近藤 史恵 『モップの精は深夜に現れる』 ― 2011/05/29

表紙のキリコは「奥様は魔女」風ですね。
キリコは服装からしてとっても飛んでいるのですが、結構古風な昔の女性のような価値観を持った子です。
夫の大介の家族のために奮闘しています。
掃除が彼女、本当に好きなのです。
祖母の介護で大変なのにも関わらず、自分の好きな掃除の仕事を続けようとがんばっているのです。
男って駄目ねぇ。
大介の(差別用語ですが、あえて使わせてもらいます)女々しいところ、どうにかしてよと言いたくなります。
キリコは男前です。
内容的に人の心に住む、どろどろとしたものを扱っているのですが、キリコはサラッとその悪意を受け止め、解決していきます。読後はホンワカというところがいいです。
例えば、子どもの心を掴みかねている父親にキリコはこういいます。
「親が自然に子供のことを思っているように、子供だって、自然に親のことを大事に思っているのよ。その愛情を無理に引き出そうとしたり、こねくりまわしたりして、お互いに駄目にしてしまうことはあるだろうけど、自然な状態では、子供はみんな親が好きなんだと思う」
だから反抗期の子供に「愛のある無関心」を心がけなさいと。子供が放っておいてほしい時には放っておく。しかし、いつだって甘えたい時には甘えることができるということを伝える。
お父さん、頑張ってと言いたくなりました。
モデルをやっている女の子にはこう言います。
「どんな仕事をしていたって、代わりの人はいるよ。だって、いなくちゃ困るじゃない。自分が本当に大変で休まなければならなくなったとき、だれも代わってくれないなんて困るよ。本当に困る。代わりがいないのは、友達とか家族とか恋人とか、それだけでいいじゃない」
「でも、わたしは、自分が好きだからここにいるの。ほかに代わりがいるかもしれないけど、それでもここにいたいの。だから、いいの。代わりの人に取られないように、一生懸命やるの」
好きなことを一生懸命やるということは、とってもいいことだと思います。その気持ちがいつまで続くのかが問題なのだけど。
困ったことに、いつのまにか好きなことが変わっていく場合があります。
好きだからやるのではなくて、生活のためにやることに変っていくと、自分だけ大変な思いをしていると思ってしまう人がいるんですね。妻と母と職業人をやっている女性に多いようですが。
同僚にそういう人がいて、笑顔がなくて、いつも怖い顔をしています。たまに新規採用の女の子に当たっています。見ているとかわいそう。
家庭や仕事で一人きりきり舞いしている時は立ち止まってみるとといいかもしれませんね。立ち止まって自分の姿を見てみると、余裕のない自分の姿が見えるでしょうから。
私はもう「頑張る」ことから引退しましたから、彼女をみると病気にならなければいいと思いますけどね。
キリコは部外者だからこそ、色々と見えることがあるのでしょう。
大介はキリコがいついなくなるのだろうと心配ばかりしています。心配する前にキリコを大事にしろよと肩でもたたきたくなります。
この分で行くと、キリコ&大介・シリーズの三作目も発売しそうなので、楽しみに待ちます♪
雨の中、花が咲いていたので携帯のカメラで撮ってみました。


なんの実でしょうね。





ついでに我が家の近くに咲いていた、ツツジらしい花です。

色がドクドクしい。初めてみました。
花屋に行って紫陽花を買ってきました。

色合いは一眼レフよりも携帯カメラの方が好きです。
コメント
トラックバック
このエントリのトラックバックURL: http://coco.asablo.jp/blog/2011/05/29/5887743/tb
※なお、送られたトラックバックはブログの管理者が確認するまで公開されません。
_ 日々の書付 - 2011/06/15 10時23分41秒
キュートな清掃作業員キリコちゃんが、オフィスで起こる様々な問題を解決していくモップの精シリーズ第二弾「モップの精は深夜に現れる」。
前回の最後でキリコちゃんにある変化があったため、いろいろな場所で清掃をするようになります。
相変わらずキュートで頭の回転が早いキリコちゃんは、汚れた場所をきれいにしながらオフィスで起こる様々なトラブルを解決していきます。
モップの精は深夜に現れる (文春文庫)posted with amazlet at 11.05.24近藤 史恵 文藝春秋 (2011-05-10)売り上げランキング: 16278Amazon.co.jp で詳細を見る
・悪い芽
ソフトウェア会社の課長・栗山は最初キリコちゃんの服装に難癖を示して説教をしてしまったが、キリコちゃんの毅然とした態度に感化され、打ち解けるようになる。しかし、新しく配属された上司と新入社員にあやしい動きが。
キリコちゃんはゴミの中身から彼らの計画を察知して栗山さんに伝えます。
最初、説教をたれる栗山さんはあまり好きではなかったのですが、思春期の娘さんとの不仲を、キリコちゃんに相談にのってもらうところなんかは、ちょっと愛すべきお父さんといった感じで好感がもてました。
・鍵のない扉
小さな編集プロダクションで働く編集者のくるみは、ある日突然社長が病死したと知らせをうける。小さなプロダクションのため進退を决めなくてはならなくなるが、仲良くなったキリコから社長の死は病死ではないのではないかと告げられる。猫のアレルギーで喘息持ちの社長の体調を知っている会社に、大量の猫の毛が捨てられていて…。
・オーバー・ザ・レインボウ
モデルの葵は、彼氏のケンゾーが人気モデルサーシャとできちゃった婚をすると聞かされ、そんな彼女に追い打ちをかけるように、メール待ちをしていた屋上で閉めだされてしまう。清掃に来たキリコちゃんに助けられるものの、その後も葵への嫌がらせは続いていく。
いったい犯人の目的は…
・きみに会いたいと思うこと
こちらはキリコちゃんのおうちの話。前作の出会いで結婚したキリコちゃんの夫・大介くんはある日キリコちゃんから「一ヵ月ほど旅行に行っていい?」といわれ、もうキリコちゃんが帰ってこないのではないかと心配になり…。
大介くんは相変わらずキリコちゃんのこととなると右往左往しちゃうのよね。(^^)
ちょっと頼りないけれど、キリコちゃんのことを本当に大切にしてるんだよなあ。
大介くんちでは介護が必要なおばあちゃんがいて、キリコは家事と掃除の仕事とおばあちゃんの介護を引き受けているのに、「世間様」からいろいろ文句が出るなんて、ひどいことだと思います。毎回キリコちゃんの家庭問題は、ちょっと辛辣な社会風刺がきいていて考えさせられます。
毎回、キリコちゃんが出会う人々は、私たちと同じような悩みやストレスを抱えて働いています。そして「自分にしかできないこと」を探し求めています。実はわたしもそうです。仕事をしてると認められたいって気持ちがすごくあるけれど、実際はうまくいかない事のほうが多い。
でも、そんな彼女たちに向けたキリコちゃんが言葉がすてきなんです。わたしは、自分がすきだからここにいるの。ほかに代わりがいるかもしれないけど、それでもここにいたいの。
働くのは大変だけれど、自分の替えはいくらでもいるけれど、でも、それでもがんばっていきたいって思えますね。
モップの精と二匹のアルマジロ (ジョイ・ノベルス)posted with amazlet at 11.05.24近藤 史恵 実業之日本社 売り上げランキング: 21268Amazon.co.jp で詳細を見る
●モップの精シリーズ
・「天使はモップを持って」→
・「モップの魔女は魔法を知ってる」→
JUGEMテーマ:ミステリ
前回の最後でキリコちゃんにある変化があったため、いろいろな場所で清掃をするようになります。
相変わらずキュートで頭の回転が早いキリコちゃんは、汚れた場所をきれいにしながらオフィスで起こる様々なトラブルを解決していきます。
モップの精は深夜に現れる (文春文庫)posted with amazlet at 11.05.24近藤 史恵 文藝春秋 (2011-05-10)売り上げランキング: 16278Amazon.co.jp で詳細を見る
・悪い芽
ソフトウェア会社の課長・栗山は最初キリコちゃんの服装に難癖を示して説教をしてしまったが、キリコちゃんの毅然とした態度に感化され、打ち解けるようになる。しかし、新しく配属された上司と新入社員にあやしい動きが。
キリコちゃんはゴミの中身から彼らの計画を察知して栗山さんに伝えます。
最初、説教をたれる栗山さんはあまり好きではなかったのですが、思春期の娘さんとの不仲を、キリコちゃんに相談にのってもらうところなんかは、ちょっと愛すべきお父さんといった感じで好感がもてました。
・鍵のない扉
小さな編集プロダクションで働く編集者のくるみは、ある日突然社長が病死したと知らせをうける。小さなプロダクションのため進退を决めなくてはならなくなるが、仲良くなったキリコから社長の死は病死ではないのではないかと告げられる。猫のアレルギーで喘息持ちの社長の体調を知っている会社に、大量の猫の毛が捨てられていて…。
・オーバー・ザ・レインボウ
モデルの葵は、彼氏のケンゾーが人気モデルサーシャとできちゃった婚をすると聞かされ、そんな彼女に追い打ちをかけるように、メール待ちをしていた屋上で閉めだされてしまう。清掃に来たキリコちゃんに助けられるものの、その後も葵への嫌がらせは続いていく。
いったい犯人の目的は…
・きみに会いたいと思うこと
こちらはキリコちゃんのおうちの話。前作の出会いで結婚したキリコちゃんの夫・大介くんはある日キリコちゃんから「一ヵ月ほど旅行に行っていい?」といわれ、もうキリコちゃんが帰ってこないのではないかと心配になり…。
大介くんは相変わらずキリコちゃんのこととなると右往左往しちゃうのよね。(^^)
ちょっと頼りないけれど、キリコちゃんのことを本当に大切にしてるんだよなあ。
大介くんちでは介護が必要なおばあちゃんがいて、キリコは家事と掃除の仕事とおばあちゃんの介護を引き受けているのに、「世間様」からいろいろ文句が出るなんて、ひどいことだと思います。毎回キリコちゃんの家庭問題は、ちょっと辛辣な社会風刺がきいていて考えさせられます。
毎回、キリコちゃんが出会う人々は、私たちと同じような悩みやストレスを抱えて働いています。そして「自分にしかできないこと」を探し求めています。実はわたしもそうです。仕事をしてると認められたいって気持ちがすごくあるけれど、実際はうまくいかない事のほうが多い。
でも、そんな彼女たちに向けたキリコちゃんが言葉がすてきなんです。わたしは、自分がすきだからここにいるの。ほかに代わりがいるかもしれないけど、それでもここにいたいの。
働くのは大変だけれど、自分の替えはいくらでもいるけれど、でも、それでもがんばっていきたいって思えますね。
モップの精と二匹のアルマジロ (ジョイ・ノベルス)posted with amazlet at 11.05.24近藤 史恵 実業之日本社 売り上げランキング: 21268Amazon.co.jp で詳細を見る
●モップの精シリーズ
・「天使はモップを持って」→
・「モップの魔女は魔法を知ってる」→
JUGEMテーマ:ミステリ
コメントをどうぞ
※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。
※なお、送られたコメントはブログの管理者が確認するまで公開されません。