大崎梢 『27000冊ガーデン』 ― 2023/06/05
アフターコロナになっていますが、コロナはなくなってはいませんね。
先週の金曜日に夫が職場の歓送迎会に参加しました。
そうすると、今朝、前に座った人がコロナに罹ったという連絡があったそうです。
まあ、ずっとその場所に座っていたわけではないそうなので、大丈夫そうですが。
今のところ夫も私も症状がでていません。
今月、人に会う機会が多いので、気をつけますわ。

学校図書館にまつわる謎を解く、人の死なないミステリー。
第一話:放課後リーディング
星川駒子は神奈川県立戸代原高校の図書館に勤める学校司書。
ある日、男子生徒から相談を受ける。「このままだとおれ、殺人犯にされてしまう」というのだ。
昨日、家ではじっくり本を読めないから、古い工場の中で読んでいると、人の声がして、何かが落ちる音がした。怖くなってその場から立ち去ったが、気になって戻ってみると、救急車やパトカーが来ていた。
次の日の朝、図書館の本をその場所に落としたことに気づいた。
警察が本を見つけ、学校にやって来て、取り調べに連れて行かれるんじゃないかと心配しているのだ。
実はその本は、中年のおじさんに返しておくように頼まれた二年生の女生徒が図書館に持って来ていた。
たまたまその時図書館に来ていて話を聞いていた取引先の書店員、針谷と共に駒子は謎に取り組むことになる。
第二話:過去と今と密室と
駒子は司書の地域ブロックの会合に出席した時に、恩人でもある幾田高校の司書、富田から聞いて貰いたい話があると言われる。
一昨日の水曜日の朝、図書館に入ると飾ったばかりのディスプレイがめちゃめちゃになっていた。図書館は三階、出入り口は一ヶ所で、鍵は一つしかない。
図書館の一件の前に理科室でもトラブルがあり、「科学部」と図書委員を兼任している生徒が疑われているという。
富田はその子のために密室の謎を解き明かしてほしいというのだ。
翌週の月曜日、幾田高校出身の針谷がやって来たので、駒子がその話をすると、針谷は彼が在校していた十年ちょっと前にも密室騒ぎがあったことを話し始める。
第三話:せいしょる せいしょられる
副校長が図書館にやって来る。真面目な数学教師の京山が急に欠勤するという連絡が入り、何かがあったのではないかと心配しているようだ。
京山が図書館をよく利用していると聞き、駒子が何か聞いていないかと思ったらしい。特に思いあたることがない駒子は京山が針谷とよく話をしていたことを思い出し、彼に知っていることがないか聞いてみることにする。
針谷に話すと、京山の欠勤と駒子の前任校が関係があるのではと言い出す。
駒子の前任校は横浜市内にある進学校の秋坂高校で、駒子にとってそこは触れられたくない黒歴史だった。
第四話:クリスティにあらず
この頃、変なことが三件続けて起こっていた。
生徒の私有物がなくなり、見つかったものの傍らに貸し出し手続きがされていない図書館の本が添えられていたのだ。
おかしなことにこの三つの出来事が「連続紛失事件」と名づけられ、瞬く間に校内に広まっていた。
針谷にこの話をすると、彼は裏で画策している人間がいるのではないかと推理した。いったい誰がと思う駒子。
第五話:空を見上げて
図書委員会は秋の読書週間にクッキング部とコラボすることになる。
駒子のところにクッキング部の生徒がやって来て、「春雨づくしのお料理が載っている本を教えてほしい」という。
昨年の六月に亡くなった彼女のおばあちゃんが以前言っていた本で、この学校にあるというが、駒子は全くわからない。
しかしいなくなった図書委員の子がその本を見つけたと言っていたという。
その子のことを知っているユーカリ書店の人に会いに行くと、彼女はいなかったが針谷がいたので、駒子は彼に相談することにする。
27000冊というのは、高等学校図書館にある本の平均的数でしょうね。
学校司書の駒子ではなく書店員の針谷がホームズ役で、謎を解いていきます。
駒子さんの学校司書という仕事に対する熱意には感心しましたが、あまり個性が感じられませんでした。
同じように針谷さんも切れる人なのはわかりますが、キャラ立ちしてません。
この本の中に出ていた本や作家はよく読まれているので、まだ読んでいない人は読んでみることをお勧めします。
残念なのは、出てきた本をまとめて後ろに載せていないことです。
何か理由があるのかしら?第二版から載せて下さい。
私は原田マハの『星がひとつほしいとの祈り』を読んでみようと思いました。
神奈川県は県立図書館司書と同様に県立学校司書も公務員として採用しているんですね。
東京都では都立高校図書館は民間に業務委託していたのですがやめて、2021年から「都立学校図書館専門員」(会計年度任用職員)を採用するようにになっているみたいです。
この本はミステリとして読むよりは、学校司書のお仕事を描いた本として読んだ方がいいです。
学校司書に興味のある方、是非読んでみて下さい。
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