真紀涼介 『勿忘草をさがして』2023/07/04

3月下旬から通っていた歯の治療が終わりました。
虫歯は一本だけなのに、なかなか予約が取れず、こんなにかかってしまいました。
治療が終わった途端にホッとしたのか、マスクも眼鏡も忘れて帰ろうとしてしまいました、笑。
歯医者って大嫌いなんです。
四ヶ月か五ヶ月後にチェックに来て下さいとのことなので、面倒ですが(たぶん)行くことにします。


第32回鮎川哲也賞優秀賞受賞作。
植物に関する謎解きのお話ですが、少年の成長物語と言った方がいい作品です。

高校二年生の森川航大はあるトラブルから不本意ながらサッカー部を辞め、それを境に大人たちに不信感を持ち、無気力な生活を送っていた。
ある日、一年前に出会ったお婆さんを探してお礼を言おうと思い立ち、出かける。

「春の匂い」
お婆さんの家はなかなか見つからない。
そんな時に道行く男性に教えてもらった家に行くと、素晴らしい庭があり、その庭の持ち主の園原菊子という人懐っこくておしゃべりなお婆さんと知り合いになる。
彼女に庭に綺麗な沈丁花が咲いていて、お婆さんがひとり暮らしの家を知らないかと聞くと、孫の拓海が知っているのではないかと言う。
拓海は身長が190㎝はありそうな仏頂面の大学生で、彼がこの美しい庭の手入れをしているという。
拓海は航大の話を親身に聞き、一緒に家を探してくれた。
それから菊子に気に入られた航大はお茶に招かれるようになる。

「鉢植えの消失」
航大は友人の美化委員の代わりに校内の鉢植えの水やりをするようになる。
文化祭が近付いた頃、航大は学校の手洗い場に置いてあった鉢植えが少しずつ消えていっているのに気づく。
菊子の家にお茶を飲みに行った時にその話をすると、菊子と拓海は一緒にその謎について考えてくれる。

「呪われた花壇」
友人の陸から、四年前に祖父が亡くなってから母親が育てている花壇の花たちが元気がなく、花付きが悪くなったと相談される。
祖父がかつて見たこともない恐ろしい顔でその花壇の花を踏み潰していたという。
陸は祖父の呪いかなにかではないかと恐がっている。
早速航大は自分でも調べてみた上で拓海にも相談してみる。

「ツタと密室」
友人の将人に漫画を返しに行った時に航大は将人の母親から不思議なことを聞く。
草刈り機を物置から取ろうとしたらツタで覆われていてドアが開かなかった。
たまたま出会った将人の小学校時代の同級生が草刈り機を取ってきてくれた。
しかしその翌日に物置の方を見ると、相変わらずドアも窓もツタで覆われており、どうやって草刈り機を取ったのか不思議だというのだ。
興味を持った航大は物置を見に行く。

「勿忘草をさがして」
菊子によると四年前から十月の下旬頃に妙な郵便物が届くという。
送り主は不明で宛名も『園原様』だけで、封筒の中身はランタナの押し花栞だけが入っているそうだ。
その頃、拓海の様子がおかしい。
菊子に相談すると、航大から拓海に話を聞いてほしいと言われる。
航大は拓海に連絡をし、話を聞くことにする。

無為に時を過ごしていた航大が菊子と拓海と出会うことにより、一歩前に踏み出していくという青春小説です。一応ミステリということになっていますが。
本格的なミステリを望む方は読まない方がいいでしょう。
青春とか家族とかを描いた小説が好きな方なら気に入ると思います。

私は暑さがおさまったらどこか綺麗な庭を見に行きたいなと思いました。

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