城山真一 『看守の信念』 ― 2023/10/21
『看守の流儀』の続編。
何があっても『看守の流儀』からお読み下さい。
それじゃなきゃ、面白さが半減してしまいますから。

加賀刑務所で起る出来事を描いた五話の短編集。
第一話:しゃくぜん
「しゃくぜん」とは、仮出所予定者に対して、出所予定日の二週間前から行われる更生プログラムのこと。
釈放前の模範囚・坂本は、新しく導入された「外出プログラム」の一環として海岸清掃のボランティアに参加する。
しかし、刑務官たちが北朝鮮籍の船に気を取られている隙にいなくなり、三十分後に姿を現す。
彼は一体何をしていたのか?
第二話:甘シャリ
「甘シャリ」とは、金一封として送られる菓子やジュースなどの特食のこと。
年に一度の運動会が開かれた翌日の昼食で集団食中毒が発生する。
チャーハンを作った受刑者が疑われるが…。
第三話:赤犬
「赤犬」とは「放火」のこと。
就労支援室の稲代は第五工場の裏手にある備品保管庫から煙が出ているのに気づく。
火事は備品保管庫のみにとどまり、人的被害もなかった。
おかしなことに備品保管庫には火の気もなく、誰もその日に出入りしていない。
それなのに何故出火したのか?
第四話:がて
「がて」とは「手紙」のこと。
教誨師である寺の住職がぎっくり腰でしばらく来られなくなり、実家が寺で仏教系大学を出た諸田が代わりを務めることになる。
諸田は教誨面接である受刑者が語ったことが気になる。
彼はジャズシンガーをしている女と文通しているというが、住職はそれは嘘だという。
諸田は手紙を読み、女が歌っているという店をつきとめ行ってみるが、店はなかった。
受刑者は嘘を言っているのか?
第五話:チンコロ
「チンコロ」とは「告げ口」のこと。
加賀刑務所に匿名の手紙が届く。
出所者の受け入れに協力的な「協力雇用主」である桜栄土木の専務のイジメがひどく、また殺されるというのだ。
差出人は元受刑者なのか?
総務課長の芦立は桜栄土木に出向き、そこに勤めている元受刑者と話をしてみることにする。
メインの話の謎は、前回同様にキャリア採用の火石指導官が難なく解いてくれます。すごいですね。
謎解きの合間に、刑務官たちの私的な出来事や、火石を排除しようとする所長の目論見、火石が何故法務省から加賀刑務所に異動し、三年近くもそこに勤務し続けているのか、その理由などが書かれています。
最後に驚かされることがありますので、お楽しみに。
詳しくは書けませんが、読みながら何やら違和感があり、よくある私の記憶違いだったのかなと思いましたが、記憶違いじゃなかったことがわかり、よかったです。
記憶に自信がないもんでぇww。
刑務官というのも大変な仕事なんだということがわかります。
更生への道は厳しい。それでも信じ続けていかなければならないのだもの。
第三弾を期待して待ちますね。
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