垣根涼介 『君たちに明日はない』2011/12/06



久しぶりの経済小説です。
これもお仕事本。

なんと主人公の村上真介は首切り請負人。
三十二歳のイケメン君です。

「とうの立ってきたジャニーズ系のアイドルを、一晩ぬか漬けにしたような顔。美男子、とは言えないこともないが、ぱっと見た全体の雰囲気が、とにかく軽薄この上ない」

こんな人にリストラされたくはないですよね。
でも、彼、見かけに似合わずやり手なんです。
仕事は真摯な態度で臨みます。彼に調べられると、大変。痛い所をつかれます。
しかし、彼はいい奴なんです。リストラ請負人なのにいい奴と疑問に思うかもしれませんが、本を読んでいくうちにわかります。

会社も自分たちでリストラをやると恨まれますし、色々と面倒なんでしょうね。
真介の勤めているような企業に頼んでリストラやるんですね。知りませんでした。
でも、本当にこんな企業あるんでしょうかね?

リストラされる方としては、自分は会社でいらない人間かと、自尊心を著しく傷つけられます。辛いです。

「リストラ最有力候補になる社員にかぎって、仕事と作業との区分けが明確に出来ていない。つまり、自分の存在がこの会社にとってどれだけ利益をもたらしているのか」

こういわれると・・・。それほど利益をもたらしていないかもと、私なんか頭をうなだれ、小さくなってしまいます。
私って結構自尊心が強くて、あきらめがいいので、リストラ候補になったら、私を認めてくれない企業なんかにいてやるもんかと、すぐに辞めちゃいそうです。
辞めたら辞めたでどうにかなる。そう思えるのも、夫がいるからですけどね。夫がいなかったら、しがみつくしかない・・・?

リストラする企業は、建材メーカー、玩具メーカー、銀行、自動車メーカーのコンパニオン、音楽プロダクションの五社です。
それぞれの企業の意外な面がわかって、「ふむふむ」と思わずつぶやいておりました。

真介君、今時のイケメンなのに、実は北海道の片田舎出身なんです。
そして、熟女好み。デートはエスニック料理。
私の好みです。

このシリーズ続いています。
『借金取りの王子~君たちに明日はない 2』と『張り込み姫~君たちに明日はない 3』
どの話もリストラされた人が明るく、前向きに生きようとしているので、読んでいても暗くなりません。
甘いと言われそうですが、なんとかなるのが人生。
そう思って進んでいきたいですね。

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