知野みさき 『深川二幸堂 菓子こよみ三』2020/06/24



深川にある「二幸堂」は、兄・光太郎と弟・孝次郎が営む菓子屋です。
兄は客あしらいなど店の経営をしており、たまに頼まれて根付を作ったりしています。子供のいる女性と結婚し、自分の子もできました。
弟は実直な腕のいい菓子職人で、元吉原遊女で今は三味線の師匠の暁音とは月に一回会うか会わないかという生活を続けています。
孝次郎は暁音と一緒になりたいのですが、暁音が今の自由な生活を続けたいと言っています。

孝次郎の住む長屋に春という独り者の女が越してきました。
彼女は孝次郎に粉をかけてきます。
自分が女にもてるはずがないと思っている孝次郎は、春がなんのために自分に近づいてくるのか不思議に思っていました。
その理由は色々な人から春のことを聞くことにより段々と明らかになってきます。

二幸堂のお菓子は評判になり、売れてきました。
孝次郎は職人を雇って、もっと色々なお菓子を作りたいと思っているのですが、今の店は狭くて無理です。深川でもっと広い場所がないか探していました。
そんな頃、孝次郎が前に勤めていた草笛屋を店ごと買わないかという話が舞い込みます。

暁音の様子も変です。
会いに行っても長屋にはおらず、上野にいる三味線の師匠の家に泊まっているというのですが。
どうも暁音の兄が彼女を捜しているようです。

さて、完結篇ですが、幸せな終わり方だといいですね。
美味しそうなお菓子が沢山でてきます。
結葉、良夜、福如雲、家路・・・。
名前からどんなお菓子を想像しますか。
一つ一つ食べてみたいですけど、餡子をこよなく愛するお七ほどお菓子には執着しないので、想像だけにしときます。
おいしい大福餅でも買いにいこうかしら。


「ママちゃん、静かにしているから僕にもおやつ下さい」と顔を出してきた弟犬。
この頃兄と同じように寝ていることが多くなってきました。
彼は8月に6歳(人間で40歳)になります。
イギリス出身なので、暑さ寒さに弱いです。性格は内弁慶です。
何をやるかわからないので、注意していないと危ないです。

西條奈加 『九十九藤』2020/06/25

なんかいい歌がないかなとYouTubeを見ていると、いくつかいい歌を見つけました。
一人暮らしで、淋しいときは聞いて見てください。

Lean On Me」ArtistsCAN
Count On Me」Only Men Aloud
I'll Be There」Only Men Aloud
You Will Be Found」The Welsh of the West End
You're Not AloneMusical performance with Keala Settle, Kerry Ellis and                                more
You're Not Alone」 Michael Jackson




私は英語の勉強だと思って歌詞を見ながら聞いています。
わからないところがあっても日本語に訳してくれている人もいますから、そんなブログを参考にするといいかも。

関係ないですが、男性二人で歌うミュージカルのWickedの中の歌「For Good」がこの頃のお気にいりです。
もともとはエルファバとグリンダの別れのシーンで歌われる、女性二人の歌です。
ウエールズ出身のSteffan HughesとTom Hierの二人が歌っています。
彼らはイギリスの男性コーラスグループOnly Men Aloudのメンバーらしいです。



たまたま株が買えたので四軒目の店として口入屋・冬屋をやり始めた増子屋太左衛門でしたが、二年経っても上手くいかず、店をたたむしかないかと思案していました。
生家が口入業にたずさわっていたことから冬屋を任されたのがお藤でした。
口入屋は奉公人を世話する商売ですが、主に武家が客で、荒っぽい中間を相手にする商売なので腕っぷしの強さが必要でした。
お藤は武家相手から手を引き、商家を相手にしようと考えていました。
祖母のつてで六軒の大店から奉公人を雇うことを承諾されていたのです。
しかし前からいる手代たちには通じません。しばらく武家相手と商家相手の二本立てでいくことになりました。

お藤は『商いは人で決まる』を信条として、冬屋立て直しにかかります。
ただ人を紹介するだけでは駄目なのです。
江戸のお店で賄いや掃除などの仕事を男衆がやっているのに目をつけました。
辛抱のききそうな七人を選び、店で寝泊まりをさせ、お兼を指南役とし、みっちりと台所仕事や掃除を仕込んだのです。
なんとか軌道にのりそうな時に、お藤のことを面白くなく思う組合から呼び出しが・・・。

お藤のバイタリティーがすごいですね。
彼女の過去には色々とありましたから、チャンスがあったらすかさず掴むし、脅しにも負けないし、気概があり、奉公人のことを第一に考えることができるのです。
太左衛門のおかみさんのお品さんが素敵で、お藤といいコンビです。
お藤の思い人の黒羽の百蔵のことをもっと描いて欲しかったです。
お江戸版お仕事本です。

小原周子 『おかんむりナース! 病院でちゃんとやってよ 2』2020/06/26



大浦東病院のリハビリ病棟で働く大八木新菜は怒っていました。
苦手な師長の倉井は異動せず、未だリハビリ病棟に居座ってチクチクと嫌みを言ってきます。
今まで親しくしてきたリハビリスタッフの田村が外科病棟のナースと病室にしけこんでいるのを目撃してしまいショックを受け、公私ともに田村を無視しています。
実は新菜、田村のことが好きだったのです。
新しく入職してきた十歳年下のリハビリスタッフ・潮田海里は最低の奴です。
彼は新菜だけに「にーなちゃん」となれなれしく呼びかけ、仕事は手を抜き、患者にこびているように見えます。
暇な時にはリハビリスタッフルームでガンプラ作りをしているんです。仕事場でそんなことしていいのか。
潮田の仕事のいい加減さをいくら訴えても、誰一人として新菜に同意してくれないので、なおさら頭にきます。
潮田を目の敵にしていると、潮田のことを気に入っている患者や家族との関係もだんだんと悪くなっていきます。
そんな時に最悪の患者と家族が現れます。

一巻目はリハビリ病棟の仕事の大変さを感じられる内容だったのですが、二巻目は読むのが段々と嫌になってきます。
というのも新菜が理学療法士の潮田を嫌う様子が極端過ぎるのです。
まるで欲求不満の意地悪おばさんのようです。
なんでそんなに嫌うの?
まあ、今までの実績があるので、リハビリ病棟で働くみんなは新菜のことを困ったなぁと思いながらも、いつか潮田のいいところに気づいてくれると思い見守ってくれていましたけどね。

小原さんは今も看護師として働いているので、色々な医師や看護師、リハビリスタッフを見ていらっしゃるでしょう。
読みながらまさかこんな患者や家族はいないわよねと思ったりもしましたが、経験に基づいて書いているのでしょうから、「事実は小説よりも奇なり」の見本の本ですかね。
一応医師も看護師もスーパーマン・スーパーウーマンではないと思っていますが、それでも美化してしまいます。
夢を壊さないでといいたいけど・・・無理かな。

色々な寝相2020/06/27



兄が利用していたベッドを弟に返しました。
兄が吐いて、クッションが汚れていたので洗ったのです。


そうすると今度はちゃんと中に入って寝ます。


クッションの下に潜り込めるのがわかったからでしょうか。
兄の〇〇の匂いが好きなのでしょうか。


兄は弟に買ったベッドに寝ています。これはクッションが取り外しできません。
首が痛くないのかしら?


寝方が大胆な兄犬です。

和田はつ子 『伊勢海老恋し 料理人季蔵捕物控』2020/06/28



日本橋、一善飯屋「塩梅屋」の主の季蔵は嘉月屋嘉助から金箔が届いたので、元許嫁の瑠璃に金箔を散らした錦玉羹を作ってもっていきましたが、錦玉羹を見て瑠璃は何故か苦悶の呻きをあげました。
瑠璃には凶事を感じられるという不思議な力がありましたから季蔵はもしやと思っていると、その帰り道に何者かに襲われました。

その頃市中には伊勢のおかげ参りの騙りをする輩が現れていました。
季蔵は北町奉行の烏谷から伊勢参り熱に便乗し、一儲けして普請に回したいので、天下一品の伊勢参り御前を作るように命じられます。
この前の瑠璃の様子を聞いた烏谷は、季蔵にことわりもなく、瑠璃が作った紙花を季節寄せの元締めに売っており、根を詰めすぎたのではないかと言います。
悪く思った烏谷は瑠璃を休ませるために烏谷の内妻・お涼と一緒に箱根へ湯治に行かせます。
季蔵は箱根での瑠璃の様子が知りたく手紙にも書いたのですが、お奉行からの返事には瑠璃のことは一言も触れていません。
そのため烏谷に不満や不安をぶちまけにお涼の家に行くと、奉行は留守で漬物屋のおしんの沢庵が勝手口に置いてあり、沢庵とは違う臭いが漂っていました。
臭いを辿り裏庭に行くと、初老の男の骸があり、季蔵が調べていると、烏谷が現れました。
烏谷曰く、この男は瑠璃の紙花をあつかっていた季節寄せの元締。
彼は季蔵が命を狙われたことと関係しているのでしょうか。
季蔵は烏谷の命を受け、調べ始めます。

出てくる事件がいつも生臭いものなので、読み進めるうちに美味しそうな料理がそれほどでもないように思えてきます。
死体を扱った手で料理を作るなんて、想像するだけで嫌ですわぁ。
最後は瑠璃と幸せになってもらいたいのですが、この分でいくと誰かが死ぬまで同じような感じでいくような気がしてきましたわ。

お口直しに。


珍しく近寄っている犬たち。
兄は嫌そうにチラッと弟を見ます。


媚びを売っている弟を見る兄。
「おい、お前、何やってんだよ。かわい子ぶっちゃって」と言っているみたいです。

二匹と一緒にソファに座っていると、弟が兄を押しのけて膝にのってきます。
兄はいじけてふせをします。
二歳まで一匹だったので、未だに弟がいることに慣れていない兄です。

読んだ本2020/06/29

簡単に読める本がたまっていますので、まとめて紹介します。


パオロ・ジョルダーノ 『コロナの時代の僕ら』
2020年2月~3月に書かれたエッセイ。
ジョルダーノさんはイタリア・ローマに住む物理学博士号をもつ小説家です。
死亡者が膨大だったイタリアで彼は何を思ったのか。

馳月基也 『姉上は麗しの名医』
清太郎は剣術道場で少年たちを教えている。
ある日、幼なじみの町奉行所の同心・彦馬がある医者の死亡事件に納得がいかず、清太郎の姉で医者をしている真澄の意見を聞きにやって来る。
話を聞いた後、真澄は独自に捜査を初め、行方不明に…。

題名が残念ですが、意外にまともな(失礼)時代小説でした。

出水千春 『吉原美味草紙 おせっかいの長芋きんとん』
父が亡くなり、伯父の店で料理の修業をしようと大阪の天神から江戸へ出てきた平山桜子だが、頼みにしていた伯父は亡くなっていた。
いとこの力也と会え、これからのことを話している時に、竜次という男がやって来る。彼は料理人で、力也と桜子に自分の働いている店で働かないかと誘う。
次の日、彼らが連れられて行ったのが「佐野槌屋」という妓楼で、桜子はそこで料理の修業を始めるが…。

竹村優希『さくらい動物病院の不思議な獣医さん 5』
奥手の獣医・亜希は手塚への思いを自覚し、二人は無事に心を通わせることができた。
野鳥救護ボランティアや妊娠している黒猫の保護などで亜希は大忙し。

実際に吉祥寺の獣医さんたちが彼女のようなことをしているとは思えませんが、彼女のような獣医さんがいたらいいですね。

徳永圭 『ボナペティ!臆病なシェフと運命のボルシチ』
食品会社に勤める佳恵は仕事の憂さを晴らすため、かつて訪れたフレンチの名店に行くが、シェフがかわっていて、料理は悪くないのだが、なんとも居心地の悪い店になっていた。
そのためついついシェフに喧嘩を売ってしまい、出入り禁止になってしまう。
その後、たまたま入ったバーで、出禁になったフレンチの名店で見習いをしていた健司の作ったボルシチを食べ感動し、彼をスカウトすることにする。
というのも佳恵は脱サラをしてビストロを開くことが夢だったのだ。

佳恵の性格がちょっと嫌です。
飲食店を開くには色々とクリアしなければならないことが多いのですね。
一応お仕事本です。

小湊悠貴『ゆきうさぎのお品書 あらたな季節の店開き』
完結篇なためか、登場人物が色々と出てきて、記憶力のない私は主人公の二人以外は思い出せず、これ誰だっけと最後まで思っていました。
3月30日をもって碧はゆきうさぎのアルバイトを辞め、4月から私立の女子校の数学教師として赴任します。
ゆきうさぎはこれからも美味しいお料理を提供していくことでしょう。

竹岡葉月 『谷中びんづめカフェ竹善 3』
コミュニケーション障害の気がある女子大生の紬は竹善の息子の家庭教師をしている。
ある日、竹善に高級食パンの女性店主がやってきて、コラボしないかと持ちかけてくる。ちょっとした美人さんで積極的な人なので、竹善店主のセドリックとくっついてしまわないかと心配する紬。
セドリックのジャムは評判になり、店も忙しくなる。
店に居場所がなくなったと淋しく思う紬はセドリックへの思いに気づくが…。

紬にドブスとか言う息子の口をつねってやりたくなるのは私だけかしら?
何故セドリックは息子に注意しないのと文句を言いたくなりました、笑。

一色さゆり 『コンサバター 大英博物館の天才修復士』
本によると修復士という国家資格はイタリアやスペイン以外にはないそうです。誰でも自称修復士になれるということですね。
そういえばスペインでとんでもない修復のことが話題になっていたような。
安くですまそうとして、資格のある修復士に頼まなかったから?

大英博物館でアシスタント・コンサバターをしている晴香は、建物取り壊しのためフラットからの立ち退きを命じられ、住む場所を捜していた。
大英博物館で働く天才修復士・スギモトがフラットメイトを捜していて、助手として働くなら、試用期間だけ彼のフラットに仮住まいさせてもらえることになる。
晴香は持ち込まれる美術品の謎をスギモトが見事に解くのを傍で見ることになる。

竹内昌美『泣き終わったらごはんにしよう』
少女漫画編集者の中原温人は美味しいごはんを作る。
恋人のたんぽぽさんと一緒に食べるのが一番の楽しみだ。
そんな彼の元に不平・不満を持った人や落ち込んだ人など泣きたい人たちがやってきて、彼の作るごはんに癒やされていく。

出てくるごはんは肉じゃが、卵焼き、きのこパスタ、卵リゾット、カレー、親子丼など普通のもの。心が弱った時には普通が一番ですよね。

今回は特におすすめの本はありません。

読んだ漫画2020/06/30



鈴ノ木ユウ 『コウノドリ 31』
楽しみに読んでいたこの本も後一巻で終わりになります。
長い連載でしたが、産婦人科の大変さと女性の体、家庭の在り方などを教えてくれるいい漫画です。
10代から20代の若い世代に読んでもらいたいです。

いくえみ綾 『1日2回』
何が1日2回?と思いながら読んでいます。
園田れみは夫が亡くなったため実家で母と娘と一緒に住んでいます。
隣の家に幼なじみの鍵谷季が出戻ってきます。彼は不妊症だったため、離婚されたのでした。
さて、これからの二人は・・・?

よしながふみ 『大奥 18』
男女逆転の大奥。家茂が亡くなり、徳川幕府は終焉へ向かいます。
19巻が最終巻だそうです。

宮本福助 『となりの外国人 1~2』
イタリアからやってきた変な外人、マリオが日本で暴れて(?)くれます。
何故か彼は隣の吉田さん一家のところに入り浸り。
最後はお父さんまでやって来て。
楽しい漫画です。

芳井アキ 『国宝のお医者さん 1~2』
博物館の学芸員・押海は文化財の修理依頼で国宝修理装こう師・五條の工房を訪ねます。五條はつかみどころのない男で、なかなか修理を引き受けてくれません。彼の父親も装こう師だったということを聞き、押海は密かに父親について調べます。

装こう師のお仕事についてわかるかな、父親はどうなったのかな、とか思って読んていたら、2巻で終わってしまいました。残念。

オキモト・ショウ 『マリアージュ~神の雫最終章~22』
なかなか進まない神咲雫とライバル・遠峰一青との戦い。
ワインはフランス料理だけではなく、日本料理やエスニック料理、中華料理にも合うということがわかったのですが、私、お酒が飲めないのです(笑)。

槇村さとる 『モーメント 永遠の一瞬 1~12』
フィギアスケートでオリンピックに出るまでの雪の努力、葛藤、挫折、そして彼女を巡る人々とのことを描いた作品。
槇村さんは息の長い漫画家ですね。1956年生まれですか。もう60歳を超えているなんて・・・。

どの漫画も面白かったです。
kindleを使うと本屋に行かなくても読めちゃうことが難点です(笑)。



珍しく横になっている寝姿をさらす弟。
彼はママたちに寝たり、トイレをしたりする姿を見られるのを嫌っています。
兄のようなへそ天は一回しか見たことがありません。
トイレをしているのを見ると、すぐに止めてしまいます。
兄は平気なのに。


弟をかまうとすぐにいじける兄。
こうやって僕、つまんないという顔をします。

2匹飼う時に、一緒に遊んだり、寝たりする姿を思い描いていました。
でも兄が嫌がるので、今は柵で二人の居場所を分けています。
そうしないと兄が精神的に病みそうなのです。
幼い時に兄弟と一緒に過ごしていた弟と、すぐにペットショップに売られていった兄との違いでしょうね。