村田沙耶香 『コンビニ人間』2018/08/23

2016年の芥川賞受賞作です。
図書館で予約していたら、とんでもない数の予約者でした。
未だに600人以上が待っています。
文庫本になったら買おうと思っていたら、図書館の方が速かったです。

他の人とも話したのですが、芥川作品ってよくわからない、おもしろくないということで、意見の一致をみました(笑)。
この作品も、残念ながら待ったかいもなく私の趣味とは違いました。


36歳未婚、他の人とは違う感性を持つ恵子は普通の人と同じ行動を取るために、マニュアル化されているコンビニのパートで働く日々。
家族からも友人たちからも、普通を望まれ、普通を演じようとし、コンビニ以外では生きれない自分を感じている。
何故か元同僚の白羽と同棲することになるが・・・。

恵子は今でいう特別支援児なんでしょうね。
何が普通で何が異常かなんて、なかなか線を引けません。
極端に違っていれば、それが異常になりますが、少しのブレなら普通の範囲に入りますからね。
私も普通からズレている部分が結構あるからなぁ(笑)。
それにしても普通であれという周りの圧力ってすごいですね。
他の人に迷惑をかけない限りにおいて、好きに生きていいと思います。
人を止めようとして、スコップで殴るのはまずいですが。



「ママさん、僕は普通の犬ですか?」by 弟。
「違うわね。お兄ちゃんが普通で、あなたはバッチイ犬よ」by Mom。
「ママさん、ひどい(泣)」by 弟。

犬を連れて軽井沢へ2018/08/26

夏の旅行の予定がなかなかたたず、やっと旅行に行ってきました。
初めは海外だったのに、夫の仕事の都合で近場になってしまいました。
もう始まった学校もあるので空いているかと思ったら、軽井沢は結構人が多かったです。
昼食を食べようとハルニレテラスへ行くと、人がいっぱいいます。
パンを買って食べることにしましたが、パン屋も混んでいて、お値段も観光地価格でした。
味は普通です。

宿に着くと、人も犬も大好きな弟犬が駐車場にいた従業員の方に寄っていき、撫でてもらい、喜んでいました。
兄は臆病者で初めての人や犬が苦手なので、ワンワンと吠えます。
フロントの女性が兄に、「怖がりなのね」と言いながら、優しく撫でてくれました。
このホテルの人たちは犬の扱いに慣れているようです。
今までのホテルでは犬には触れる人はいなかったわねぇ。

部屋に入ると、犬たちが落ち着きなくうろつき回ります。
弟犬はここぞとばかりに兄を押しのけ甘えてきます。

部屋に狭いドッグランがあります。


早速、兄はクンクン匂いをかぎに行きました。


走り回るには狭いかしら。
疎水が流れているので、そこに散歩にいきました。


天気がよくて気持ちのいい道です。
弟は暑くて早々にギブアップ。


散歩から帰って、暑くて長い舌を出している弟です。

夕食はフレンチのフルコースです。
犬を連れていってもいいのですが、他の犬を見ると兄犬がワンワンと吠えてうるさいと思ったので、犬たちはお部屋でお留守番です。
弟は家では吠えますが、外では全く吠えないいい犬です。
弟だけ連れていくと兄がふてくされるといけないので、二匹共に一緒にお留守番です。


前菜の後に白身のお魚。


サラダと信州牛のメイン料理は肉が柔らかくてとろけるようでした。
もっとお肉が多くてもいいわ。


食事の後、ソファの上に寝転びまったりとしている犬たち。
私がソファに座ると、二匹がやってきて膝に座ろうとします。
弟がいつも座れないので、ここぞとばかりに兄を押しのけて座ろうとします。
寝る時はハウスに入れますが、弟が夜中に吠えていました。
悪い夢でも見たのかしら?

次の日は朝食前にお散歩です。


お散歩の用意をして、パパを待ちます。


兄の写真を撮ろうとすると、相変わらず顔をそむけます。
疎水の横を30分以上も歩きました。


お散歩から戻って、昨夜買ったボールを投げてやると、早速、遊ぼうとしますが、人間の朝食の時間がきたので、遊びも終わりにしました。


朝食は洋食で、パンが好きなだけおかわりできますが、結構な量なので、お腹いっぱいになりました。

運転手の夫は昨夜眠れなかったと言って、朝食後また寝ています。
明日仕事があるので、どこに行っても混んでいると思うからと、早く帰ろうと言い出しました。
結局、何処にも行かず、長野県出身の美容師さんに一度は行った方がいいと言われたスーパーのツルヤに行ってから帰ることにしました。
犬は満足しているでしょうが、ママは不満足です。
そのためツルヤで爆買してしまいました(笑)。


ネットでいいと書いてあったものを買ってみました。
ジャム、ソース、コーヒー、ポテトチップス、etc.。
本当に美味しいかどうか、食べてみてのお楽しみ。
私って物よりも美味しい食べ物を買う方が好きみたいです。

今回は犬のための旅行でしたが、次回は空いている軽井沢へ、人間のために行ってみたいです。

垣谷美雨 『老後の資金がありません』2018/08/27

今朝、犬たちは静かでした。
いつもは私が目を覚ましたのに気づくと兄のクンクンする甘え声が聞こえてくるのに。
しかし、二匹共に〇んちをしていました。
弟は旅行先では優等生だったのに、家に帰ると困ったちゃんです。
〇んちはトイレの外です。
お〇っこはトイレの周りに漏れてます。
また遊びに行く予定なので、しばらくいい子にしていて下さいね。



気になっていたのですが買わずにいたこの本を、職場の同僚が貸してくれました。

50代の後藤篤子は老後の資金がやっと1200万円たまり、これでなんとか安泰か、と思っていました。
しかし、何事にもおっとりした娘が結婚することになりました。
仕事に向かない娘の将来を心配していたのですが、これで安心、と思ったら、なんと夫になる人の実家が金持ちで付き合いがあるからと、盛大な結婚式を執り行うことになってしまったのです。
その資金、500万。
地味婚をしてもらいたいのに、夫が娘にそれぐらい払うと言っちゃいました。
婿さん側の都合なんだから、資金を多く出してくれればいいのにと不満に思いつつ出してしまい、残り700万円也。
それなのに派手婚をした娘がどうも婿とうまく行っていないような・・・。

今度は夫の父親が亡くなり、義姉が自分はずっと両親の世話をしていたのだから、夫に葬式代300万円、全部払えと言ってきます。
これまた派手な葬式で、来る人もそれほどいないのだから地味にすればいいのに、
義姉の夫の稼ぎは1500万円もあり、金銭的に余裕なはずなのに・・・。
その上、高級老人ホームに入る姑の生活費9万円までも送金しなければならなくなります。
義姉が面倒みりゃいいのにと文句もいいたくなります。
残り400万円也。

そうこうするうちに、今度は自分がリストラに。
50歳を過ぎた女に事務の仕事はない。
そして、夫も・・・。

次々と起こる出来事に対処するたびにお金がだんだん減っていきます。
どうしよう。姑の生活費の9万なんて払えないわ。
と義姉に言うと、何故か姑を引き取ることになってしまいます。

この姑を引き取ったことから、風向きが変わってきます。
姑さん、ただ者じゃなかったです(笑)。

前半、どうなるのかと自分のことのように暗くなりましたが、後半に姑さんが登場すると、パッと明るくなりました。
暗いままでいくと、篤子と夫が借金を苦に自殺とまでなりそうな感じでしたからね。
少しぐらい現実離れしても、明るいトーンで終われてよかったわ。

老後にいくらあればいいのでしょうか。
マスコミの挙げている金額は現実的ではないように思います。
知人の父親は65歳から年金をもらえるようにしていたら、64歳でなくなってしまったそうです。
老後のために貯めていても、使わないで亡くなってしまうということもありますからねぇ。
うまく葬式代ぐらい残して死ねるといいのですが、死期はわからないですから。

老後が心配な人は前半部分を読んで参考にしてみるといいかも。
そして、子どもや親とどういう結婚式や葬式をしたいのか話し合いましょう。
我が家や知人たちの子の結婚式費用は子どもたちが自分たちで用意し、親は援助していないです。
お金を出さないので結婚式に関して口出しできず、それに文句を言っていましたが、いい子どもたちではないですか。
葬式費用は親が遺してくれていました(ありがたやぁ)。
そのわりに老後資金がないわ!
どうしましょう(笑)。

知念実希人 『祈りのカルテ』&『崩れる脳を抱きしめて』2018/08/28

知念さんの『仮面病棟』はあまり好きではなかったのですが、『神酒クリニックで乾杯』がまあまあで、『崩れる脳を抱きしめて』が本屋大賞にノミネートされていたので、2作品を読んでみました。
どちらもサクッと読めます。


医科大学附属病院の研修医・諏訪野良太のお話。
諏訪野は初期臨床研修で、内科、外科、小児科、皮膚科など様々な科を回り、未だに専門をどこにしようかと迷っている。
何回も睡眠薬過剰摂取を繰り返す女性や初期胃がんなのに内視鏡手術を拒否する男性、火傷の理由で嘘を言う女性、喘息発作で運ばれてきた女の子、心臓移植をしないと生き続けられない女優など、主治医が気づかない患者の隠された気持ちを的確に掴んでいく諏訪野。
最終的に彼が選んだ科とは。

彼のような医師がいると患者にはありがたいのですが、実際はいないわよねぇ。
ホント、読みやすい本です。
しいていうと新米医師が出てくる話なら、『神様のカルテ』のようなのが私の好みです。



これまた脳外科医を目指す研修医のお話。
広島の大学から神奈川の葉山の病院を紹介され、実習に来た碓氷は最悪の脳腫瘍を患うユカリと言う女性と出会います。
ユカリは脳に爆弾を抱えたまま病室に閉じこもり絵を描き続けていました。
いつしか二人は心を通わせていきますが、実習を終えた碓氷は広島に帰ります。
そこでユカリが亡くなったことを知り、そのことを確かめるために葉山の病院を訪れると、ユカリという患者はいないと言われます。
ユカリは碓氷が作り上げた幻像だったのか・・・?

勝手に仲良くやってくださいという感じの三分の二。
そして、ミステリ色が出てくる最後の部分。
う~ん、どう考えてもミステリというよりも恋愛物でしょう。
嫌いではないけど、読まなくてもよかったなぁ・・・。
まあ、それこそライトノベルと思って読めばいいのでしょうね。

医師の書いた小説の中では一番ライト級ですね(笑)。

東野圭吾 『マスカレード・ナイト』2018/08/29



マスカレード・シリーズの三作目。

マンションの一室で若い女性が死んでいるようだという匿名通報の後に、犯人がコルテシア東京のカウントダウンパーティに姿を現すという密告状が警視庁に届けられます。
そのパーティでは参加者がみな仮面を被り、仮装しているといいます。
何故、密告者は犯人を知っているのか。
どうやって犯人を見分けるのか。

捜査一課の刑事・新田浩介は前回同様にまたホテルの潜入捜査を命じられます。
新田の指導にあたったフロント・クラークの山岸尚美はコンシェルジュになっていました。
そのため新田の指導に当たったのが、仕事に忠実な男で、部外者の新田はいてもいいから何もするなと言われてしまいます。
不審な宿泊客を見つけ、色々と調べるのですが・・・。

犯人を捜すよりも、コンシェルジュの仕事の方に興味がありました。
コンシェルジュはできないとは絶対に言わない。
そのためにどんなお客の理不尽さにも答えなければならない。
山岸は頑張り、この後、彼女のキャリアは思わぬ方向へ進んでいきます。
今までのようにフロントでの山岸と新田の関わりが少なくなった分、事件とは関係ない山岸のことが描かれていて、前作よりも面白味が少なくなったようです。
これは次の事件への前振りかしら?

乃南アサ 『水曜日の凱歌』2018/08/31

軽井沢のツルヤから買ってきた商品を少しずつ食べています。
最初に使ったのが、バジルソースとくるみ味噌ソース。
バジルソースはズッキーニにかけてチーズで焼くと美味しかったです。
くるみ味噌は肉に付けて焼いたり、ナスと炒めるといいですが、これをやるとすぐになくなってしまいます。
りんごバターは定番のトーストに付けて食べました。
刻まれたりんごの優しい甘味が嬉しいですね。
ポテトチップスのりんごバター味は甘みとすっぱ味が絶妙で、私は好きです。
ポテチは塩辛いのが好きという人には勧めません。
りんごかりんとうはポテチよりも甘味が勝っていて、りんご風味が強いです。
ちょっと甘いかな。
私は味噌かりんとうの方が好きです。
ドライフルーツはレモンとオレンジを食べてみましたが、レモンのすっぱ味がきいてますが、すっぱ過ぎず美味しいです。

バジルソースやくるみ味噌ソースは他のメーカーのを使ったことがないので比べられませんが、美味しいです。
りんごバターはジャムよりも甘味がくどくなくていいかも。
レモンのドライフルーツはいいですよ。

旅行に行ってから1㎏太ってしまいました。
そりゃあ、毎日ツルヤの甘い物を食べていれば太りますよね。
気をつけますわ(笑)。



戦中、父と兄、妹を亡くし、母と二人きりになった14歳の鈴子。
父の友達の宮下に助けられて、なんとか住む場所と食事は確保できた。
戦後、母は英語を話せたことから、RAA(特殊慰安施設協会)で通訳として働き始めた。
今までは前にでることはなく、父の陰に隠れていた母が変わっていく。
男に頼る女から、したたかに男を利用する女へと。

「怒りや絶望を糧にしてでも、お母様は誰よりも早く戦争の痛手から抜け出そうとしている。そのためなら、どんな努力も厭わないし、場合によっては手段も選ばない」
「変わらなきゃ、生きていかれやしないってことなのよ」

戦時中は『産めよ殖やせよ』、戦争に負けたら、今度は外人どもに体を差し出せと、いいように利用される女たち。
そんな女性たちの姿を見ながら、逞しく生き抜こうとする母を冷たい目で見つつも、自分自身のふがいなさと後ろめたさを感じる鈴子。

少女の目から見た戦争と戦後が描かれています。
RAAのことはこの本を読むまで、全く知りませんでした。
「米兵から良家の子女を守るために」ということで作られた国営の売春機関だそうです。
結局、本にも書かれていますが、性病の蔓延などから廃止されます。
RAAが存続していた7ヶ月の間に7万人の女性が売春を強要されていたそうですが、一体、良家の子女って誰のことですか・・・。
父や夫を戦争で奪われ、暮らしていくすべを持たない女性たちが、国にこのようなことを強いられたということですよね。
戦争は弱者により過酷です。

読み終わってから、鈴子とその母、友人の勝子、ミドリ、モトなどの女性たちが戦後、どのように生きていったのかを知りたいと思いました。
是非、彼女たちのことを書いてください。

最後に「水曜日」とは敗戦の8月15日と戦後初の新選挙法による衆議院議員総選挙が行われた4月10日です。
その時、39人の婦人代議士が誕生。
それから私たち女性の立場はどれほど変わったでしょうか。