原田ひ香 『まずはこれ食べて』2020/02/01



ほっこりする食べもの系を期待して読んだのですが、ちょっと嫌な感じの残るお話でした。

大学時代の友人たちが企業した医療系ベンチャー「グランマ」の従業員は、社長の田中とIT担当の百田、事務担当で紅一点の胡雪、営業担当の伊丹、それにバイトたちです。
もう一人、企業言いだしっぺの柿枝がいましたが、今は行方不明。
彼の不在が微妙な影を与えています。
大手が契約してくれたおかげで仕事も順調、忙しさにみんなの生活は不規則になり、食事もおろそかになる始末。
社内も殺伐とし、これではいけないと思った社長の田中が会社の費用で家政婦を雇うことにします。
そして、家政婦の筧みのりがやってきます。
愛想はないが完璧な家事を行い、料理が上手いという50代の女性です。
彼女のおかげでみんなの生活は少しずつよくなっていきます。
しかし、それと同時に隠していた秘密が徐々に暴かれることに・・・。

いつまでも仲良しこよしの仲間ではいられない。
それぞれが自立して、それから一緒にやるなら良いのだけどね。
事実を知った後、「グランマ」がどうなるのかは別のお話。
筧さんが色々な会社に家政婦として行くというので続きが書けそうですね。
「家政婦の筧さんが見た・・・」なんてね(笑)。

出汁をたっぷり使い作る料理は美味しそうです。
特にかやくご飯、食べたいわぁ。
私が作るかやくご飯は何故かべちゃっとして美味しくないのよ。
炊飯器の水加減が未だにわかりません。

お話に喉に引っかかった骨みたいなところがあるのですが、そこに筧さんの作るご飯がでてきて、ほっこりします。
食べることは人間の根底なのですね。
さて、今夜は何をたべようかしら。