quiet colors

ブリヂストン美術館にはだいぶ前に行ったことがあります。今回行ってみて、結構気に入りました。展示室がこじんまりしていますが、ゆったりと展示されています。人が少なかったのもよかったのでしょうね。

今回はブリヂストン美術館のコレクション展示なのですが、新しい切り口で12点の絵に焦点を当てています。
その12点はセザンヌ、ルノアール、モネ、クレー、ポロック、藤島武二、小出樽重などの作品です。
画家の紹介とともに、その絵の描かれた背景を詳しく紹介しています。
ただし、字がとってもこまかかったので、私は途中から見るのが嫌になってしまいました。年配の方や数は少なくても私のように目の悪い方が来ることが多いと思いますので、もっと字を大きくしてほしかったと思います。

ポーラ美術館の時も思いましたが、ブリヂストン美術館もいい絵をたくさん持っていますね。

　　ポール・セザンヌ　「サント＝ヴィクトワール山とシャトー・ノワール」

セザンヌ晩年に描かれたサント＝ヴィクトワール山です。この山はセザンヌのお気に入りだったらしく、何枚も描かれています。今まで見た中で、緑が生き生きと描かれているこの絵が一番好きです。

この絵、誰のだと思いますか？美術愛好家ならわかるのでしょうが、私はそれほど知らないので、この絵を見て驚きました。彼もこういう絵を描いていたんだ。タヒチへ行く前の絵なら好きかも。なんてね。
そう、ポール・ゴーガンが描いた「乾草」です。彼の美術展に行ったことがないので、タヒチ以前の彼のことをしりませんでした。勤め人を辞め画家となり移り住んだ町がブルターニュ地方のポン＝タヴェンで、絵はその町から少し離れたル・ブールデュで描かれました。

　　　　　　　　　　カミーユ・コロー　「森の中の若い女」

コローがイタリアの農婦を描いた「森の中の若い女」と「イタリアの女」もいい絵です。彼女の健康的な笑顔がいいです。

　　　　　　パブロ・ピカソ　「腕を組んですわるサルタンパンク」

ポスターに載っているのが、この絵です。キュービズムを追求していたピカソが
1914年から突如として写実的な絵を描き始め、1923年に描かれた絵です。ピアニストのホロビッツが愛蔵していたそうです。

日本人画家では、黒田清輝、藤島武二、藤田嗣治、安井曾太郎、岸田劉生などそうそうたる作品が展示されていました。

　　　　　　　　　　　　　　藤島武二　「黒扇」

12点の中に選ばれていたのが、この「黒扇」です。どういう女性かわかりませんが、キッと見つめた瞳が印象的で気品のある女性です。

今回の展示で気に入った絵を紹介します。まず、ルノワール。

　　　　　　　　　　ピエール＝オーギュスト・ルノワール　
　　　　　　　　「すわるジョルジェット・シャルパンティエ嬢」

おしゃまな女の子がすまして座っています。この絵をきっかけにルノワールは肖像画の依頼が増えて、金銭的に余裕ができたそうです。シャルパンティエ家の絵はほかにも何点か描かれています。

　　　　　　　　　　　ジョルジュ・ルオー　「ピエロ」

この絵と「郊外のキリスト」が展示されていました。ピエロはお客さんを笑わせるのが仕事。仕事の終わった後の一時の静寂が訪れる時のピエロの悲哀が描かれた絵だと思いました。

　　　　　　　　　　オディロン・ルドン　「神秘の語らい」

ルドンの黒の時代以降の作品。ベールをかぶった女性が若い女性に何か話しています。一体何を話しているのでしょうか。側に言って聞いてみたいような気がします。ルドンの絵を部屋に飾って瞑想してみたいですわ。

今回とっても惹かれた絵があります。

　　　　　　　　　　　ザオ・ウーキー　「07.06.85」

ザオ・ウーキーは1921年に北京に生まれ、1948年にパリに移住しフランスで活躍している画家だそうです。
中国の水墨画のような感覚を覚えました。写真にすると小さすぎるので、この絵の持つエネルギーが感じられないでしょう。荒れ狂う海を描いているのか、見ていると引き込まれます。
もう一枚の「風景2004」は中国の山奥にいる感じがしました。
彼の他の作品も見たいと思いました。

売店でいい本を見つけました。『読む　ブリヂストン美術館』（1810円）という本です。コレクションの絵の写真と共に解説が書いてあり、美術のことをあまりよく知らない私にはいい本です。

ティールーム「ジョルジェット」でサンドイッチを食べてみました。
アレ？「ジョルジェット」って、ルノワールの絵の女の子の名前じゃないですか。
綺麗なこじんまりしたティールームですが、店員さんが妙に多いような。隣のおばあさんがホットケーキを頼んでいましたが、HPを見ると書いてありません。
秘密のメニュかしら？それともおばあさんがどこかの美術館のティールームと間違ったのかしら？