吉永南央 『リペア』2015/11/10



「紅雲町珈琲屋こよみ」シリーズの吉永さんの作品です。

革製品の修理をしている透子の店の前にあるマンションに、10年前に別れた元婚約者の家族が引越してきました。
ある事情から、互いに好き合っていたのに別れなければならなかったのです。
会わないようにしていても、会ってしまい、心は波立つ。

そんな透子の店に、色々なお客が物を持ち込みます。
物に込められた思いと向き合い、誠実な仕事をする透子。

透子は過去と対峙し、どういう選択をするのか。

女は男よりも潔いですね。
ぐずぐず過去に囚われているのは男で、女は血を流しながらも過去をバッサリと切り捨てる。
「自分で選んでおきながら、これがしかたなしの選択だったという意識」に引きずられているのが男。

「ものにはかけがえのない時が記憶されている」

私にとって大事なものはなんなのかと考えてみるのですが、ないです。
ものには執着しない性質なので、そのせいかこれといったものを見つけられず、色々と買ってしまいます。
洋服やバッグなど気に入った物を何年も着続けるなどということができません。
気に入らないとポイと捨ててしまいます。
何も持たずに不意にいなくなったりできるかもしれませんね。
ものに無頓着な分、記憶にしがみつくのかもしれません。

ものと同じように心もリペアできるといいですね。
きっと時間が修理してくれるでしょう。