原田ひ香 『三千円の使いかた』2021/08/26



三千円があったら、何に使いますか。
人によっては小物や文房具を買ったり、もっと高い物を買うために貯金したり、居酒屋に行ったり、占いに行ったり(行かない?)…。
私なら本屋に行って本を買って、カフェで本を読むかな。

御厨美帆の祖母は「人は三千円の使い方で人生が決まるよ」と言います。

美帆は会社の先輩の待絵さんがリストラをされた時から会社に対して不信感を持ち、人生の意味を考え始めました。
彼の大樹とも価値観が合いそうもないことに気づきます。
たまたま見た保護犬が忘れられず、ペット可のマンションを探してみますが…。
姉から節約法を聞き、セミナーに行ってみます。

美帆の姉の真帆は証券会社に勤めていましたが、高校時代から付き合っていた太陽と結婚するために23歳で会社を辞めます。太陽は消防士で月給23万円。
一千万円台の一軒屋を買おうと思って貯金しており、結婚六年目にして六百万貯めています。
ある日、友人の小春の婚約を祝う会に出席します。
小春の合コンで会ったという婚約者は親が千葉で大きな工務店を経営しており、婚約指輪は1.2カラット、新居は豊洲の新築タワーマンションの一室、結婚式は恵比寿の超高級ホテル、新婚旅行はイタリアに十日間…。
自分と比べると大きな違いがあります。その上、友だちから聞かされたことが真帆を打ちのめします。
「よく決断できたなあって感心したよ」、「就職してすぐに結婚してあっさり仕事をやめたのには、びっくりした」、「あたしだったらたぶん、もっといい人がいるんじゃないかな、って考えちゃう」etc.。

祖父の琴子は夫が残してくれた一千万を、銀行が退職後の老人相手に始めた高金利商品を利用してコツコツ稼いでいますが、年金が半分近くに減らされてしまったので、そのうち取り崩さなければならないと思うと不安でたまりません。
嫁の智子にお願いされ、「おせち料理教室」を手伝い、お礼をもらった時に気づきます。自分は感謝され、そして、お金をもらいたいと。
73歳にして琴子さん、バイトに応募します。

美帆の母、智子は習い事に熱心で向上心が高い人だったのですが、ガンで手術をするために入院します。
退院する時には誰も来てくれず、家に帰ると夫の和彦からメールで「今夜、外食でもいいし、出前でもいいよ」。
ご飯を作らなければならないことに気づき、溜息をついてしまいます。
これからもこの人のためにご飯を作り続けるのだろうか…。
頼りになったのは親友の千さとでしたが、彼女には彼女で悩みがあります。
熟年離婚です。
彼女からシビアな離婚とお金の話を聞き、これからのことを考える智子でした。

美帆は大学時代に付き合っていた大樹と別れ、節約講座で出逢った沼田翔平と付き合い始め、結婚を意識するようになります。
しかし、彼に親が勝手に借りていた奨学金の借金が550万円もあることがわかります。彼の両親はちょっと金銭感覚がおかしいような…。
彼と結婚してもいいのかどうか迷い出す美帆。

普段あまり考えない(私だけ?)お金のことを扱った本です。
私なんかは年齢的に智子さんや琴子さんの話が身に染みます。
熟年離婚はないとは思いますが、夫が退職した後の生活に耐えられるだろうかとか、年金だけで暮らしていけるだろうかとか、不安はあります。
でも今は未来が予測できないですから、あまり節約をしてゆとりのない生活はしたくないですねぇ。でも、今後のことも心配よねぇ…。

どんな年齢の人でも読むと参考になることがありますよ。
私は特に家計簿のお話は知らなかったので参考になりました。
でも三千円の使い方でもっと話が膨らむかと思っていたら、そうでもなくて残念。
出てくる男性が全く魅力がなかったです。
特に琴子さんの若い友だちの小森安生と美帆の彼、沼田翔平なんかどうしようもないですね。
たまに会って話をする程度の友だちだったら別にいいのですが、私は結婚まではしないわぁ。まあ、色々な価値観の人がいるのでいいんですが、笑。

とっても読みやすいので、心配しないで手に取って下さい。
とにかく、「お金や節約は人が幸せになるためのもので、それが目的になってはいけない」という言葉を肝に銘じて、今後のことを考えて行きたいですね。



兄は新しく買ったエビのおもちゃはあまり気に入らなかったみたい。
前に買ったペンギンちゃんで今日は遊びました。
彼にとっておもちゃは咥えやすいのがいいみたいです。