柚月裕子 『合理的にあり得ない2 上水流涼子の究明』 ― 2023/04/27
驚いたことがあります。
60~70代ぐらいの女性が自転車を脇に置き、二匹のミニチュア・ダックスフントを連れて立っていました。
犬は老犬で…老犬だと思います。毛が抜けてボロボロの姿でしたから。
犬が歩けなくなったら自転車に乗せてくのだなと思って見ていたら、二匹の犬を地面に置いたまま自転車に乗ってこごうとするのです。
犬たちはその場に座って断固として歩こうとしませんでした。
通り過ぎてしまったので、その後どうなったのかわかりませんが、犬たちが無事であることを祈っています。
ちなみに、自転車で犬を引いての散歩は道路交通法違反で、「三ヶ月以下の懲役または5万円以下の罰金が科せられる」そうです。
ひょっとして犬たちはそれほど年を取っていなかったのかもしれませんねぇ…。

真ん中に流れるように垂れている毛が可愛らしいヨーキー、8歳(人間で50歳)。
彼は重いママを引いて散歩しています(笑)。

上水流涼子は元弁護士。殺しと傷害意外はどんな依頼も請け負い解決するという上水流エージェンシーを経営している。
従業員は貴山一人だけ。涼子の秘書兼助手兼事務所の経理をやっている。
IQが140もある頭脳明晰な完璧主義者で、物事を斜に構えて見るニヒリスト、非建設的なことを嫌い、計画を綿密に立てて、無駄を極力省くという男だ。
彼がいるからこの商売をやっていけるってもんだ。
「物理的にあり得ない」
古矢信之という男がやって来る。関西空港に着いた航空機で届いたある荷物を載せた車が東京の待ち合わせ場所に現れなかった。その車を探して欲しいというのだ。金に目がくらんだ涼子は引き受けることにする。
「倫理的にあり得ない」
看護師の澤本香奈江という女がやって来る。息子の親権を取り戻して欲しいというのだ。コツコツ依頼金を貯めるためい時間がかかったと言うが。
「立場的にあり得ない」
新宿署の刑事丹羽が珍しく事務所にやって来る。警視庁組織犯罪対策部部長の娘、五十嵐由奈の大学一年から始まった自傷行為が治らず、摂食障害まではじまり、二ヶ月前から都内の病院に入院しているという。大学に入ってから何かがあったようなので、その何かを探り彼女を助けてやってほしいというのだ。
部長に恩を売りたいということもあるが、その子が自分の死んだ息子の姿と重なり、なんとか救ってやりたいと思うのだそうだ。
情にほだされて引き受ける涼子。
今回は金にならず、スカッとしない終わり方でしたが、スルスルと読めてしまい、お話に深みがなくて残念でした。
唯一よかったのが、貴山のキャラです。
見目がいいばかりではなく動物好きで紅茶やコーヒーなどの飲み物を状況に応じて入れるのが上手いなんて、貴山欲しいわ、笑。
ちなみに出てくるネコ科のカラカルってこんなんです。耳が特徴的ですね。
「野性的で獰猛な一面もある」といわれているのに、貴山飼う気満々ですが、大丈夫かしら?
涼子は名ばかりの経営者で、貴山がすべてのお膳立てをしています。
続きがあるとしたら、貴山の存在感がもっと増すんでしょうね。
ドラマになっているらしいので、ドラマの続編のために書いたのでしょうか。
私としてはこのシリーズよりも佐方貞人シリーズを書いて欲しかったです。
積極的にオススメはしませんが、軽いものを読みたいならいいかも。
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