樹林伸 『ドクター・ホワイト(3)心の臨床』2022/01/11

ドクター・ホワイト 千里眼のカルテ』、『ドクター・ホワイト 神の診断』に続く第三弾。


六年前に早朝の公園で編集者の狩岡将貴が拾った美女、白夜は豊富な医学知識と驚くべき診断能力を持っていました。そのため高森総合病院の診断協議チーム「DCT」の一員となり、数々の誤診を正してきました。
その後天才的な頭脳を発揮し、大学受験資格を取り、特待生資格で医学部に入学。
そして実習生として高森総合病院に戻ってきました。

高森総合病院は都下有数の総合病院への道を歩み始めていました。
新しい院長に港医大病院の元副院長でALSの権威として知られている里中賢蔵が就任しました。彼は就任してすぐに病院全体の投薬方針を見直すと言い出し、薬剤投与の基本ガイドラインを提案しました。
多剤投与による医療事故のリスクを下げ、同一薬剤を大量に仕入れることで単価を引き下げ、病院経営をより健全化するということで、診断された病名からなんの薬を処方するか決められてしまったのです。

DCTの面々が揃って白夜を歓迎していた時に、呼び出しがありました。
研修医の岩崎が担当した、深夜救急搬送された野上という患者の容体が急変したというのです。
岩崎の急性アルコール中毒という所見に白夜が言います。「それ、誤診です」と。
野上はアル中ではなくアセトアミノフェン中毒だったのです。
白夜のおかげで野上は助かりますが、白夜は何やら不穏なものを感じます。
ひょっとしたら自殺教唆か、殺人未遂なのではないか…。

土曜日に亡き父の旧友で医師の槇村宗一郎が将貴の家にやって来ました。
彼は港医科大付属病院で起きた薬害死亡事故のことを話してくれました。
里中は港医大の副院長だった時に、高森総合病院と同じように投薬ガイドラインを刷新しており、そのことによって七十代の女性患者が必要以上の投薬を受けて死亡するという医療事故が起った可能性があると言うのです。
病院内部で何か陰謀めいたことが行われているのか…。
将貴は取材と称して医師たちから情報を収集する一方で、友人の吉祥寺署の刑事、奥村淳平に野上の人間関係や家族のことなどを調べてもらうことにします。

間違えることは誰にもあることだけれど、もし命に関わることで誤診をされたらと思うとゾッとします。
白夜ちゃんのような医師がどの病院にもいるといいのですが。
彼女、「グッド・ドクター」のショーン君に似てますね。

ドラマになるそうです。白夜役は私の知らない女優さんです。
真面目な医療ドラマなのかな?
原作がどれぐらいドラマに反映されているのかわかりませんが、簡単に読めるので、読んでみてもいいかも。

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