M.W.クレイヴン 『ストーンサークルの殺人』 ― 2020/12/18

ワシントン・ポーは元カンブリア州警察、現在はNCA(国家犯罪対策庁)のSCAS(重大犯罪分析課)の警官だが、仕事上のミスの処分が決まるまで停職中だ。
カンブリア州に戻り、のんびりと家の修理をしていた時、元部下のステファニー・フリンがやって来る。
ポーが処分を受けた後、彼女は彼の後を引き継ぎ、警部になっていた。
停職処分を解くので、近頃話題のイモレーション・マンの捜査にあたって欲しいと言う。
カンブリア州でストーンサークルの中央の杭にくくりつけられ、燃焼促進剤をかけられたのち、火をつけられた死体が三体見つかっていた。(「イモレーションとは「生け贄として火あぶりにする」という意味)
三番目の被害者の体にポーの名前と「5」と思える字が刻みつけられていたという。
全く身に覚えはないが、ポーは捜査に加わることにする。
久しぶりのSCASのオフィスはポーのいた時と大分変わっていた。
人事課のバレットから停職を解く条件などの説明を受けていると、あらたな犠牲者がでたという電話がある。
ポーはフリンの下につき、分析官のティリー・ブラッドショーという、一般常識に欠け、人付き合いが苦手な、しかし16歳でオックスフォード大学で学位を受けたことからわかるように頭脳明晰でデータマイニングに高い能力を持つ女の子と一緒に、再びカンブリア州に行くことになる。
犠牲者たちの共通点は年代以外に見当たらず、捜査は行き詰まりるが・・・。
頭が良すぎたため、普通の女の子の生活が送れなかったティリーが痛々しいですが、そんな彼女をいじめる相手はポーが許しません。ちょっとやり過ぎという感じもしますが、そんなポーにティリーがまいってしまいます。二人は似たところがあるのでしょうね。
もしかして恋愛関係になるのかと思ったらならず、友だちになりました、笑。
全くおぞましい事件です。犠牲者たちがいつまで経っても浮かばれないのはどうにかしなければなりませんね。
三作目まで出ているそうなので、今回うやむやになった事件の関係者たちとポーが対決するとか、またティリーと事件の捜査をするところを読みたいです。
ポーの父親も気になります。
イギリスのストーンサークルにいつかは行きたいと思っていますが、行ったらこの本のことを思い出しそうで怖いです、笑。
そういえば、2021年度のベストミステリが発表になっていましたね。私が読んでいるのは少ないです。
「週刊文春ミステリーベスト10」では海外編『その裁きは死』(1位)、『ザリガニの鳴くところ』(2位)、『ネヴァーゲーム』(6位)、『ストーンサークルの死』(8位)、国内編『暴虎の牙』(9位)の5冊しか読んでいません。
「このミステリーがすごい!ランキング」では国内編『不穏な眠り』(9位)、『巴里マカロンの謎』(19位)、海外編『その裁きは死』(1位)、『ザリガニの鳴くところ』(3位)、『弁護士ダニエル・ローリンズ』(11位)の5冊。
『2021本格ミステリ・ベスト10』では海外編『その裁きは死』(1位)、『ストーンサークルの死』(3位)、『ザリガニの鳴くところ』(9位)の三冊で、日本編は一冊も読んでいません。
単行本は図書館で借りるようにしているのですが、特に日本のミステリは予約する人が多いのでなかなか読めません。海外の方が文庫で発売され、電子書籍化される率が高いので、年末にかけて読んでみます。
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