沢木耕太郎 『旅する力―深夜特急ノート』2009/07/19

沢木耕太郎も還暦を超える年齢になったようで、『深夜特急』で旅に出た26歳からそうとう経ってしまいましたね。
この本には26歳の彼が何故旅に出ることになったのかということが書かれています。
まあ、『深夜特急』裏話という感じですか。
たぶんたくさんの若者が彼の本を読み、旅に出ようと決心したんではないでしょうか。
本を読まなくなった今の若者が旅に出るには、誰の本を読むんでしょうかね。
ひょっとしたら、もう旅にはいっていない?
「旅の記憶」から、旅に対する彼の思いを書き出してみます。

「旅は人を変える。しかし変らない人というのも間違いなくいる。旅がその人を変えないということは、旅に対するその人の対応の仕方の問題なのだろうと思う。人が変ることができる機会というのが人生のうちにそう何度もあるわけではない。だからやはり、旅には出ていった方がいい。危険はいっぱいあるけれど、困難はいっぱいあるけれど、やはりでていった方がいい。いろいろなところに行き、いろいろなことを経験した方がいい、と私は思うのだ。」

年をとってからの旅と若いときの旅はまったく違います。20代の頃、ヨーロッパ一人旅をしましたが、その時と今を比べてみると、20代の頃のような旅はもうできないなと思います。体力の違いもありますが、その頃と今は感じ方が変ったと思うからです。

インドに30代前半で行った時、インドへの旅の時期を外したなと思いました。
少なくとも20代の前半にインドに行けたら、私は変っていたかもしれないと思ったのです。
何故と聞かれても、こうとはいえない、本能でそう感じたのです。

感受性の強い若い頃だからこそ、いろいろな国に行って、いろいろな人と出会い、いろいろな文化に触れて、自分を振り返ることが大事だと思います。
もう若くはない私は、私に合った旅のやり方で旅を続けていこうと思います。

因みに沢木が旅から学んだことは、「無力さの感覚」だったといいます。

「旅に教科書はない。教科書を作るのはあなたなのだ」

20代のあなた。旅に出てみてください。