リース・ボウエン 『貧乏お嬢さまと消えた女王』2025/05/20

貧乏お嬢さまと毒入りタルト』に続く「英国王妃の事件ファイル」シリーズの
18巻目。
ジョージーは結婚して王位継承権を放棄したはずですから、もはや「英国王妃」ではないですし、それに既婚者ですから、「お嬢さま」も変ですね。
原語では「A Royal Spyness Mystery」シリーズとなっています。


アイルランド貴族ダーシー・オマーラと結婚し、息子を授かったジョージーは、愛する夫と息子の世話をしながら自分の家で静かな日々を送っていた。
それなのにダーシーがエドワード国王に呼び出され、とんでもないことを押し付けられる。
エドワードはシンプソン夫人と結婚することを決断し、議会に貴賎結婚を提案するという。
このことが公になると、シンプソン夫人はマスコミに追い回されるので、彼女を世間の目から隠しておくために、彼女を預かって欲しいと頼まれたのだ。
何しろシンプソン夫人の満足するようなものを出せるようなお金はないし、しかもジョージーはシンプソン夫人が嫌いだ。
なんとも迷惑な話だ。
それだけでもウンザリするのに、義理の姉のラノク公爵夫人のフィグが手紙をよこし、息子が入学する候補の学校を見学しにやって来るというのだ。
それだけではない、屋敷の主のサー・ヒューバートがハリウッドの撮影隊を引き連れて帰って来た。
彼が撮影を許可したばかりに、屋敷は厚かましい撮影隊にどんどん占拠されていく。

そんな最中に、シンプソン夫人と映画の子役がいなくなる。
シンプソン夫人はともかくとして、少女は誘拐されたのか・・・。

エドワード8世が二度の離婚歴のあるシンプソン夫人と結婚するために退位したのが、1936年12月11日だというので、ジョージーが大変な思いをしたのが、この年ですね。
退位後、ウィンザー公爵夫妻となった二人はナチス政権から目をつけられます。
ドイツ人の実業家と付き合っているジョージーの母がどうなるのか、ジョージーたちは心配していますが、おいおい書かれるでしょう。

それにしても人の都合も聞かずにやって来て、えらそうにする兄の嫁が嫌です。
貴族の方々はいつもそんな感じで親戚の屋敷に押しかけるもんなんですかね。
映画の方々も相当ずうずうしいですけど。
ダーシーもジョージーも人がよさ過ぎです。

19巻目の『From Cradle to Grave』が今年の11月に出版されます。
ロンドンで起きている連続殺人事件を解決するように、ジョージーはゾゾに頼まれるようです。
日本語の題名がどうなるのか、楽しみです。


<今週のおやつ>


エシレの「パルミエ・エシレ」。
一度は食べてみたいと思っていたのですが、いつもすぐに売り切れてしまい、買えませんでした。
近頃、買えるようになっていたので、早速に頼んでみました。
けっして美味しくないという訳ではないですが、どちらかというと私はガレットやサブレの方が好きです。