アンデシュ・ルースルンド 『三時間の導線』2023/10/19

グレーンス警部・シリーズの八作目。


ストックホルム南病院の遺体安置所で、男性の遺体が一体多いことがわかる。

法医学者によると、推定死因は窒息、死亡推定時刻は二十五時間以内、推定出身地は西アフリカ。
インターポールに歯形と指紋を問い合わせても、男の身元はわからない。

そしてさらに余分な女性の遺体が現れる。
死因は男性と同じ窒息。

一体遺体はどこから運ばれて来たのか?
グレーンスは思いつく。
遺体は病院の内部から運ばれたのだ、あの地下道を通って…。

警察犬を使って辿っていくと、行き着いた先は港の輸送用コンテナ。
その中はまるで集団墓地のような有様。
愕然とするグレーンスたち。
その時、遺体の服の山から電話の呼出音が聞え、途絶える。

電話から見つかった指紋は2つ。
そのひとつが、グレーンスが二度と会わないと約束した男のものだった。
グレーンスは彼の妻に会いに行き、男の行き先を訊く。

グレーンスはニジェールの首都、ニアメに飛ぶ。
男は事件に関係なかったが、密航業者のリーダー風の男の顔を見ている。
グレーンスは切り札を使い、無理矢理彼を密航業者の組織に潜入させ、スウェーデンにいるリーダーを探らせる。

男は休暇の二週間を囮捜査に使うことにするが、短すぎる。
そのため密航業者たちと正面から対決し、近付くことにするが…。

さて、男の潜入は成功するのだろうか。

今回は難民問題です。
密航業者に高い金を払ったとしても、無事に望んだヨーロッパの国にまで辿り着ける人は多くはないのです。
このお話のようにとんでもない業者もいますし、海を渡るということには遭難がつきものですから。

変人だったグレーンスが今回はまともに見えます。
意外と彼って子ども好きだったんですね。
天涯孤独のグレーンスにひょっとしたら家族のようなものができたかもしれません。よかったです。

この本から執筆者がルースルンドだけになりました。
そのためか読みやすく、軽い感じに仕上がっています。
グレーンス警部・シリーズも後二冊。どちらも「三日間」、「三年間」というように三という数字が使われています。
彼が、今度はグレーンスのいい相棒として活躍してくれるのかしら?
そう思いながら本を検索してみると…アラ。


<今週のおやつ>


シズカ洋菓子店のクッキー、No21.Autumn Bisucuitsが手に入りました。
ちょっとずつ、楽しみにしながら食べますわ。