帚木蓬生 『白い夏の墓標』2008/10/21

帚木蓬生さんのデビュー作だそうです。
初期の彼は純文学よりもミステリーの方に触手が伸びていたのがよくわかります。
だから今でもミステリー色を出そうとするんですね。
残念ながら、最新作を読んでからこれを読むと、物足りなく感じます。
これから帚木蓬生さんの作品を読もうと思っている方は読まなくてもいいと思います。

ウィルス学会で発表をするためにパリに行った佐伯は、ベルナールというアメリカの元学者から昔の同僚だった黒田の消息を聞きます。
黒田は20数年前にアメリカの研究所に留学したのですが、アメリカで事故死をしたことになっていました。
それなのに、黒田の墓がピレネー近くにあるというのです。
佐伯は黒田の墓を訪れることにします。
そして黒田の墓の世話をしているという女性から、意外な話を聞くことになります。

自分の研究が細菌兵器につかわれるということに気づき、苦悩する黒田ですが、その苦悩やその後にとった行動がどちらかといえば、ありきたりに感じてしまいました。
初期の作品だから仕方がないのでしょうね。