アン・クリーヴス 『哀惜』2023/04/07

アン・クリーヴスが書いたペレス警部が活躍する”シェットランド四重奏”四部作が無事に翻訳され、次なるシリーズはイギリスの南西部デヴォン州にあるバーンスタプル署の警部マシュー・ヴェンが主人公です。


マシュー・ヴェンは信仰を、バラム・ブレザレン教会を捨てたため、両親と疎遠になっていた。
父親が死んだと聞き、葬儀に出て帰ろうとした時に電話が来た。
クロウ・ポイントのそばの浜辺で刺し傷のある男の死体が発見されたのだ。
被害者はサイモン・ウォールデンと言い、近頃町へやって来たアルコール依存症の男だった。
彼は地元有力者の娘でソーシャルワーカーのキャロライン・プリースの家に下宿をしながらマシューの夫のジョナサン・チャーチが責任者をしているウッドヤード・センターでボランティアをしていた。
調べて行くと、サイモンには子どもを死なせたという過去があることがわかる。

翌朝、テレビに映ったサイモンの写真を見て、ウッドヤード・センターのデイセンターに通っているダウン症の女性、ルーシー・ブラディックはその男性が毎日バスで一緒になり、お菓子をくれた人だと父親に告げる。
サイモンは何のためにバスに乗りラヴァコットに通い、バスの中でわざわざルーシーの隣に座ったのか…。

マシューは小さな閉鎖的な町の中で地道な捜査を続けていく。
捜査をする上で、関係を断っていた母親と関わりを持つことになる。

実はマシューには信仰とLGBTQに関する問題があります。
ブレザレン教会のことは知らないので調べてみると、1708年に設立され、新訳聖書のみを権威とし、生活はこの世的なものから離れて簡素な生活、質素な服装、倫理性を旨とし、新訳聖書に基づく礼典と教会生活をしている。信徒一人残らずが奉仕者として召されていることを信じ、愛と平和の実践をし、メノナイトとクエーカーとともに歴史的平和教会を構成し、あらゆる戦争に反対するという教会のようです。(『聖書・キリスト教辞典』の抜粋)
信仰を持つことは個人の自由ですからどうでもいいのですが、息子が信仰を捨てたからと言って交流を断つこともないでしょうにと思います。
LGBTQに関しては、マシューはジョナサンと結婚しています。
最初、気づかなくて、ちょっと混乱しました。まだ頭が世間に追いついていないようです(恥)。

一巻目を読んだところでは、まだペレス警部とシェットランドの方が魅力的ですが、これからマシューとノース・デヴォンがどうなっていくのか楽しみです。

このシリーズはイギリスではTwo Rivers seriesとなっていて、三巻目が今年の8月に出版されます。
デヴォン州北部のトー川とトーリッジ川がぶつかる地域のお話らしいので、このシリーズ名になったのでしょうね。
二巻目の『The Heron's Cry』は観光客でにぎわう真夏のノース・デヴォンで起る殺人事件で、夫のジョナサンの友だちが被害者になるようです。


この本は「刑事マシュー・ヴェン 哀惜のうなり」というドラマになっているようです。
マシュー役はベン・オルドリッジ。テレビドラマで活躍しているようです。
ジョナサン役はデクラン・ベネット。シンガーソングライターでミュージカルにもでているみたい。
これも見たいわぁ。
刑事ヴェラも面白そうなんだけど、なんで翻訳してくれないのかしら。


<今日のわんこ>


この頃、兄は迷惑です。というのも朝の4時頃、吠えてママを起こすのです。
ママと一緒にベッドで寝たいのです。
今朝はなかなか寝ないので無視して本を読んでいると、なんとママの顔の前に来て寝始めました。本が読めないでしょう(怒)。
よくよく見てみると、自分の毛布の上ではなく、ママの枕の上で寝ています。
ホント、迷惑です。