時ぐらいだそうです。
肝臓のアルコール代謝作用が最高レベルに達するからです。
でもどう考えても、この頃には飲めないですね、笑。

運動でレースをするには午後遅くか宵の口がいいそうです。
ジョギングは午後にしましょう。
薬の効き目にも時間が重要だそうです。
どんな薬をいつ投与するのか時間帯を考えて行うと最大の治療効果が得られるそうです。でも実際はそんなことやってません。(やれない?)

なんといっても太った私にショックだったのは、「痩せた人は肥満気味の人に比べて、一日で2時間半も長く身体を動かしている」ということです。
そういえば私って座っているのが好きで、何時間だって平気ですもの。
今年はまめに動くようにしますわ。

面白い内容で、次々と使えそうなことがでてきますが、読み終わる頃には忘れています。困ったものです。

漫画家、一条ゆかり2009/11/14

朝日新聞の「患者を生きる」では緑内障に罹っている一条ゆかりさんのことが掲載されています。
その中で彼女のマンガの書き方が書いてありました。
今は便利になったのですね。パソコンでマンガが描けるんです。
一条さんは2008年からパソコンを使って描いているそうです。
60歳に近い年でも、マンガを描くためには新しいことを覚えてしまう、一条さんの執念には脱帽です。

新しく眼鏡を作ったのを取りに行くついでに、拡大鏡を見てきました。
今はいろいろとあるんですね。
でも仕事で書類などを見るのに、机に置いておいて使用することまでして働きたいかどうかは・・・人によりますが、私は嫌ですね。
そこは一条さんのような芸術家(マンガは芸術よね!)とは違いますから。
私のような凡人はのんびり老後を送るのがよさそうです。

朝日新聞 「患者を生きる 一条ゆかりの欲望」:緑内障編2009/11/11

漫画家の一条ゆかりさんが緑内障であるということは、どこかで聞いたことがあります。
昨日、元同僚がわざわざメールで、朝日新聞朝刊に一条ゆかりさんの緑内障の記事が出ていると教えてくれました。
今日は土曜出勤の代休だったので、図書館に行って見てみました。

一条さんの家系はもともと高眼圧傾向だったらしく、一番上のお姉さんは治療をしており、緑内障は未だ発症していません。
しかし、二番目のお姉さんは緑内障だそうです。
一番上のお姉さんに気をつけるようにと言われたにもかかわらず、一条さんは忙しさから一度眼科に行ったっきりで行かなくなり、その結果、2004年に緑内障であることがわかりました。
わかったけっかけは、たまたま視力検査の紙を見た時に片目がもう一方の目より暗いということに気付き、病院に行き、緑内障であるとわかったそうです。
私が某眼科で緑内障の左目が暗いと言った時に、医師はそんなことないと言いましたが、やっぱり暗いんですね。

彼女の場合は閉塞型と開放型の混合型の慢性緑内障だそうです。
緑内障にはいろいろな種類があり、一条さんのように高眼圧でなる場合もありますが、眼圧が正常でもなる場合があります。
私の場合は怪我が原因の緑内障で、眼圧は正常範囲内です。
彼女はレーザー虹彩切開術を行ったようですが、私の場合、レーザー治療はしても無駄だということで即手術になっています。
緑内障といってもいろいろな種類があるんです。
一般的に人間ドックで眼底検査をして、視神経乳頭陥凹とか書かれて眼科に行く人が多いようです。

一条さんも言っていますが、彼女のような有名人が病気の体験を語るということはとっても意味のあることだと思います。
彼女の記事を読んで、自分もそうではないかと思う人が一人でも早いうちに病院に行ってほしいです。

緑内障の認知度はとっても低いです。
私の同僚などは白内障や老眼と同じだと思っています。
一条さんの記事で、緑内障のことを知ってもらえたらいいなと思います。
彼女の記事はあと4回掲載されるそうです。

血管外科医 大木隆生2009/04/29

NHKプロフェッショナルを見てから、書くまで時間が経っていますが、昨日スーパードクターのTV番組があったようなので(チラッとしか見ていない)、今日書くことにしました。

慈恵会医科大学でステントグラフト手術を行っているのが、血管外科医の大木隆生医師、46歳です。
彼は親の仕事の都合で海外生活が長かったようです。
帰国子女として日本の学校に戻った時に、友達に英語を教え、喜ばれたことをきっかけに、人に喜ばれる仕事をしようと思い、医者になったそうです。。
その後、アメリカに渡り、1億もの年収をかせぐほどになったそうです。
しかし、その地位を捨て、日本に戻ってきたのです。
彼は休むことをしません。夜中まで外来診察をしているのです。
子供と会うのも月に1回ぐらいとか・・・。

びっくりしたのは、手術は成功したのですが、残念ながら術後の合併症を引き起こして亡くなった方のことを放送したことです。
普通なら成功例を放送しますよね。
2007年のプロフェッショナルで放送された幕内雅敏外科医もそうでしたが、こういう医師がいてくれるというだけで、患者にとっては「希望」になります。

大木医師の言うプロフェッショナルとは・・・。

「経済的動機づけではなく、使命感ややりがいをその原動力として事に当たる。それでいて、自己の利害、ときには命もかえりみない、いわばアマチュアリズムの極致」

ミシェル・ザラ 『ホメオパシー療法入門―心と体を同時に癒す”同類の法則”」2007/07/11

今回紹介するホメオパシーの本は、フランス人の医師、ミッシェル・ザラが書いたもので、フランスのホメオパシーがわかる本です。
フランスもイギリスと同じで、レメディは一種類しか出しません。
「最初の診断」という章では、「本音で語りましょう」などと書かれています。
「馬鹿馬鹿しいとか、重要ではないとか、妙だと思っても」話すとよいのだそうです。
慢性病の時は、祖父母の病気や、生まれた状態(自然分娩か鉗子分娩、帝王切開)、母親の妊娠時の様子、子ども時代の特徴(歯が生えたのは、歩いたのは、おしめは・・・)など普通の医師には聞かれないことを、話さなくてはなりません。
でも、なんとなくこれらのことは、病気に関係すると思いますよね。
ところがフランス人は、本に載っていたのですが、「上司が私に恥をかかせて以来、気絶しやすくなりました」とか、「妻が浮気するのではないかと心配で、3年間の間に25キロ太りました」なんてことも話すらしいのです。
「子どもの時、私はミミズと石炭と白墨を食べました」とか、「思春期の頃、血塗れの幻影を見ました」なんて言う人もいるそうです。
どういう子だったのでしょうか、笑。
とにかく、「過去を思い出して、自分に固有の症状を明らかに」するといいそうです。
そうすることによって、医師は「どの症状が目立って独特で例外的な特徴かを、病気に関して推定する」そうです。
この特徴が見つからないか、違っていると、病気は治らなくて、再度合うレメディを探さなければならないのです。

フランスのホメオパシーについて学ぶより、フランス人ってこんなことも言うんだという、例文の方へ関心が行ってしまう本でした。
あ、そういう人は、私だけですかね。

外科医 幕内雅敏2007/07/04

昨日のNHK「プロフェッショナル」に登場したのが、肝臓癌の第一人者である幕内雅敏さんです。
この頃、テレビでよく○○の権威とか、○○のスーパードクターとかが紹介されています。
インターネットの世界より、テレビの方が、誰でも見られることから、反響が多いのではないでしょうか。
私の首の手術をした医師は、私が知っているだけでも、2回ぐらいテレビで紹介されました。
その後、初診待ち4年という噂があります。
手術まで何年かかるんでしょうか?
手術を待っているうちに、症状が進んでしまったりしたら、そう思うとちょっと恐ろしくなります。

肝臓については全く知りませんでしたが、手術がとっても難しいのだそうです。
血管が複雑に入り組んでいるからだそうです。
この医師のすごいところは、他の医師はやらない(やれない?)、肝臓にいくつも転移している腫瘍を全て取ることです。
テレビに出ていた患者さんは、なんと70以上も腫瘍が出来ていて、それをすべて取ったのです。
肝臓の組織は三割残ればいいそうで、だからそれだけ取れるのでしょうが、血管をひとつひとつ止血していかなければならないので、とんでもなく時間がかかります。

彼のモットーは、「365日24時間、医師であれ」。

正月から回診したり、手術中に盲腸になって、激痛がしても手術をやり通したなどという逸話があります。

彼にもにがい経験があります。
32歳の時、東大病院から国立がんセンターへ移った時、金沢から来た、肝臓癌の13歳の男の子の手術をしたときのことです。
肝臓にメスを入れるたびに、大出血が起こりました。
他の医師が大動脈を遮断して、かろうじて命をとりとめたそうです。
この時、彼は人を殺してしまうかもしれないと、こわかったそうです。
肝臓の手術をすれば、こういうことが起こる可能性があるという、知識はあったのですが、考えがおよばなかったと彼は言います。

何故「365日24時間、医師であれ」というのか。
それは、毎日やっていれば、だんだん集中力が出来てくるからだといいます。
「苦労してやっていくと、喜びがある。楽なことには、楽な喜びしかない」
彼の喜びは、患者さんに手術して、元気になって感謝されることだといいます。
また一人、いい医師に会えました。
彼がいう、プロフェッショナルとは・・・。

 「常に細心の注意を払って仕事をして、経験から得た教訓を忘れないで、そして常に新しい工夫をするということを怠らない。最終的には、やはり人事を尽くして天命を待つという心境が開けているということではないでしょうか」

和田静香 『ワガママな病人 VS つかえない医者』2007/03/21

病院に行くのは好きですか?
私はどちらかというと、病院にいくのにあまり躊躇はしない方です。が、やはり産婦人科は絶対に行きたくないですね。
男性だと泌尿器科は嫌でしょうかね?

この本を書いた和田さんは、音楽評論を書いているようですが、とっても病気に対して心配性の人です。
笑っちゃうのは、胃の調子が悪いから胃カメラを飲みましょうと言われ、胃カメラを途中まで入れたところで、気持ち悪いからと、自分でカメラを引っこ抜いたということです。
や~、彼女のことを笑えないですわ。
私は耳鼻咽喉科に行き、喉を見ようとした女医の手を払いのけたことが2回ほどあります。
喉に何かが入るというのが、すごい苦手ですから、もし胃カメラを飲むことになったら、彼女と同じことをしそうです。

盲腸疑惑があるたびに、医者に行って血液検査をしてもらうというのにも、呆れてしまいます。
そんなに右腹が痛いことが多発しますか?

彼女はたぶん精神的なものから、調子が悪いことが多いのでしょうね。
などと、冷静に見られる我々にはわかるのですが、本人は本当にいろいろと痛かったりするので、病気かも・・・と思って病院のはしごをするのでしょう。
でも、何故彼女の心配をわかってあげられる医者がいないのでしょうか?
そのことの方が問題です。
病気だけを診て、人を診ない、そういう医者が多いのでしょうね。

思い返すと、頚椎症の時は、手術をしてもらった病院も含めて、8軒の病院に行きました。
交通事故の患者に間違えられたり、医者にそっぽを向かれたり、歩けるんだったらいいじゃないか、みたいなことを言われたりして、怒りを覚えたことが多々あります。
眼科は長く患っている割に、いい医者に巡り会っています。
ひょっとして、整形外科医っていい人いないのかな・・・?
人の生き死にに関係しないし、失明するという一大事にも関係ないし、意外と人の心の機微がわからないのかもしれませんね。
(自分はそういう整形外科医じゃないという人がいたらすみません)

良い医者を求め、患者は彷徨っているのです。
手術してもらった病院のHPを見ると、なんと初診まで8年かかると書いてあります。
8年なんて、そんなに長く我慢できるんでしょうか?
私なら無理だわ。

医者というのは、本当に大変ですが、やりがいのある仕事だと思います。
だから医者になった人はその自覚を持ち、患者に根気強く付き合ってください。
私たちもいい患者になるように、努力しますから。
でも、和田さんのような患者は困るだろうなぁ・・・。

五島誠二 『殺人病院』2006/09/15

まったく正反対な医者の本とテレビ番組を見ました。

本の題名はズバリ『殺人病院』。儲けしか考えていない病院や、人の命をあずかっているという自覚のない医者や看護師がこれでもかというように出てきます。
 例えば、癌でもないのに、よく検査もせず、乳房切除手術を勧める医師。手術代で儲けるために、必要でもないのに、帝王切開を強要する医師。埃のついた注射針を患者に刺す看護師。治療費を割り増しして、架空請求する病院などなど。
私たちは医師や病院を信じて医療行為を受けています。しかし、何割かの数少ない(と思いたい)心ない医師や看護師、病院経営者のおかげで、安心して私たちの命をあずけられないという現状があります。患者側も、もっと勉強して、利口になっていい医療行為を受けられるようにしなくてはなりませんね。

こういう本を読んだ後に、いやいや医者にだってこういう人がいると、希望を持てるようになるテレビ番組を見ました。「プロフェッショナル」です。旭川赤十字病院の脳外科医、上山博康医師が出ていました。
ゴッドハンドと言われている、アメリカ在住の福島孝徳医師が、もし手術を受けるとしたら、この人にという人です。彼の姿を見れば、どこのおじさん、といいたくなるほどです。通勤には紙袋を持っているのですよ。
彼は、患者は自分の命をかけているのだから、医師も覚悟を持って言い切ると言います。弁護士には手術をすれば大丈夫ですとは言わないようにと言われたけれど、彼は自分の医師というプライドをかけて、言い切るのです。このような覚悟で患者を診ている医師がどれぐらいいるのでしょうか?
彼は言います。プロフェッショナルとは、「過去を通した生きざまで、自分を好きでいられる生きざまを貫くこと」
昨日も書きましたが、人は理想と現実のギャップに悩みます。でも、何とかそのギャップを埋めようと努力していくのです。この努力を止めると、人は堕落していくように思います。
なんとも対照的な本と番組でした。

松田博公 『鍼灸の挑戦 ー自然治癒力を生かす』2006/07/14

この本の中に、いろいろな鍼灸師の人が紹介されています。
大部分の人が、鍼をあまりささない派の人たちです。
私が前に通っていた女性の先生がでていて、びっくりしました。
彼女は結構鍼を何本も打つ人で、私の首が鍼ではよくならなくて、彼女から強く手術を勧められました。
他の鍼灸師のところに行っていたら、手術をしなくてもよかったのかな?もしくは手術の時期が遅くなったかな?などと思ったりします。
この本に名前が載っているからいい鍼灸師と思わずに、よく確かめた方がいいと思います。
この本で紹介されている鍼灸師もこう言っています。

「鍼灸師を選ぶなら、患部だけにブスブスはりをする人は避けるべきです。浅い軽いはりで全身治療ができ、病気体質を健康体質に変えられる人がいいですね」

私が今まで行っていた鍼灸院はこのブスブス患部だけに鍼をさすところでした。
首の具合がよくなったはずなのに、何故身体の具合がよくならないのかと不思議に思っていました。
今まで費やした時間とお金はなんのためだったのでしょうかね。

この本の中で面白いと思ったのは、鍼を科学するという章です。
アメリカでは、民間の医療保険会社がはりの治療費を支払うようになったと書いてあります。(2004年12月)
エイズ患者にはりをすると免疫力が増し、延命効果があることがわかったことがきっかけだそうです。
はりに病気の治療効果だけではなく、予防効果もあることから、保険会社がもうかることになるのです。
合理的なアメリカの保険会社が認めているとは、驚きです。

最終章の「生き方の医学」では、ある鍼灸師が、東洋のみならず、スピリチュアル・ヒーリングなど西洋の医療思想を遍歴して出した結論が、「患者さんが病気をきっかけに魂の奥底の本当の自分に出会うと生き方が変わるだろう。そして真の癒しが訪れるだろう。その手助けができる治療なら、やる価値がありそうだ」というものだそうです。
生き方がその人の病気を作るということでしょう。
鍼治療が深い思想を持って行われているのです。

鍼治療ってどんなものか知りたい人にはお勧めの本です。鍼灸師巡りをしないですむように、是非読んでみてください。

がん治療2006/01/08

夜、テレビで「シリーズ 日本のがん医療を問う2」を見ました。
日本は先進国中、モルヒネの使用量が最下位で、未だに癌治療で、痛みを我慢して癌の治療を続けるか、治療を諦め、痛みを緩和する治療を受けるかという二者選択になってしまうことが多いといいます。
イギリスの例では、患者中心の医療を考え、癌患者の痛みの緩和治療を外来でするデイホスピスをする一方、外来に来られない患者には訪問看護を行っているそうです。
多発性骨髄腫の女性が、痛みをコントロールしながら、仕事を続けている様子も出てきた。
イギリスの医療がすべてよいとはいえませんが(家庭医にかかるまで、だいぶ待たされるらしい)、良いところは取り入れて欲しいと思いました。