ヘニング・マンケル 『殺人者の顔』2021/05/16

スウェーデンの警察ミステリー。
クルト・ヴァランダー・シリーズの一作目。


イースタ署の刑事クルト・ヴァランダーはオペラを愛する中年男性。
三ヶ月前に妻が出て行き、娘は家出、画家の父親との関係も上手くいっていません。
妻が出て行ってからの不規則な食事のせいで、この頃太ってきました。
酒を飲んで車を運転して、仲間に捕まりましたが見逃され、なんとも情けない刑事です。

早朝、電話で起こされました。
レンナルプに住む農家の老夫婦の妻が縛られて床に転がっていて、側で誰かが死んでいるというのです。
行ってみると、老夫婦の寝室は血の海。夫は惨殺されていました。
病院に運ばれた妻は「外国の…」と言って亡くなってしまいます。

ヴァランダーが働いているのは南部スコーネ地方の田舎町イースタです。
イースタは南部で一番大きい町のマルメから電車で一時間、一日数本しか電車が通っていません。
なんでこんな町が舞台なのかと思ったら、翻訳者によるとイースタはバルト海に面した港町なので、ドイツ、ポーランド、エストニア、リトアニア、ラトヴィアから亡命者や経済難民が沢山やって来ているというのです。
移民達の逗留所があり、事件では重要な役割をはたしています。
詳しくは後書きを読んでください。

移民に対して反感を持った人たちがいるため、大っぴらに妻が最後に言った「外国の…」を発表するわけにはいきません。
ヴァランダーはイースタ署の面々、特に鑑識担当の刑事・リードベリと連携を取りながら、事件を解決していきます。

北欧の荒涼とした様子が迫ってくる作品です。
ヴァランダーのことが好きになれるかどうかで、続けて読むかどうか決まるでしょうね。
私は…、今回の彼のことはあまり好きになれませんでした。
リードベリの方が素敵です、笑。
続けて読むかどうかは…?
BBCでドラマ化されているのですが、なんとヴァランダーがケネス・ブラナー。
人気があるシリーズなのでしょうね。