梨木香歩 『からくりからくさ』2008/10/31

作者紹介を見て、うなずけました。
彼女の書いた『西の魔女が死んだ』や『裏庭』を読んで感じた、西洋的なものと東洋的なものの融合がどこから来たのかわかったからです。
梨木さんはイギリスに留学し、イギリス人児童文学者に師事したそうです。
彼女の根幹にあるのは、この留学体験かもしれませんね。

この『からくりからくさ』はなんとも不思議なお話です。
蓉子の祖母が亡くなり、彼女が住んでいた家を空けたままにしておくのもと思い、そこに住むことにした蓉子と、その家に下宿することにした3人の女性、そして人形のりかさんのお話です。
蓉子は染色を、紀久は機織りを、与希子はテキスタイルの図案の研究を、そして外国人のマーガレットは鍼灸師学校に通っています。
人形のりかさんにまつわる話から、意外な事実がわかります。

4人の女性たちが手仕事をしているからか、地面にしっかりと足をつけているという感じです。

「人はきっと、日常を生き抜くために生まれるのです。
そしてそのことを伝えるために」

本の中にクルド人が出てきます。
一度しっかりと彼らの歴史を勉強したいと思いました。