ロバート・ゴダード 『還らざる日々』2008/08/24

大ドンデン返しが得意なロバート・ゴダードの本です。
でも今回はたいしたドンデン返しはありません。意外とあっさりです。

主人公のハリー・バーネットはお人好しなのか、人に騙され、はめられ、えらい目にあっていました。
後書きには「骨のあるダメ男」と書いてあり、そんなにダメではないでしょうと、言ってあげたくなるほどです。
前作『蒼穹のかなたへ』や『日輪の果て』を読むと、かわいそうになるぐらい危機一髪場面があります。
でもゴダートですから、次から次へと真相が明かされ、最後はお約束事通りの展開です。

さて、今回もハリーははめられてしまいますが、彼一人ではなく、腐れ縁のバリーと一緒にです。
これがいいことだったのか・・・?

ハリーはあれから結婚をしてカナダに住み、娘も生まれました。
奥さんは大学の先生というインテリ。
何もカナダからイギリスに来ることないじゃないのと言いたくなりますが、母親が亡くなって家を片付けなければならなくなり、仕方なかったのです。

ちょうどハリーがイギリスに戻っていた時に、空軍時代の同窓会が開かれることになりました。
本当は出たくなかったのに、勧められると行ってしまうのがハリーらしいですね。
その同窓会というのは、軍の規律を破った罪をチャラにするから、ある特殊任務につかないかという申し出があり、その特殊任務を一緒にやった15人が集まるというものでした。
特殊任務の本拠地のキルヴィーン城まで行くのに、昔の仲間たちと電車に乗ったハリーですが、電車から一人いなくなります。
同窓会には15人のうち8人が参加していました。
しかし、来なかった人のその後の人生を聞いていくと、何人かが不審な死に方をしています。
電車でいなくなったアスキューは線路の狭間で死んでいました。
ハリーは最後に彼と話したということで、疑われるハメになります。
ここから「ダメ男」ハリーの本領発揮。
次々と同窓会に参加した仲間たちに不審な事件が起こり、ハリーと元仕事のパートナーのバリーが犯人として疑われます。
二人は自分たちの嫌疑を晴らすため、イギリス中を飛び回りまわることになります。

一体特殊任務とは何だったのでしょうか?
70代のハリーが身体をはって活躍しますが、バリーがハリーを上回る存在感を出しています。