ディーリア・オーエンズ 『ザリガニの鳴くところ』2020/05/20



ノース・カロライナ州の湿地で、チェイス・アンドルーズの死体が見つかり、「湿地の少女」に疑いがかけられます。

「湿地の少女」とは、湿地の小屋に一人で住んでいるカイアという女性のことです。
父親が酒を飲んで暴力を振るうので、兄や姉、そして母までもがカイアを残し家を出て行ってしまい、父親と暮らしていたのですが、6歳の時に父親が失踪。
貝を採り、それを親切な燃料店の店主・ジャンピンに売って、なんとか暮らしていけるお金を稼いでいました。
テイトという少年と知り合い、彼が読み書きを教えてくれました。
彼女は頭脳明晰で、感性豊か、美的センスがありました。
テイトとカイアは心を通わせていましたが、テイトは大学進学のために町を出て行き、約束したのにカイアのもとに戻ってきませんでした。
自然の中で育ったカイアは普通の生活を営めないと、彼が思ったからです。

みんなカイアを置いて去っていきます。
カイアは湿地の自然の中で孤独のままひっそりと暮らしていきます。
そんなある日、女好きのチェイスという青年が彼女に近づいてきます。
普通の女とは違う、イノセントなカイアに魅力を感じたからです。
彼はカイアに結婚を匂わせ、彼女を欺し、結局は他の女性と結婚してしまいます。
それを知ったカイアは彼に別れを告げます…。

チェイスが死んだ時にカイアは町にいなかったというアリバイがあります。
しかし彼女がボートに乗って櫓の方へ行くのを見たという人物が現れ、カイアは逮捕され、裁判にかけられます。

1950~60年代のノース・カロライナ州には黒人や貧しい白人に対する差別と偏見があったので、誰もカイアのような子には目を向けないでしょうね。
兄や姉も生きていくのに大変で、幼い妹のことを思い至ることができなかったのでしょうね。
救いのない状態であってもカイアの生きようとする力とよい出会いが彼女に幸運をもたらします。

なんとも湿地の自然描写が美しい本です。
英語ではどう描かれているのかなと思いますが、英語では読まないでしょうね。
時間がかかるから(笑)。
弁護士ダニエル・ローリンズ』に続くおすすめの本です。
ミステリーではありますが、一人の女性の成長の物語でもあります。


お店に買いにいけないので、エシレのガレットとサブレをネットで注文しました。
みんな同じことを考えているらしく、4日間挑戦し続けてやっと手に入りました。


コロナ以前にお店に行っても午前中にはなくなっていて買えなかったのです。
自粛が解除になっても当分お店には行けないので、ゆっくり味わって食べることにします。

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