若竹七海 『まぐさ桶の犬』 ― 2025/03/09

昨日とは別の道でお散歩をすると、神社に河津桜が咲いていました。

意外とどこでも見られるようになったのですね。

吉祥寺のミステリ専門書店<MURDER BEAR BOOKSHOP>のアルバイト兼<白熊探偵社>の調査員である葉村晶は、ご近所さんの奥山香苗の娘に無理やり頼み込まれて、香苗の父方の叔母の三十三回忌の法要に、香苗のボディガードとして参加することになる。
香苗は身近な人間にはワガママを通すのに、親戚たちにはいい顔をしたがるという。
どうも親戚連中はそれにつけこんでいるようだ。
法要がおわったので、しつこい親戚連中から逃れ帰ろうとする葉村たちは白いワゴン車の事故に巻き込まれる。
香苗はかすり傷ひとつ負わなかったが、葉村は額を強打し、たんこぶができた上に、乗っていった<MURDER BEAR BOOKSHOP>のワゴン車は潰れてしまう。
実質七時間働いたのに、「ボディガード料」はたった二万円という安さ。
店長の冨山泰之から「葉村はヤキが回ったんじゃないか」と言われる始末。
法要の間に香苗の屋敷に窃盗団が浸入し、家財道具を盗もうとしていたというオチがあったが、何かおかしいと思った葉村は前もってセキュリティー会社に注意喚起をしていたので、未然に防げたのは幸いだった。
この後、香苗から呼び出され、一応謝られたが、本題は国分寺の叔父様が葉村に頼みたいことがあるということだった。
国分寺の叔父様こと乾嚴は魁星学園の創始者・乾聡哲の孫で、学園で教鞭を取る傍ら理事もしていたという。
現在は世田谷の介護付きシルバーマンションに入っている。
彼から葉村は秘密厳守で稲本和子という元養護教諭の女性を探して欲しいと頼まれる。
コロナ禍で三年ぶりに調査の仕事をする葉村晶だったが、一筋縄ではいかない関係者たちの間で翻弄される。
そしてまた満身創痍という、誠についていない葉村晶だった。
葉村晶も五十代に突入し、老眼が進み、「保湿剤や日焼け止めの量が増え、目薬、皮膚炎、湿布薬の消費が激しく」なり、「痛む膝をかばうためのサポーターや、歩きやすい靴に動きやすい服、ヘアマニキュアから白髪染め。いずれ補聴器や入れ歯、場合によっては人工関節なんてものまで必要になるかもしれないが、わたしはその費用を捻出できるんだろうか」なんて書いてあるので、笑ってしまいました。
ホント、笑い事ではないですねぇ。明日は我が身ですわwww。
それなのに、葉村晶は頑張ります。
なんとかならないのでしょうか、若竹さん。
毎回、痛い目にあうなんて、かわいそすぎますよ。
とにかく出てくる人が多過ぎて、途中でわけがわからなくなるので、気をつけて下さい。
私のような人は、最初から家系図を書いてみるといいでしょう。
私は読み終わってから書いてみましたが、後からじゃ意味がなかったです、笑。
「まぐさ桶の犬」って初めて聞きました。
本の中では、「自分には役に立たないが、誰かがそれでいい思いをするのは絶対にイヤだ、とその「役に立たないもの」を手放さずに意地悪や嫌がらせをし続けるひとを「秣桶の犬」と呼ぶ」そうです。
何故か葉村晶の周りには、人の話を聞かないで、仕事を押し付けるワガママな人ばかりです。
何ででしょうね。
毎回楽しませてくれる葉村晶シリーズです。
シリーズの順番
①『プレゼント』
④『暗い越流』
⑤『さよならの手口』
⑥『静かな炎天』
⑦『錆びた滑車』
⑧『不穏な眠り』
⑨『まぐさ桶の犬』(本書)
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