和田竜 『のぼうの城』2008/09/03

あまり歴史小説は読みませんが、『三国志』とか『鬼平犯科帳』などは好きです。
それでもシリーズの半分ぐらいになるとだんだんと飽きてきて、最後は惰性で読んでいました、笑。
男性に歴史物が好きな人が多いのは、戦いの場面があるからですかね。

「のぼう」とは「でくのぼう」を略したものです。

豊臣秀吉は天下統一を目前に控え、小田原城を落城せんとしていました。
石田三成は秀吉から「武州・忍城を討ち、武功を立てよ」との命を受け、忍城までやってきます。
忍城は成田氏長が当主で、北条家に使えていたのですが、この戦いは勝ち目がないと密かに秀吉に使者を送り降伏していました。しかし三成はこれを知らされていませんでした。
氏長が小田原に行くため、忍城はその従兄弟の長親にまかされることになります。
長親は表情の乏しい大男で、農作業が好きで手伝おうとするのですが、不器用なため、農民に迷惑がられています。
がその反面、「のぼう様」と呼ばれ親しまれてもいました。
その長親が、三成の使者正家が甲斐姫を秀吉に差し出すように言った時、「戦いまする」と返事をしてしまうのです。
三成率いる二万超の軍勢に対し、成田側は百姓らを徴発して二千強。
さて、勝ち目のない戦いを、彼らはどう戦おうというのでしょうか。

石田三成の性格がおもしろいですね。
周りが何を言おうが自分の我を通し、わざと相手を怒らせるような使者を送ったり、秀吉のまねをして水攻めをしようとしたり、結構理想主義者で頑固な人です。
対する長親も一筋縄にいかない人です。馬鹿なのか利口なのか最後まで分かりません。
こうと決めたら意地でも動かないという三成にも通じる頑固さがあります。

リーダーとはどういう人がいいのでしょうか。
長親のように頼りにならない(ように見せている?)人の場合、この本のように周りがもり立てて、うまくいく場合もありますが、好かれる人柄でなければダメでしょうし。
三成のように、自分の主義に忠実過ぎるのも・・・。

軽く読める本です。もともとが映画化を前提として書かれた脚本を小説化したものだそうで、そんな感じです。

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