「キャピタリズム~マネーは踊る~」を観る2011/07/25

昨年マイケル・ムーアが日本に来た時の映画を今頃DVDで見ました。
原題は「CAPITALISM:A LOVE STORY」です。
この映画を見て、ムーアはキリスト教徒なんだなぁとつくづく思いました。
だって聖職者にインタビューしているんですもの。
さて、ムーアが資本主義をどう料理したのか見ていきましょう。
(ネタバレあり)


戦後アメリカ市民は消費社会を謳歌していましたが、その後レーガンが大統領になった頃から経済界とウォール街が国を掌握したとムーアは言っています。
そう、今回やり玉にあがったのが、お馴染みのブッシュではなくてレーガンです。

レーガンが1980年11月4日大統領就任した日にメリルリンチの会長が財務長官に就任し、彼は富裕層に減税を実施。後に主席補佐官にまでなったそうな。
この頃から国が「企業のように運営される国へと一変」。
レーガンは目先の利益のためにアメリカの産業基盤を大規模に解体していきます。
ようするに、組合つぶしとリストラを行い、労働者は過剰労働をしいられていきます。
働けど働けど我が暮らし楽にならずという状態になってきたのです。(『ロジャー&ミー』の世界)

世帯の借入額がGDPのほぼ100%になり、自己破産が610%増。
数百万の市民が投獄(355%増)され、抗鬱剤の売り上げが急増(305%増)、医療費が釣り上げられ、市民の半数が生活保護。
その反対に、平均株価は137%増、従業員とCEOの報償比がなんと649%増。
アメリカ社会は「何も持たざる者」と「すべてを持っている者」との二極化になっていきます。

シティバンクは2005年から2006年に最富裕の投資家に向けて3通の極秘メモを書いていました。
メモ曰く。現在は底辺の95%より多く富を所有する1%の最富裕層が独占的に支配し利益を得る社会になっており、富者は”新貴族”であると称え、こういう状態は当分続くであろう。脅威は「正当な富の配分への社会的要求の高まり」である。何故なら非富裕層には経済原動力はないが投票力、一人一票の力があるからである。

アメリカ人の非富裕層99%は何故黙っているのか。

例えばペンシルヴェニア州のウィルクスバリでは、判事と営利施設が癒着しており、子供たちがどんな罪を犯しても(マリファナを吸ったり、夕食の席で口論し、ステーキを母親に投げつけたり、買い物中に友人と喧嘩したりしても)施設に送られるのです。施設に収監された子供たちはかわいそう。収監されただけでもとんでもないのに、理由もなく期間を延ばされたりしています。

アメリカのパイロットの年棒は40%カット、企業年金も廃止、副操縦士の年棒は1万9千ドルから2万ドルぐらい。学生ローンの借金が8万ドルから10万ドルもあります。パイロットなのに低所得者へ与えられるフードチィケットをもらっていたなんて、信じられません。
日本ならパイロットは高給取り。アメリカでは違うんですね。アメリカの飛行機、大丈夫?

アメリカの企業の中には従業員に内緒で死亡保険をかけているところがあります。従業員が健康で働いてくれる方がいいと思うのですが、違うんです。従業員の死を望んでいるのです。それも若い女性が一番儲かるそうです。

他にも色々とひどいことはありますが、何故99%は黙っているのでしょうか。
アメリカンドリームを信じているからなのです。
”努力を続けていれば、いつか金持ちになれるチャンスが来る”と信じているのです。
そんなこと絶対にありえないのにね。

オバマの大統領選の時、彼のライバルは彼のことを社会主義者と言って貶めようとしたようです。しかし、この恐怖作戦をすればするほどオバマへの支援が上がったそうです。
 
ムーアはルーズベルト大統領を崇めています。彼は「資本主義は悪だ。悪は規制できない。排除して、すべての人々のためになる何かと取り替えねば」と言っていたからです。

民主主義イコール資本主義ではありません。
CEOも普通の従業員も同じ年棒という企業が出てきました。なんと収益が上がっているそうです。CEOの人はそんなにお金を稼いでどうするんだ、なんて言ってます。真っ当な人です。彼のように考える人が増えると、平和な世の中になるのでしょうね。金に価値を置く人が増えると、フクシマのようになっちゃう・・・(とは言い過ぎですか)。

さて、ムーアの映画でお馴染みのアレ、「突撃!銀行へ金を返せと言おう」です。
サブプライム・ローンで市民は家を奪われ、銀行は国から1700億ドルもの救済金をもらいました。
この救済金はどこに消えたのか?
どこの国でも銀行って守られているのですね。不況になったからと銀行員の給料が下がったなんて聞いたことないですもの。

次は何を取り上げるのでしょうか、ムーアは。

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