帚木蓬生 『三たびの海峡』2008/10/22

帚木蓬生のちょっと毛色が違った本を読みました。
彼がとりあげた題材は医療関係ではなく、日韓の不幸な歴史です。
学校では教えてもらえなかった歴史です。

1910年の日韓併合で日本は朝鮮半島を領有しました。
この年から1945年までが日帝時代と呼ばれています。
この本には、天皇陛下の臣下として強制連行され、九州の炭鉱で働かされ、人間以下の生活を強要された朝鮮人の苦悩が描かれています。

主人公の河時根(ハーシグン)は病弱な父親の代わりに、日本の炭鉱に送られます。
炭鉱では想像を絶する悲惨な日常が待っていました。
食事も満足に食べられず、仕事はきつく、逃亡すると捕らえられ、すざましい暴力が…。
河時根はなんとか逃亡に成功し、無事に朝鮮の故郷の町に戻るのですが、日本人の妻を連れて行ったことで、家族から疎まれてしまいます。
しばらくして子供が生まれ、これからという時に、妻と子は日本に連れ戻されます。
それから河時根は日本を忘れようとして生きてきました。
ところが、あることを聞き、彼は再び日本に行こうと決心するのです。

読みながら、辛くなります。
韓国と日本の歴史は勉強したことがあります。
日本がしたことは忘れてはならないことです。
二度と同じ誤りを繰り返さないように、きちんと歴史を学ぶことが必要だと思います。

帚木蓬生さんの本の中で、ぜひ読んで欲しい本の一冊です。