柚木麻子 『王妃の帰還』2015/10/02



ナイルバーチの女子会』は大人の女性の話でしたが、今回は私立女子高中等部2年生のあるクラスの話です。

範子は少数の友人たちと地味ながらも平和な学校生活を送っていました。
ところが、彼女がひそかにあこがれていた滝沢さん(=王妃)がクラスのトップグループから追い出され、範子たち、4人グループに入ってきたことから、グループ存続の危機が訪れます。
前のような平和な時を取り戻すために範子たちが考えたこととは・・・。

「スクールカースト」に関する本を読んだことがありますが、自分の中学の頃に比べると、今の中学はなんと暮らしにくくなったことかと思います。
クラスで階級制度なんかあったかどうか、そんなこと意識もしませんでした。
私はそういうことに疎い人でしたから気づかなかったのかしら?
クラスの主流ではなかったのですが、まあまあお勉強はでき、球技が得意だったので、仲間外れにはなりませんでしたが。
そもそも「いじめ」という言葉もなかったし、グループのようなものはありましたが、そんなに強固なものではなかったように思います。
この話のようにクラスでのヒエラルキーが決まっていて、グループ同士での交流が全くなく、敵対心を持っているなんて想像もつきません。
空気を読んで行動したり、発言したりするなんて、疲れそう・・・。
いじめがマスコミで取り上げられてからの学校生活って息が詰まりそうになってしまったのですね。
今の学生たちってかわいそう。
でも、こういう構造って社会の反映かも・・・。

読後感が悪くないところが救いでした。