坂井希久子 「居酒屋ぜんや」シリーズ2021/06/13



また新しい種類の紫陽花を見つけました。
花びらが細いものです。


これは花がとっても大きい紫陽花です。
ガクアジサイではなくて、花が咲ききっていないのかしら?


この紫陽花はよく見かけるようになりましたが、真っ白ではなく赤が混じっています。これも時間が経つと、すべて白くなるのかしら?



「居酒屋ぜんや」シリーズは10巻まであります。
①ほかほか蕗ご飯
②ふんわり穴子天
③ころころ手鞠ずし
④さくさくかるめいら
⑤つるつる鮎そうめん
⑥あったかけんちん汁
⑦ふうふうつみれ鍋
⑧とろとろ卵がゆ
⑨ほろほろおぼろ豆腐
⑩さらさら鰹茶漬け
というように、題名を見るだけで生唾を飲み込みたくなります。
出てくるお料理も美味しそうです。

小十人番士の旗本の次男坊、林只次郎は、たまたま飼った鶯のルリオが美声だったので、鶯の鳴きつけを生業とし、家計を支えています。
本人はいたって武士らしからぬマイペースのお調子者。
このまま武士でいるよりも商人になった方がのんきに暮らせていいか、なんて思っているほどです。
そのため大層なお金を入れている割には父や兄から疎んじられており、実家は居心地が悪く、苦労しています。
美味しい物を食べるのが大好きで、さも美味しそうに食べるので、周りの人は彼を見ているだけで幸せになります。

ある日、預かっていた父の上役の鶯がいなくなります。
鳥の糞買いの又三に愚痴っていると、「お妙さんに会いに行ってみましょうや」と言い出します。
又三の言うことには、彼女と話しているうちに失せ物や難問も、ひとりでに片付いちまうと評判だと言うのです。
又三に連れて行かれたのが、『酒肴ぜんや』でした。
そこには無愛想な大年増のお勝と「すこぶるつきの別嬪」で「生き菩薩様」かと思うような美人女将・お妙がいました。
只次郎、一目惚れをしちゃいます。
その上、見目がいいだけではなく、お妙が作る料理はどれもが絶品。
食べている間はしばし、巷のことを忘れる只次郎でした。

お妙は両親を亡くし困っていた時に、父親と縁のある善助がやって来て、お妙を引き取り育ててくれました。
やがて善助と夫婦になり、居酒屋を営んでいましたが、彼が一年前に亡くなってしまい、義理の姉のお勝に手伝ってもらいながら、良人の残したぜんやをほそぼそとやっていたのです。

ほどなく只次郎は『ぜんや』の常連になり、店に鶯繋がりの大店のご隠居を連れてきたりしたので、いつしか庶民向けの居酒屋の『ぜんや』に舌の肥えたお大尽たちが来るようになります。

料理に紛れて忘れてしまいがちですが、様々な事件が起こります。
はたして只次郎のお妙への思いは通じるのか。
お妙の両親と良人の死の謎は解けるのか。
只次郎の進む道はどうなるのか。
意外とあっけなく決着がついちゃいますけどね、笑。

三巻までkindleで読みましたが、その後がkindleにないので、本を買って読みました。10巻もあると思っていたら、すぐに読み終わってしまいました。
事件の割に書き方があっさりしているので、『みをつくし料理帖』のように心臓に悪くないので、安心して読んでいけます。
時代設定がどうとかこだわりのない、軽い時代物がお好きな方、読んでみてください。