出水千春 『吉原美味草紙 (2)&(3)』2021/05/01



道場主であった父が亡くなり、大阪から江戸に出てきた平山桜子(さくら)は三十歳。伯父の店で料理の修業をしようと思っていたら、伯父は亡くなっていました。
ひょんなことからいとこの力也と一緒に竜次の働いている吉原の妓楼<佐野槌屋>の台所で働くことになります。

『吉原美味草紙 (2) 懐かしのだご汁』
さくらが<佐野槌屋>で働き出してから五ヶ月が経ちました。
肝ノ臓の病で倒れた楼主の長兵衛がさくらに前の女房のお滝との唯一の思い出である小禽雑炊のことを話してくれ、作る約束をしたその夜、長兵衛は亡くなってしまいます。
彼が最後にさくらに願ったのは、義理の母のお勢以と娘のおるいとの仲を取り持って欲しいということでした。
さくらのおせっかいの虫が騒ぎます。

長兵衛が亡くなってから女将お勢以の後見人として長兵衛の弟喜左衛門がやってきます。
彼がお勢以を手籠めにしようとしたのを止めたさくらは恨みを買い、難癖をつけられ見世を追い出されてしまいます。
竜次が奉公先として瓢亭という小汚い居酒屋を探してきてくれます。亭主の正平は味音痴でしたが、心根はいい人でした。何故かお客は滅多に来ませんが、ここで働きながら佐野槌屋にいつか戻ろうと思うさくらでした。

一方、さくらのいなくなった佐野槌屋では、喜左衛門が権力をふるい始め、千歳の突出しでは大層なお披露目をしない、売れない女郎は他の小見世に売る、言うことを聞かない奴は辞めさせるなどということをやり始めます。
佐野槌屋がどうなるのか、気をもむさくらでした。

『吉原美味草紙 (3)人騒がせな蟹祭り』
千歳が三代目佐川の名前を継ぐお披露目の花魁道中が盛大に行われました。
しかしそのすぐ後に、吉原で火事が起こります。
竜次は花魁佐川の願いを聞き入れたため右手に怪我をしてしまいます。
包丁が元のように持てるのか心配するさくら。

そんな頃、さくらはお披露目の宴会に来ていた白水屋の大泉由右衛門に声をかけられます。彼は竜次を知っているといいます。
竜次こと竜太郎は名のある御家の次男坊で、生まれついてのだんじり狂いで、だんじり祭りの花形だったのですが、十年前に突然出奔しました。父親の彦左衛門に恩がある由右衛門は、竜太郎が出奔した事情を知りたいというのです。
またさくらのおせっかいの虫が…。

三十歳というと昔は大年増と言われていました。それなのにさくらは随分幼い感じがします。そして竜次は言葉の下品な男という風に書かれていて、残念ながら両人ともにあまり魅力が感じられません。
おまけに肝心のお料理も美味しそうには思えません。
それなのに何故読むのかと言われそうですが、吉原のことを知りたいからということもありますし、実は他の女料理人の本と思って買ってしまったのです、恥。
次の巻で思い人と結ばれて終わりになるかも、笑。

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