「エトワール・ガラ2008」を観る2008/08/11

バレエを見だすと、次から次へといいバレエ団が来日するので、とっても困ります、笑。
来年10月にはニューヨーク・シティ・バレエが来るとか。
こんなに世界各国のバレエが観られるのは、日本だけですよね。

回のエトワール・ガラは、渋谷のオーチャードホールで行われました。
実はこのホール、私はあまり好きではありません。
できれば文化会館でやってもらえると、嬉しいのですが。

今回観たのは、パリ・オペラ座のエトワールが中心となっているガラです。
パンフレットを読むと、演目はすべて出演者自らが選んだものだとか。
アメリカン・バレエ・シアターのオールスター・ガラと比べると、演ずる人達にそれなりの思い入れがあったのが、よくわかりました。
最後のフィナーレがすごかったのです。

1)「ハムレット」第2幕より”パ・ド・ドゥ”
    シルヴィア・アッツォーニ
    イリ・ブベニチェク

「ハムレット」というからには、シェークスピアの時代のと思うでしょうが、なんと現代風「ハムレット」でした。
セーターを着て、荷物を持ち、どこかに行くために急いでいるハムレットが登場し、オフェーリアと踊ります。
キュートなオフェーリアです。
ハムレットは、あの苦虫をかみつぶしたような顔ではなくて、普通の気の良い男の子という感じです。

2)「ジゼル」第2幕より
    スヴェトラーナ・ルンキナ
    マチアル・エイマン

はじめて生で観る「ジゼル」です。
衣装の白いロマンティック・チュチュが美しいですね。
精霊となったジゼルというのが、よくわかりました。
全幕を観たいです。

3)「椿姫」第1幕
    エレオノラ・アバニャート
    バンジャマン・ベッシュ

マルグリットとアルマンの出会いのシーンです。
生ピアノの音と共に踊る二人。
ついつい音楽に眠気を誘われてしまいました、笑。

4)「メリー・ウィドゥ」
    マリ=アニエス・ジロ
    マチュー・ガニオ

や~、幕が開くと、眠気も吹っ飛びました。
でかい!なんてでかい女性!
マチューが小柄に見えてしまうほど、ジロさんは大きかった。
黒いマントを脱ぐと、なんと黒が基調で、胸のところが紫の刺繍(?)のしてあるクラシック・チュチュを着ていました。
後を向くと、赤いリボンが・・・。
なんということ。パリのエレガンスはどこに?
同じ演目を踊ったアメリカン・バレエ・シアターのジュリー・ケントは膝下まである白いシンプルなドレスで踊っていました。
その素敵だったこと。それと比べると・・・。
技術はあったのかもしれませんが、衣装で印象が悪くなってしまいました。
それからリフトをする男性がかわいそうに思えました。
体格で負けてる。ジロさん、あまりにも肩幅がありすぎ。
失礼なことばかり書いて、ジロさん、怒らないでね。

5)「ラ・バヤデール」第1幕より
    スヴェトラーナ・ルンキナ
    バンジャマン・ベッシュ

「ラ・バヤデール」は南インドの寺院を舞台にした悲恋物語だそうです。
特にこれといった印象はありませんでした。

6)「ロミオとジュリエット」第1幕より”マドリガル”
    メラニー・ユレル
    マチュー・ガニオ

ジロさんに負けていたマチューですが、「ロミオとジュリエット」では魅せてくれました。
初々しい、二人の出会いにうっとりとしました。
こういう踊り、好きです。

7)「思いがけない結末」
    アリ=アニエス・ジロ
    イリ・ブベニチェク

「メリー・ウィドゥ」では度肝を抜かせてくれたジロさんが、やっと本領発揮してくれました。(というか、あの衣装のため、踊りより体格に目が・・・)
白いシンプルなドレス姿はいいですよ。
日常生活の中の男と女のなにげないやりとりが、踊りの中で生き生きと描き出されていました。
ガラの作品の中で、特に好きなダンスです。
コンテンポラリー・ダンスの良さがわかりました。

8)「ベラ・フィギュラ」
    シルヴィア・アッツォーニ
    アレクサンドル・リアブコ
9)「カンツォーニ」
    エレオノラ・アバニャート
    バンジャマン・ベッシュ

コンテンポラリー・ダンスの体操みたいな振り付けは、あまり好きではありませんでしたが、でもまあ、いいかなと思えるようになってきました。
この2つ、後から思い出そうとしても、どっちがどっちだったか、わからなくなっています。
どちらも、よかったのです。
コンテンポラリー・ダンスって、意味を考えるのではなくて、感じることなのかなと、なんとなくわかってきました。

10)「バーンスタイン・ダンス」
    アレクサンドル・リアブコ

歌に会わせて、男性1人が踊りまくりました。
古典バレエでは、男性ダンサーは女性ダンサーの補助役かジャンプしてばかりいるという感じですが、コンテンポラリー・ダンスになってから、男性も自由に踊る場面が増え、男性ダンサーにとっては幸せですよね。

11)「ダンス組曲」
    マニュエル・ルグリ

大御所ルグリがバッハの「無伴奏チェロ組曲」に合わせて踊ってくれました。
唯一の難点が、衣装です。
ジロにしろ、ルグリにしろ、なんで衣装で失敗するんでしょうか?
真っ赤なTシャツとパンツですよ。
もっとダンディに決めて欲しかったです。
その点、アメリカン・バレエ・シアターの方がタキシードなど着ていて、素敵でした。
ルグリさんは音と一体になって、踊っていました。
この人にとって、踊りが喜びなんだなと思わせてくれるような、そんなダンスでした。

この後、フィナーレにはびっくりしました。
上から花吹雪とテープが落ちてくるわ、ダンス音楽が聞こえダンスを踊り、その後客席に行き、お客さんを舞台に上げ、一緒に踊るわ、マチアス&ルグリのピルエット・ア・ラ・スゴンド合戦から、ルンキナ、そしてマリ=アニエス・ジロのフェッテ、マチューの跳躍などなど。
ダンサーも楽しんでいる様子がうかがえました。
最後もジロさんが、存在感をかもし出していました。
私が酷評したチュチュ、気に入っているんですねぇ。
最後にも着てました。
彼女、コンテンポラリーが得意だそうで、そういう感じです。
素顔はかわいい人なのですが、舞台では「姉御」と呼びたくなりました。

とりあえず、夏のバレエ鑑賞は一休み。
次は10月、Kカンパニーの「コッペリア」で、また吉田都さんを観ます。
DVDで少しはバレエのことを勉強しておきますわ。