山口 路子 『ココ・シャネルという生き方』2011/06/14



すぐ読める、簡単な本を読んでみました。
シャネルは有名な人なので、誰でも知っているでしょう。特にシャネル・スーツは一度は着てみたいものです。でも、フランスのシャネルまで行って作るのも面倒です。なんて言ってますが、本当のところ、お値段が高すぎて買えませんわ。

シャネルは孤児院で育ち、17歳の時に叔母と一緒にムーランの洋装店で働き始めます。その後歌手として採用され、スターの後ろで歌っていました。この時の持ち歌のひとつが『トロカデロでココを見たのは誰?』でした。この歌から「ココ」と呼ばれるようになったようです。

20歳の時にバルサンという愛人を持ちます。やがて歌手を辞め、バルサンに経済的援助をしてもらいますが、そういう生活に退屈し、当時の女性たちの生活が男の機嫌で左右されることに疑問を持ちます。女性の生き方を表しているのが、当時のファッションでした。
シャネルは女たちが着たりかぶっていたりした洋服や帽子を自分なりに変えていきます。まず、乗馬ズボンを作り、バルサンの服を借りて着たり、小さな帽子を作ったり・・・。
やがてシャネルの作った小さな帽子がバルサンの女友達の間で注目されます。
それでシャネルは帽子店をパリに開くことにしたのです。

帽子店が繁盛していた26歳の頃、アーサー・カペルと出会います。
カペルの出資のおかげでホテル・リッツの裏側に「シャネル・モード」という帽子店を開くこととなります。

1914年、31歳の時に第一次世界大戦が始まります。
シャネルは「シンプルで着心地が良く、無駄がない」を信条にジャージー素材に着目し商品化します。
1616年、シャネルの作ったジャージー素材のドレスがアメリカの『ハーバース・バザー』に掲載され、上流階級の女性がシャネルの店に殺到しました。

仕事では成功していたのですが、シャネルの心は満たされていませんでした。
カペルが他の女性と結婚したのです。カペルとの結婚を望んでいたのですが、身分を考えると、それは不可能でした。しかし、「新しい時代の男、カペル」なら、もしかして結婚してくれるかもしれないと思っていたのです。

それからのシャネルは色々な人と愛人関係を結びますが、結婚は一度もしません。

1920年からシャネルは色々なものをファッションに取り入れていきました。
裏地に毛皮を使ったコート、イミテーション・ジュエリー、香水「No.5」、「リトルブラックドレス」、ツィードのスーツ、リップスチック、チェーンのショルダーバック・・・。

黒は喪服の色だったをシャネルがモードな色にしたのですね。知りませんでした。

「「シンプル」と「貧しさ」を取り違えることほど馬鹿なことはない。
上質の布地で仕立てられ贅沢な裏地をつけた服が、貧しいはずはない」

この意見に賛成です。でも、私にはシャネルは似合いませんわ。

「二十歳の顔は自然がくれたもの。三十歳の顔は、あなたの生活によって刻まれる。五十歳の顔には、あなた自身の価値があらわれる」(シャネル 54歳)


本に載っていた五十歳代のシャネル。素敵です。やっぱり痩せている方がドレスは似合いますね。痩せないとダメか・・・。

1939年、56歳の時、第二次世界大戦が勃発してから、シャネルは香水とアクセサリー部門を除いて店を閉めます。
それから15年後の1953年、70歳でシャネルはモード界にカムバックします。
何故彼女はカムバックしようと思ったのでしょうか。
戦後流行ったディオールの「ニュールック」はシャネルの葬り去ったはずの上流階級の女のための服でした。
シャネルは発表したコレクションに対し、フランスのマスコミは酷評しました。
しかし、アメリカは彼女を受け入れました。シャネルのサクセスストーリーはアメリカンドリームそのものだったのです。

例え愛に恵まれなくとも、仕事に恵まれればいいじゃないと思います。彼女の成功は普通の人が得られないものですから。
それでもシャネルが幸せだったかというと、幸せではなかったのではないかと思います。幼いころ頃から貧しく、愛に恵まれなかったことが彼女を仕事に向かわせたような気がします。

「かけがいのない人間であるためには、人と違っていなければならない」

これが彼女の生涯を貫いている信条です。こういう思いがあったからこそ、彼女を他の人とは違うオンリー・ワンにしているのです。

今でもシャネル社はありますが、一体誰が彼女の跡を継いだのでしょうね。彼女には身内がいなかったはずです。

87歳でシャネルがリッツ・ホテルの部屋で亡くなった時、クローゼットにはスーツが二枚、白地とベージュ地にそれぞれ紺の縁取りをしてあるシャネル・スーツだけしかかかっていなかったそうです。
私のクローゼットを見ると、なんでこんなに着られない服があるんだろうというぐらいに沢山の服が入っています。自分を知っている人は少ない服で十分なんでしょうね。

この本の中に書いてあったイタリアの格言、気に入りました。

「遅くなってもやったほうがいい」

シャネルは70歳でカムバックをしたのですから、私なんてまだまだですね。
頑張りますわ。

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