髙田郁 『八朔の雪』2012/04/20



日本の本で料理をもとにした、おもしろい本がないかと思っていましたら、ありました。職場の人が勧めてくれた本です。
江戸物ですが、女料理人がでてくる話です。
ここ一週間ばかりは、このシリーズで楽しめました。

澪は大阪で起きた洪水で両親を亡くし彷徨っている時に、ひょんなことから名の知れた料理屋「天満一兆庵」の御寮さんに助けられ、女衆として奉公することになります。味の見分けができることから料理人になる修業を許されました。
ところが火事が起こり、「天満一兆庵」は焼けてしまいます。
江戸店を任せた息子の佐兵衛を頼り、旦那と御寮さんは澪を連れ江戸に来たのですが、佐兵衛は行方も知れず。旦那は無念のまま亡くなってしまいます。
御寮さんと二人でどうしようと途方に暮れている時に、手を差し伸べてくれたのが、神田明神下御台所町の蕎麦屋「つる家」の店主の種市です。
種市の腰が悪くなったのを潮に蕎麦屋は止め、澪は料理人として店を切り盛りすることになります。

澪には旦那から託されたことがあります。それは息子の佐兵衛と一緒に「天満一兆庵」を再建することでした。

料理を食べてくれる人のことを第一に考え、料理人街道をいろいろな辛苦を乗り越え進んでいく澪がとても愛おしいです。

幼馴染のこと、思い人のこと・・・。
なんでこんなに色々なことが起こるのかと言いたくもなりますが、最後はきっと納得のいくものになると信じて読んでいきますわ。

西洋料理もいいのですが、和食の奥の深さが読んでいて身に染みました。
和食は季節を大事にするのです。
でてくる料理のひとつひとつに涎が出そうになります。
巻末にレシピがありますので、試してみてもよさそうです・・・と言いながら、いつもやらない私ですが。

料理人のみならず、仕事をする人になるほどと言わせる言葉がありました。

「精進を続ける人に『ここまで』はないんですよ。『ここまで』がどうかは、周りが決めることではなく、自分自身が決めることでしょう」

本は『八朔の雪』、『花散らしの雨』、『想い雲』、『今朝の春』、『小夜しぐれ』、『心星ひとつ』、そして、『夏天の虹』と八冊でています。
書いた当初は5冊ぐらいで終わるつもりだったそうですが、このままでいくと10冊以上は行きそうな感じです。
このシリーズ、ドラマ向きだと思うのですが、どこのテレビ局も手を出していないようです。何故でしょう?
同僚と誰が澪ちゃんにぴったりかと話しました。
私は宮崎あおいがいいかなと思いましたが、どうでしょうか?

江戸物好きにはお勧めのシリーズです。

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