二人の漫画家――鬼太郎とサザエさん2010/11/02

NHKの朝のテレビ小説で人気があったのが、『ゲゲゲの女房』でしたね。仕事が休みの時に2,3回見たことがあります。のほほんとした美男美女が、昭和時代の平和な日常を演じていました。実際はどうなんでしょう。

普段はこういう本を読まないのですが、図書館にあったので、読んでみました。


言ってみれば、水木しげるの妻が自分たちの貧乏生活を赤裸々に(誇らしげに?)語ったという感じかな。

一昔前はああいう結婚が当たり前だったのでしょうね。
娘が鬼太郎の娘と言われるのが嫌で、学校で父のことを隠していたということは、よくわかります。女の子ですからね。男の子だったら自慢しまくりでしょう。

水木しげるは家族を大事にするらしく、家族が彼を支えていたようです。この様子は長谷川家と似ています。

感心したのは脚本家。よくこの本から、あれだけの内容にしましたね。一番の功労者です。

もう一冊は、日本を代表する家族を描いた長谷川町子の妹が書いた本です。これまた興味はなかったのですが、よく話をする司書さんが勧めるので読んでみました。


サラリーマン家庭を描いた長谷川町子ですが、実際は独身です。サザエさん一家は彼女の空想上の理想の家族なのでしょうね。

長女まり子(2歳上)、次女死亡、三女町子、四女洋子(1歳下)。この4人娘が長谷川家の子供でした。

町子は元気いっぱいのガキ大将。それなのに内弁慶。ひとつのことに集中しすぎるらしく、スリには合うし物は忘れるし。

父が亡くなった後、一家の長となった孟母が、町子に漫画を描かせるために他の姉妹にも協力させます。

挿絵画家だったまり子は画家を諦め、町子の本を出版する姉妹社の社長になり、洋子は病気で仕事を辞めていたのをいいことに、姉妹社を手伝わされます。

<串だんご>というほど仲のいい姉妹でした。

しかし、仲がよいとはいえ、同じように考え、行動し、同じ家に住んで生活しなければならないということが、洋子にとっては苦痛になってきたのです。
生涯独身であった町子や、結婚まもなく夫が出征し戦死したまり子とは違い、夫が若くで亡くなり、2人の子供を残された洋子には子どもとの家庭があります。
なんでも一緒にやらなきゃ我慢のならない母や姉たちの存在が精神的な負担になっていたのでしょう。

洋子が新しい家に一緒に住むのを拒否したことから母と姉たちとの溝は広がり、取り返しがつかなくなりました。
後に町子が亡くなった時も、まり子からは連絡がなかったそうです。
その上、本にははっきりと書かれていませんが、母や町子の遺産相続放棄を強制されたようです。

恐るべし、長谷川家。

何十億(すごい!!)という遺産をまり子はどうしたのでしょう?
そのお金で長谷川町子美術館を作り、運営資金にしているんでしょうか。
たぶん、そうなんでしょうね。

もし、母と姉が生きていたら、こんな本出せなかったんじゃないでしょうか。下手をすると訴えられますよね。

同じ漫画家家族でも、違いますね。

水木家の家族が協力したのは、自主的になんでしょうね。そうは思いたくないけれど、男と女の違いでしょうか?

描くものと人格は別物。そんなもんなのでしょうね。