木村紺 『神戸在住1~3』 ― 2020/06/02

阪神・淡路大震災(1995年1月17日)の数年後に京都や神戸に行きました。
京都で震災のことを聞くと、タクシーの運転手はここら辺は被害がなかったですと素っ気なく答えただけでした。
神戸では友人に会ったのですが、町の中心部は元に戻っているけれど、周辺にはまだ震災の跡が残っていると教えてくれました。
『神戸在住』は震災後の1998年からの神戸が描かれています。
主人公の辰木桂は神戸の大学で美術を学んでいます。
もともとは東京に住んでいたのですが、家族で震災後の神戸に引っ越してきました。
ちょっと生意気な弟がいます。
ボーイッシュな感じでスカートは滅多にはきません。
優しく、大人しい性格で、周りに流されることもあります。
友人の金城和歌子は神戸出身で桂と同じ大学の英文科で学んでいます。
彼女は震災体験者で、仮設住宅に林浩(リン・ハオ)という恋人と住んでいます。
桂のもう一人の友人、泉海洋子はモデルをしており、ミスキャンパスにもなったことのある人です。
桂は和歌子と洋子と三人で遊ぶことが多いのですが、時間が空くと大学の英語文化研究室によく行きます。
英語文化研究室は文化系サークルで、桂は属してはいませんが、みんなでコーヒーを飲みながらまったりしています。
この仲間が楽しい人たちで、一緒に海に行ったり、大学祭に出店したりしています。
桂の大学生活や家族の話、神戸の話題など一話完結の形で描かれた漫画です。
桂は震災を直接経験していないので、震災の話は和歌子と林の体験談として書かれています。
和歌子は被災者で、林が震災ボランティアをやっている時に避難所で二人は出会いました。
三巻で詳しく描かれています。
神戸というと、何やらしゃれた町という感じでしたが、この漫画を読むと、多様性のある町なんだなという思いが強くなりました。
神戸の表向きの顔だけではなく、裏の顔までも見せてくれる作品です。
桂の大学生活はまだまだ続きます。
10巻まで出ているというので、読み続けようと思います。
今月は図書館も開くのだから、あまりkindleで買わないようにしようと思ったのですけど・・・。
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