マリインスキー・バレエ 「白鳥の湖」を観る2009/12/02

今日、新聞を見てびっくり。
なんと、あの、マイケル・ムーアが来日してるんですって。
新しい映画、「Capitalism: A Love Story」のプロモーションで、東京証券取引所に現れたらしいです。
彼が日本をどうみるのか、とっても興味があります。できれば映画を撮ってもらいたいぐらいです。


前より太ったような・・・。

さて、マリインスキー・バレエですが・・・。
実は、ウトウトしてしまいました。それもこれも土日にウォーキングに励みすぎ、疲れがでたのが原因のようです(恥)。
あの、「白鳥」ではピカイチと言われているロバートキナが見れたのに・・・。

 12月1日(金)18時半開演

        《キャスト》
オデット/オディール:ウリヤーナ・ロパートキナ
ジークフリート王子:エフゲニー・イワンチェンコ
王妃:エレーナ・バジェーノワ
王子の家庭教師:ソスラン・クラーエフ
道化:グリーゴリー・ポポフ
悪魔ロットバルト:コンスタンチン・ズヴェレフ


今回はとっても見やすい席でラッキーだったのですが、となりの女性がすこし臭くて、ちょっと残念。私、臭いに敏感なんです。

ロシアのバレエ団は容姿も群舞もそろっていて美しいですね。今回もそうでした。
ただ残念だったのは、バレエシューズの音がうるさかったことです。
どのバレエ団でもこんなもんなのでしょうか?
鳥ですから、音をさせないものですよね。
キエフ・バレエの時はこんなに聞こえなかったと思います。
群舞の白鳥達が動くたびに、シューズの音が聞こえ、なにやら集中できませんでした。その上、せっかくロパートキナが出てきて、踊っているのを見ていると眠気が・・・。
それでも彼女の腕の表情が鳥そのもののような感じはわかりました。
よくあんなに腕が曲がったり、動いたりしますね。

第2幕のオディールになった時は、前にナタリヤ・マツァークを見ていたので、ちょっと物足りなく思いました。
ロパートキナはグラン・フェッテなどのような技術より、芸術性で見せるダンサーなのですね。
マリインスキーもボリショイと同じように、道化が出てきて、最後がハッピーエンドでした。
小さな白鳥や大きな白鳥、スペインの踊り、ハンガリーの踊りなどを見ていると、このバレエ団の裾野の広さがわかります。
次回は疲れていない時にじっくりと見ますわ。


バレエを見だしてから思うに、来日するバレエ団がなぜ「白鳥の湖」ばかりやるのでしょう。
「白鳥」ばかりではなく、評判のいいものを見たいです。
例えばレニングラードなら「スパルタクス」とかやってもらいたいものです。
 
マリインスキー・バレエは来週、「イワンと仔馬」とガラを観に行きます。
  

ピーター・トレメイン 『蛇、もっとも禍し』2009/12/03



七世紀アイルランド南部のモアン王国の王の妹で修道女、そしてドーリィ(法廷弁護士)でもあるフィデルマが活躍するシリーズの三作目です。

”三つの泉の鮭”修道院の井戸で、頭部のない女性の死体が見つかります。
フィデルマは調査を命じられ、ロス・アラハーから海路で女子修道院に向かいます。
その途中で乗組員がひとりもいない大型船に遭遇します。
船内を調べると、友のエイダルフにフィデルマがあげた祈祷書が残されていました。エイダルフに何が起こったのでしょうか。
 
”三つの泉の鮭”修道院で事件の解明を目指すフィデルマでしたが、今回は結構大変です。というのも、院長を筆頭になかなか一筋縄でいかない修道女たちが現れるからです。
修道女というと、エゴを捨てた人というイメージがあったのですが、まあ、そこは人間です。なかなか悟れないようですし、修道院にも世俗的な権力争いなどもあるのです。修道院もひとつの社会ですからね。
 
アイルランドには元々土着の信仰があり、後からキリスト教が入り、そのキリスト教も複雑で、アイルランド五王国のキリスト教教会とローマ教会があって、その間には軋轢があったようです。
私など全くわからないので、さらっと読み飛ばしていますが、詳しく調べるとおもしろそうです。
不思議の国、アイルランドです。
 

K・アルヴテーゲン 『影』2009/12/04

ムーア監督、予想どおりテレビに出てましたね。昨日の7時半のNHKで彼を見ました。まさか「笑っていいとも」になんか出ませんよね。

今日はお茶の水に行ってきましたが、イチョウがきれいでした。


新しい携帯のカメラで撮ったのですが、薄暗闇ではあまりよく撮れないです。
神宮外苑のイチョウは見頃でしょうね。明日にでも行ってみようかしら。

K・アルヴテーゲンの小説を初めて読みましたが、おもしろくて最後まで一気に読んでしまいました。
彼女は1965年生まれのスウェーデンの作家です。
人間の中に潜む”弱さ”や”醜さ”を的確な描写力で書いています。

 
ノーベル賞作家アクセル・ラグナーフェルトの息子ヤン=エリックは、父親が脳疾患で全身麻痺になっているのをいいことに、彼の本の契約金で家族経営の会社を作り、その経営者になり、父親の代わりに講演をしていました。
彼は講演をするときに、講演を聞きに来た一人の女性に目をつけ、浮気を繰り返していました。
彼の家庭は崩壊しており、長い間、妻とはろくに会話もせず、肉体的接触もしていませんでした。

ある日、自治体の管財人であるマリアンが電話をしてきて、彼の家で家政婦をしていたイェルダ・パアションが死んだと告げ、葬儀のために彼女の生前の写真が欲しいと言います。
イェルダの写真を探してみるとヤン=エリックは約束します。

父親が入院してから誰も住んでいない家で、父親の書斎を調べ始めたヤン=エリックは、彼がアメリカにいた時に事故で死んだと言われていた妹アニカの死因が書かれた警察の報告書を見つけます。
そこには首吊りによる自殺と書かれていました。
何故アニカは死んだのでしょうか?
ここからラグナーフェルト家の恐ろしい秘密が暴かれていきます。
 
売れない脚本家のクリストファー・サンデブロムも管財人のマリアンから電話をもらいます。彼がイェルダの遺産相続人だと言うのです。
クリストファーには人に言っていない過去がありました。
彼は捨て子だったのです。
自分の親のことを知ることができると喜ぶクリストファーでしたが・・・。

言ってしまえば、スウェーデン版、「家政婦は見た!」ですかね。

ノーベル賞作家はスウェーデンでは国民的英雄なのですね。
名士の仲間入りをし、家名を傷つけることがないように振舞うことを期待されるのです。
社会的名声という美酒に酔うと、人間はどこまで堕ちることができるのかということを考えずにはいられません。
すばらしい芸術家が道徳的に尊敬できるとは限らないというのが世の常識ですが。

k・アルヴテーゲンの本をもっと読みたくなりました。

「パリ・オペラ座のすべて」を観る2009/12/05

アサブロにエディタ機能がついたので、写真を好きなところに入れられるようになりました。この頃写真が多くなったのはそのせいです。
さて、今日の一枚は、日暮里駅構内のツリーです。(携帯のカメラはやっぱり気に入りません)


ツリーは木ではなくて、かわいいぬいぐるみです。FELESSIMO TOYS PROJECTというもので、ぬいぐるみを作り世界の子供にプレゼントするらしいです。

今日は嫌いな渋谷に行って、「パリ・オペラ座のすべて」を観ました。
混んでるというので、ネットで座席を確保。便利ですね。
この映画、相当バレエに詳しくないと、眠くなるかもしれません。
私なんて、土曜日は疲れが出るので、大抵ウトウトしちゃうのですが、この映画でもコンテンポラリーの舞台のところでは半分ウトウトしていました。
淡々とオペラ座バレエ団の日常が描かれています。ナレーションなんてありません。


地下室みたいな無機質な舞台裏(?)、練習をするダンサー達、衣装・小道具の製作、蜂たち(オペラ座に蜂がいるんです)、製作スタッフのミーティングなどなどが映っています。よくカメラを回すのをO.K.したなと思います。

芸術監督のブリジット・ルフェーブルはいろいろな人に会い、話し、指示を出し、意見を交換し・・・と八面六臂の働きをしています。
女性ダンサーが年齢的に無理をしたくないから役を変えて欲しいと言いに来た時も、ちゃんと話を聞いていました。忙しいのに、えらいですね。(下の写真)


彼女が初めて(だと思う)オペラ座に振付をするコリオグラフィーに話している場面で、私の記憶があやふやで悪いのですが、このようなことを言っていたのが印象的でした。
エトワールも(作品に)使えるけれど、彼らは言うなれば時速300キロぐらいで走れる車で、10キロぐらいしか走らせないということはやらないで。
彼らは望まれた以上のことをやるのよ。エトワールは特別な存在なのよ。

アメリカ人の寄付者には特別ツアーが。
特に高額の人には、練習風景やゲネプロまで見せちゃいます。
その上、オペラ座のバルコニー席までついてくるんです。
6人まで座れるので、4人招待できるとか言っていました。
バルコニー席を確保している人とお友達になりたいものです。

おもしろかったのが、「パキータ」を指導をしていた夫婦のバレエ教師・ラコット&テスマー夫妻の掛け合い漫才。
この人たちは意見が合わなくて妻妻がいいというと、夫は僕は嫌いだなんて言うんです。指導される方も困りますよね。

一番印象に残ったのが、「メディアの夢」を踊るエミリー・コゼットです。
子供を殺すメディアを演じたのですが、コリオグラフィーが振りを入れた後、「後は君次第」と突き放すのです。
評判はどうだったのでしょうか?
舞台場面が出たのですが、小さな女の子と男の子に血をなすりつけ、バケツをかぶせ、舞台上に寝せていました。怖いバレエですねぇ。是非とも見たいです、笑。
 
わけのわからないコンテンポラリー作品もありました。
「ベルナルダの家」というもので、なんで黒い服を着た女性たちが「ギャー」と叫ぶのでしょう?不可解です。

姉御と慕っているジロさんも元気な姿を見せていました。
来年には来日して『シンデレラ』に出演してくださるそうです。
私の買った日かどうかわかりませんが、8月頃に「エトワール・ガラ」でまた会えるようです。

バレエの好きな人なら楽しめますが、そうじゃなければ体調万全の時に見た方がいいです。長い映画(160分)ですから。
 

「鳩山民衆サブレー」だ!!2009/12/07

国会に行ってきた同僚から「鳩山民衆サブレー」をもらいました。


国会議事堂では国会みやげとして、いろいろな政治家の似顔絵がついたお菓子やグッズが売ってるそうです。
この「鳩山民衆サブレー」なんかサブタイトルがいいですね。

         一皮むけた「宇宙人」を見て欲しい

だなんて、どんな「宇宙人」だい。

食べてみましたが、結構美味でした。国会に行ったらお土産に買ってみてください。

マリインスキーバレエ 「イワンと仔馬」を観る2009/12/09



      2009年12月8日(火) 19時開演
  振付:アレクセイ・ラトマンスキー
  指揮:ワレリー・ゲルギエフ

     《キャスト》
  姫君:アリーナ・ソーモワ
  イワン/皇子:レオニード・サラファーノフ
  仔馬:グレゴーリー・ポポフ
  侍従:イスロム・バイムラードフ
  皇帝:アンドレイ・イワーノフ
  雌馬/海の女王:エカテリーナ・コンダウーロワ
  大きな馬たち:アンドレイ・エルマコフ
         カミーリ・ヤングラゾフ

「イワンと仔馬」は二晩公演しますが、8日は特別だそうです。
というのも、指揮がゲルギエフさんだからとか。
私、クラッシックは好きですが、あまり指揮者とか知りません。
パンフレットを見ると、すごい人だということがわかりました。
でも、8日しか行かないから、普通の指揮者だとどうなるのかわかりません。
日本のオーケストラよりも音が大きく、メリハリがあったかも・・・。

さて、あらすじは。
二人の兄達とイワンが家にいると、父親が帰ってきて、畑が踏み荒らされている。犯人をなんとかして捕まえなければならない。そう言って息子たちに畑の見張りを言いつけます。兄達はお馬鹿なイワンを置いて、畑に行ってしまいます。
 
イワンはたったひとりで畑に行き、見張りをしました。
そこへ1頭のきれいな雌馬がやってきます。彼女が畑をだいなしにしていたのです。イワンは雌馬を捕まえます。
捕まった雌馬は2頭の大きな馬と特別な力を持ったこぶのある仔馬をあげるから離してくれといいます。
そこに火の鳥が舞い降りてきます。イワンは火の鳥を追いかけます。
兄達が畑にやってきて、二頭の大きな馬を見つけ、さらっていきます。
火の鳥の羽を持ってイワンが畑戻ってみると、馬がいません。
イワンが悲しんでいると仔馬が馬をさらった奴らを追いかける手助けをしてくれると言います。
馬をさらった兄達は広場に行って、馬を売ろうとします。
そこに皇帝がやってきて、馬を気に入り買おうとします。
その時、イワンが仔馬とやってきて、兄達から馬を取り返します。
どうしてもこの馬が欲しい皇帝は、侍従の帽子と引き換えに馬を買うことにします。

場面は変り、おなかいっぱいになった皇帝が眠っている部屋の入り口でイワンも眠っていました。
侍従は寝ているイワンが火の鳥の羽を持っているのを見つけ、羽を盗みます。
そして皇帝に羽を見せます。
皇帝が羽に見とれていると、火の鳥と姫君の幻影が見えてきます。
皇帝はこの姫君に心を奪われ、彼女を見つけて連れてくるようにと命令します。
侍従はこの命令をイワンに伝え、イワンは姫君を探しに行くことになります。
 
イワンと仔馬は火の鳥たちが住んでいる世界の果てに行くことになります。
火の鳥を捕まえようとしますが、失敗してしまいます。
しかし、そこに姫君がいて、イワンのことが気に入ったみたいです。
姫君はイワンと一緒に都に行ってくれることになります。

姫君を連れて宮殿に戻ると、皇帝は姫君と結婚すると言い出します。
姫君は皇帝に海底にある宝石のついた指輪がなければ結婚しないと言い出し、皇帝は困ってしまいます。
侍従は皇帝にイワンを探しに行かせればいいと勧めます。
 
今度は海底に行くことになったイワンと仔馬です。
海底に行っても指輪はどこにもありません。
しかたなく海の王女に助けを求めます。そうすると海の住人たちが指輪を持ってきてくれました。
イワンが指輪を持って宮殿に戻ると、指輪を取り上げられ、もう用がないと言って追い払われました。

皇帝はすぐに結婚したがりますが、皇帝と結婚したくない姫君は、若くてハンサムな夫でないと結婚したくないと言って皇帝を困らせます。
皇帝にぐらぐら湯の煮え立つ大釜の中に飛び込めば、ハンサムで若い姿になれるとそそのかします。
侍従はイワンで試してみるようにと皇帝に勧め、イワンは大釜に落とされますが、仔馬が魔法をかけたので、なんとハンサムな若者に変身します。
それを見た皇帝は自分もそうなろうと、煮えたぎる湯のなかに飛び込みますが、魔法がかかっていないので、死んでしまいます。
皇帝が死んでしまったので、新しい皇帝が必要になります。
イワンが皇帝に選ばれ、姫君と結婚することになります。
めでたし、めでたし。

まあ、なんというか、たわいのない話です。
イワン役のサラファーノフはイワンにぴったりでした。
小柄でかわいくて、生き生きとしていました。仔馬と跳ね回る姿なんか、もうかわいくて、かわいくて。
ガラではアリをやるらしいですが、アリは全くタイプではないと思います。
前に見たことがありますが、身体が小さく童顔なので、アリよりもイワンの方がキャラクター的に合うでしょう。

姫君役のソーモワは愛くるしいという言葉そのもの。サラファーノフといいコンビです。おさげ髪がかわいらしいです。

馬たちの動作がおもしろくて、まねがしたくなりました。雌馬の人カッコいいですね。
仔馬とイワンが一緒に踊るところが好きです。ホント、二人とも軽々と跳ぶんですよ。

衣装や舞台装置がちょっと昔風で、海の住人なんか不気味でしたが、楽しめる舞台でした。
といって、私の好みかと言われると・・・。
ラトマンスキーの振付としては、私的にはボリショイで見た『春の小川』の方が好きです。

マリインスキーバレエ 「オールスター・ガラ」一日目2009/12/12

 

12月10日(木)  19時

《シェエラザード》
シャリヤール王:ソスラン・クラーエフ
王の弟:カレン・ヨアンニシアン
宦官長:ロマン・スクリプキン
ゾベイダ:ウリヤーナ・ロバートキナ
黄金の奴隷:ダニーラ・コルスンツェフ

レニングラードのガラでルジマトフが黄金の奴隷を踊るのを見ました。
エロさでは彼に勝る人はいないでしょう。
見かけで判断してしまいますが、ルジマトフの身体つきが好きなのです。
あ、マリインスキーでしたね。

『シェエラザード』はアラビアの王宮のハーレムの話です。
王は愛妾のゾベイダが浮気をしていると弟に教えられたので、ゾベイダの貞節さそ試そうと、狩に出かけると嘘を言い出かけます。
ここぞとばかりにハーレムの女達は宦官を買収し、男奴隷の部屋の鍵を開けます。そこで繰り広げられる官能の世界。

よくよく考えると、ハーレムの女性達は王に満足していない、あ、そうか。
王はゾベイダに夢中で、他の女の相手をしていなかったということね。
ゾベイダも愛人の黄金の奴隷の部屋の鍵を手に入れ、彼と快楽にふけります。
この時のゾベイダと黄金の奴隷のエロチックなダンスが見物です。
そこへ、王達が戻ってきて、裏切ったものたち全員が殺されます。
ゾベイダは王に許しを請うのですが、許してもらえず、自害します。

ロバートキナは冷たい雰囲気を持ったゾベイダでした。
エロチックと言う感じではなかったですね。
相手の黄金の奴隷が私の趣味ではなかったので、仕方ない(何が?)でしょう。

《ジゼル》
アリーナ・ソーモワ
ミハイル・ロブーヒン

ソーモワは『イワンと仔馬』の時の王女様でした。かわいらしさが印象的な人で、私の好きな(姿が)タイプのダンサーです。
ジゼルは普通でした。もっと霊なのですから、透き通るような硬質な感じが欲しかったです。
  
《グラン・パ・クラッシック》
エフゲーニヤ・オヴラスツォーワ
マクシム・ジュージン

バレエのテクニックをこれでもかと見せつけられるダンスです。
ここら辺からウトウト・モードが始まりました。

《シンデレラ》第2幕のパ・ド・ドゥ
ディアナ・ヴィシニョーワ
イーゴリ・コールプ
 
御免。よく見ていません。なにやら音楽も心地よく、踊りもそれなり。せっかくのコールプなのに・・・。
ラトマンスキー振付けの現代版『シンデレラ』です。

《瀕死の白鳥》
ウリヤーナ・ロバートキナ

ここらで少し、ほんの少し目覚めて着ました。が、まだまだ。
ロバートキナの白鳥はいいという評判なのに、私はいつはっきりと覚醒して見られるのでしょうか。マリインスキーバレエが次に日本に来るのが2012年だとか。それまで待つしかないですね。
でも、ABTの時の白鳥の方が素敵だったような。初めてだったからでしょうか?   

《タランテラ》
ヴィクトリア・テリョーシキナ
レオニード・サラファーノフ

今日の一押しです。会場が盛り上がりました。私の目も少し覚めました。
速いテンポの曲に合わせ、タンバリンを持って踊ります。
サラファーノフはよく飛びます。彼も経験をつんで、もっと深みのあるダンスができるようになると、素敵なダンサーになりますね。
そういえば、彼、アリはやらないんだ。広告と違っていますね。

《海賊》組曲
華やぎの国~メドーラのヴァリエーション~オダリスク~パ・ダクション~コーダ
メドーラ:アリーナ・ソーモワ
コンラッド:エフゲニー・イワンチェンコ
アリ:ウラジーミル・オプラスツォーワ

アリ役は二日間同じ人だったんですね。今頃気づいています。
ホント、10日の私の体調が悪くて、どの演目も記憶がうやむやなんです。
 
明日、11日の感想を書きます。10日に帰ってからよく眠れたので、バッチリ目覚めていました。会場も10日とは違い、熱気がすごかったです。観客も舞台を盛り上げるんですね。

マリインスキー・バレエ「オールスター・ガラ」二日目2009/12/13

 昨日は鎌倉に用事があったので行ってきました。
用事が終わった後に鶴岡八幡宮に行ってみました。


すると、写真のまん中にある神殿で結婚式が行われていました。
観光客らが見守る中、おごそかに式は進んでいたのですが、相棒、変なことを言い出しました。
前の職場に来ていた旅行会社の女性が鎌倉の人と結婚し、ここで式をあげたのですが、まもなく離婚したそうです。鶴岡八幡宮は男女が別れることで有名なんだとか。
こんなこと嘘ですよね。
末永くお幸せになることを祈ります。
 

と他人の幸せを祝った私ですが・・・、おみくじを引くと、「」。
何故?何故なの?今まで凶は京都で一回引いただけです。その時は別に何もなかったんだけれど、今は・・・。ちょっと当たっているかも。
ちゃんと境内に結びつけてきました。神様、お願いだから幸せにしてね。
などと言って、家に帰ってみると、風邪を引いてしまいました。
やっぱり「」は当たってたみたい。喉が痛くて、マスクをして眠りました。
朝起きて、熱はないけれど、ちょっと辛いわ。


さて、マリインスキー・ガラのことです。
二日目は盛り上がりました。観客も熱気ムンムン。ブラボーおじさんはいつ「ブラボー」を言おうかと待ち構えています。
私は前日、よく眠れたので、体調もよく、目もパッチリ。
私の席の斜め横に、外国人のおじさんで手帳を持った人が座りに来ました。
ちょっと普通の観客と違うなぁと思い、後で調べてみると、アクティング・ディレクターのユーリー・ファテーエフさんでした。
公演のたびに細かくチェックしてんのね。
そうそう、オーケストラ、どうにかなんないでしょうか。音が外れていたりして、私にもわかるんですから、ちょっとひどいです。

12月11日(金)  19時

《シェエラザード》
シャリヤール王:ウラジーミル・ポノマリョーフ
王の弟:カレン・ヨアンニシアン
宦官長:ロマン・スクリプキン
ゾベイダ:ディアナ・ヴィシニョーワ
黄金の奴隷:イーゴリ・コールプ

ヴィシニョーワは小柄なのですね。
足も短く(みえる衣装ですが)、シャリヤール王と一緒に踊ると、子供みたいに見えます。
でもコールプと一緒に踊ると気になりません。コールプも小柄ですから。

昨日のロバートキナが冷たい魅力なら、今回のヴィシニョーワは情熱家かも。
コールプもダッシュで駆け込み、君は体育会系?といいたくなるほどハッスルしていました。
コールプが出てくると「ガーリー」と声をかけていましたが、彼のあだ名ですか?

《シンデレラ》第二幕のパ・ド・ドゥ
エフゲーニヤ・オブラスツォーワ
ミハイル・ロブーヒン

う~ん、微妙な振付。オペラ座で『シンデレラ』を見ますが、ひょとしてこのバージョンかしら。全幕だと印象が違うかもね。

《ロミオとジュリエット》バルコニーの場面
ヴィクトリア・テリョーシキナ
エフゲニー・イワンチェンコ

おいおい、この二人で『ロミオとジュリエット』かよ、と言いたくなりました。
私、テリョーシキナのキツネ目がきらいなんです。
その上、イワンチェンコ・・・。
昨日の不気味なコンラッド。ダンサーとしてはこの二人うまいと思いますが、見掛けが・・・。
サラファーノフとソーモワの二人ならよかったかも。

《チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ》
アリーナ・ソーモワ
レオニード・サラファーノフ

かわいいペアです。サラファーノフは軽々と飛んでます。今が一番旬なのでしょうね。楽しみな二人です。

《瀕死の白鳥》
ディアナ・ヴィシニョーワ

今日のガラで、私が一番感動したものです。
好き嫌いはあるのでしょうが、ロバートキナはあくまでも美しく、死につつある白鳥を描きました。
しかし、ヴィシニョーワの白鳥は違います。
傷つき、ボロボロになりながらも、最後の瞬間まで生きていこうという意志のある白鳥です。
見ていると白鳥の痛みが伝わってきました。
この余韻に浸っていたかった・・・。


《ザ・グラン・パ・ド・ドゥ》
ウリヤーナ・ロバートキナ
イーゴリ・コールプ

赤いケリーバックを持ったロバートキナが、ちゃめっけたっぷりで踊りました。
「コールプの世界」で思ったのですが、コールプは観客を楽しませようと言うエンターテイメントの気持ちが強い人なのですね。彼がはじけると、楽しいかも。
ガラでこういう楽しいものをやると、ダンサーも観客も楽しめますね。

《海賊》組曲
メドーラ:ヴィクトリア・テリョーシキナ
コンラッド:ダニーラ・コルスンツェフ
アリ:ウラジーミル・シクリャローフ

昨日もシクリャローフはアリをやっていたようですが、私、今日始めて彼に気がつきました。
結構かわいい顔をしているじゃあありませんか。
サラファーノフに負けないぐらい、頑張っていました。
私、アリは濃いほうが好きなのですが、まあ、彼のようなかわいいアリもガラですからいいですね。
テリョーシキナはテクニックがあるダンサーですね。
でも、私は苦手です。ごめんなさい。

最後のカーテンコールでは、なんと出演者全員が舞台上に登場してくれました。
何故か上から色々な色の紙テープと紙ふぶきが、これでもかというほど大量に落ちてきました。ダンサーの顔が見えなくなるほどです。
ロバートキナが最後まで笑わしてくれました。

今年は後、二つバレエを観ます。来年はいろいろあって、今年ほど見られないような気がします。

池上 英洋 『恋する西洋美術史』2009/12/17

意味深な題名に思えるかもしれませんが、内容は西洋画の中に描かれた恋愛や画家達の恋愛模様を取り上げたものです。

 第一章「恋する画家たち」
 第二章「愛の神話」
 第三章「愛のかけひき」
 第四章「結婚」
 第五章「秘められた愛」
 第六章「禁じられた愛」
 第七章「愛の終わり」
 
こういう感じです。
さて、本の中で特に印象的だったことは・・・。

ルノアールは愛妻家だったらしく、彼の書く女性の豊満さは奥さんのアリアーナからきてたんですね。
有名な「舟遊びの昼食」の左側に座り犬を抱いている女性が出会った頃のアリアーナです。


彼の描く絵から出てくる溢れ出る色彩と暖かさは、奥さんとの幸せな家庭があったからこそなのかもしれません。
 

あどけなさを残した「舟遊び」から母になった喜びが画面から感じられます。
年をとっても、ちゃんと奥さんを描いています。


ルノアールの描くどの絵も、心を暖かくするものですが、それには理由があったのです。彼はこう書いています。

「私にとっては、絵画というのは愛らしく、喜ばしく、かわいらしいものでなければならない。そう、かわいらしくなくては!この世にはただでさえ悲しいことがあふれているのだから、私たちまでがそれを増やす必要はないのだ――」(本文35ページより)

晩年は経済的にも恵まれていた彼ですが、最初はお金に苦労したといいます。
苦労したからこそ彼はこのような愛らしい、暖かい絵を意図的に描くようにしたのですね。
 
同じように妻を描いた画家がいます。
クロード・モネです。
彼の最初の妻カミーユは二人目の子供を産んでから体調を崩し、回復することはなかったといいます。
元気な頃の彼女は「ひなげし」という絵の中に息子と二人でたたずんでいます。


モネはルノアールと比べると、人物より風景に興味があるようです。
そういえばルノアールの有名な絵は人物画ですが、モネは「睡蓮」など風景画が多いですね。
モネはカミーユが亡くなるとき、死にゆく彼女の顔を描きました。


 モネが追求したのは、「光と色の変化」。
死にゆく妻の顔を永遠に残そうとしたのではありません。
モネはあくまでも夫というより画家であったのでしょう。

夫としてみると、ルノアールが人間的で好きですが、絵は・・・。
難しいですね。どちらも捨てがたいです。 
 

「聖なる怪物たち」―シルヴィ・ギエム&アクラム・カーン2009/12/19

西洋のバレエと東洋のカタックとの出会い。
 
カタックとは「北インドの宮廷古典舞踏」で「神話や抒情詩を身振り手振りで語っていたのが起源」とのこと。
パンフレットにも書いてあったのですが、バレエは「上を目指して伸びていく天上志向」で、カタックは「大地に根をおろそうとする」舞踏です。
日本の能などの動きを考えてみても、基本動作は腰を落とした大地をしっかりと踏みしめるものです。
東洋は上ではなく、下へ向かう志向が強いのですね。
農耕民族と狩猟民族の違いでしょうか?
 
 
アクラムはバレエダンサーを見慣れた目には身体がガッチリしすぎています。
ダンサーというより、K-1選手かプロレスラーと言っていいような身体つきです。頭を剃り、ギエムより大分背が低いです。

踊りを見ると、ギエムの手が足が上へと伸びていくのですが、アクラムはどっしりと腰の安定した、それでいて機敏な動きです。
自分のパートが終わると、片隅に座り、汗をふき、水を飲むダンサー。
演奏家も舞台上にいるという、どこか街の片隅、寺院の庭で踊られるような雰囲気です。

ところどころに台詞が入り、自分について語るギエムとアクラム。
東洋と西洋との違いはあっても、踊るということは「聖なる」もの。
東洋的なるものが勝った公演です。

特に二人で踊る場面がすばらしいです。
溶け合うことのない西洋と東洋が、それぞれを主張しながら、混沌と交じり合っていく・・・。
 
音楽を聴きながら、私はこういう音が好きなんだなと思いました。
身体の底が反応する音楽です。
ギエムとアクラムの踊りがなくても聞きに行ったでしょう。

次のアクラムの言葉がこの公演のすべてを表していると思います。

「私はコンテンポラリー・ダンスの世界にいると、ここでは崇高な世界に到達できないと感じる。精神性を見出せないのだ。しかし、古典舞踏に没頭していると、外界に踏み出すことが許されない閉塞感におそわれる。私にとってもっとも素晴らしいのは、双方の世界に手を差し伸ばせる場所なのである」  アクラム・カーン