「白いカラス」を観る2008/10/20

この映画を観て、吃驚。アンソニー・ホプキンスが太っていました。

ホプキンス演じるコールマン・シルクは古典の教授で学部長でもありました。
しかし授業に出てこない黒人の生徒に対し、"Spooks"という言葉を使ったため、辞任に追い込まれます。
彼はその生徒が黒人とは知りませんでしたが、"Spooks"には「幽霊」という意味の他に「黒人」という侮蔑的な意味があったのです。
家に帰り、このことを話している時に、彼の妻は血栓が出来て死亡してしまいます。
このことに納得のいかないコールマンは、離婚後、森の中で隠遁生活をしている作家のネイサンのところに行き、本にしてくれと言います。
ネイサンは断りますが、それ以来二人は仲よくなります。

ある日、コールマンはネイサンに34歳の女性と付き合っていると告白します。
その女性はフォーニアと言い、裕福な家庭に育ちながらも、継父に性的虐待を受け、14歳の時に家出をしていました。
結婚した元夫レスターはベトナムからの帰還兵で、PTSDで悩んでおり、彼女に暴力をふるうのでした。
彼女はレスターから逃れるために、大学の清掃婦などの仕事をしているのでした。
彼女の家にコールマンがいる時に、レスターが現れ、「男と寝ているときに、2人の子供が焼死した」と言います。
フォーニアは死んだ子供のことで、自分を許せないのでした。
コールマンはフォーニアとのことを最後の恋と言って、周りが反対しても関係を続けます。

実はコールマンにも秘密があったのです。
アメリカでは一滴でも黒人の血が混じっていれば、いかに肌が白くても黒人であると言われてます。
コールマンは肌が白い黒人だったのです。
彼の父親は頭がよかったにもかかわらず、黒人であるが故にいい仕事につけず、列車の給仕をしており、勤務中に倒れて亡くなります。
コールマンはボクシングでいい成績を上げますが、コーチに大学の奨学金がもらいたければ、黒人であることを隠せと言われます。
そして、大学で出来た北欧系ガール・フレンドを家に連れて行った時に、彼女から結婚は無理だと言われます。
別の女性と結婚しようと思った時に、コールマンは決心します。
白人として生きていこうと。

登場人物みんなそれぞれ、心の闇を抱いて生きています。
なんとも言えない映画です。
原作がフィリップ・ロスの"Human Stain"だそうです。
映画ではよくわからなかった部分もあるので、原作を読んでみようかと思います。