東野圭吾 『あなたが誰かを殺した』2023/10/31

図書館に予約をしたら、なんとか10番目ぐらいになり、意外と早く読めました。
今見たら、600人以上の予約です。さすが東野圭吾、すごいですねぇ。


閑静な別荘地で年に一度の恒例行事、バーベキュー・パーティが開かれた。
参加したのは栗原家と高塚家、場所を提供している山之内家、櫻木家の家族とその関係者の15人。
パーティの後、とんでもないことが起る。
次々と人が刺され、5人が亡くなり、1人が重症をおったのだ。
犯人は『鶴屋ホテル』でディナーを食べた後に自首したが、犯行の詳細について何一つ語っていない。
そのため事件の関係者が集まり、あの日に起きたことを話し合う検証会を開くことになる。

叔母の山之内静枝に誘われ、夫と共にパーティに参加していた鷲尾晴那が、検証会に二名まで同行者が認められるということなので、同じ病院に勤務している先輩看護師、金森登紀子に声をかけると、長期休暇中の警視庁捜査一課に籍を置く現役の警察官、加賀恭一郎を紹介される。

検証会は『鶴屋ホテル』で開かれ、関係者9名と加賀の他に両親が殺された少女の寄宿舎の指導員とオブザーバーとして地元の警察署の榊刑事課長が参加し、加賀は司会進行役をつとめることになる。

一体誰が嘘を言っているのか。
「加賀刑事に嘘は通用しない」というが、加賀は見抜けるのか。

私は最初に登場人物を書き出してから読んでいきましたが、後で加賀がまとめて書いてくれるので、必要なかったかも。
私の中で加賀は日本橋人形町をさまよい歩いている男とインプットされているので、別荘地が意外で、馴染まなかったです、笑。
検証会が『鶴屋ホテル』と現地で行われ、何も派手な演出はありませんが、最後まで気を抜かないで読んで下さいね。
ミステリとしてはとっても読みやすく、すぐに読み終えてしまいました。
加賀と一緒に推理したい方にはぴったりの本です。

吉永南央 『雨だれの標本 紅雲町珈琲屋こよみ』2023/10/30

「紅雲町珈琲屋こよみ」シリーズの11作目。
前作『薔薇色に染まる頃』で、草さんはスーパーおばあちゃん並みの働きをしていましたが、お話は紅雲町に戻り、草さんの身体はそれなりに老いているようなので、ちょっと安心しました、笑。


草が営む珈琲豆と和食器のお店「小蔵屋」が有名な映画監督である沢口の新作映画の撮影候補地となる。
周りは騒いでいるが、草は乗り気になれない。

ある日、突然沢口が間を取り持つ犬丸と共に小蔵屋に現れる。
店の下見の後、沢口は草に、沢口に大きな影響を与えた映像作品を作った人物を探して欲しいと頼む。
というのも、映像の中に草が住む県内の人間しか知らない郷土かるた、「三山かるた」の箱が写っていたのだ。

少ない情報と記憶をもとに草はその人物を探し始めるが…。

今回、面白いキャラの青年が登場します。
草の店のゴミを盗み、何だか分らないオブジェを作る高橋朔太郎君です。
芸術方面に進むのかと思ったら、最後に意外な方面に行きます。
家の呪縛に囚われずに、自分らしく生きていって欲しいですね。
前からの懸案事項である従業員の久実と恋人の一ノ瀬公介の関係も色々とありましたが、うまく行きそう(だよね?)。
草から「ずっと久実ちゃんの味方でいる」という頼もしいお言葉をいただけましたから、久実ちゃん、これからどんなことがあっても、大丈夫ですよ。

そろそろ終わりが近付いたのかなと思うこともありますが、このまま草も由紀乃も久実も元気なままでいて欲しいです。
でも、「似たような毎日に見えて、季節はそっと変わってゆく」。
それが人生。これからどうなるのかわかりません。

ジェフリー・ディ-ヴァー 『ハンティング・タイム』2023/10/29

”懸賞金ハンター”コルター・ショウ・シリーズの4作目。


”携帯型”原子炉の部品を発明した優秀なエンジニアで、ハーモンド・エナジー社に勤めるアリソン・パーカーが娘とともにいなくなった。
アリソンの夫、ジョン・メリットは元警察官で、アリソンに対するDVで投獄されていたが、突如として出所したため、報復を恐れ、姿を消したのだ。
刑務所でジョンは妻を殺すと言っていたという。
たまたまその時にハーモンド・エナジー社の”携帯型”原子炉の盗難に関する仕事をしていたコルター・ショウは、CEOのマーティ・ハーモンからアリソンたちを探すように頼まれる。

アリソンはエンジニアとして有能だが、逃亡者としてもとびきり有能。
ジョンはDVで逮捕される前は優れた刑事だった。
彼は二人組の殺し屋を雇い、妻と娘を探す。
さて、ショウは彼らよりも先に彼女たちを探し、救出できるのか。

始めの携帯型原子炉関連の話しが長く、ちょっと退屈でしたが、母と娘の追跡場面になるとどんどん面白くなり、ページをめくるのを止められなくなりました。
大どんでん返しは最後の方にありますが、あとは「小」どんでん返しという感じです。

今回は女性たちが魅力的でした。
アリソンは理系頭で、夫の捜査能力を上回るほどです。
アリソンの娘、ハンナは愚かですが、頭がいいので、ショウの教えをものすごい速さで習得していきます。ショウとハンナ、二人のやり取りがとても微笑ましかったです。
ハーモンド・エナジー社の警備責任者、ソーニャ・ニルソンは訳アリですが、次回からのショウとの絡みを期待できます。

それほど意外性はありませんでしたが、安定のコルター・ショウ・シリーズでした。

「占いタクシー・あなたの人生占います」を観る2023/10/28

ボッシュの後に何を見ようかと「あなたが興味のありそうなTV番組」を見ていると、変な題名が目に入りました。
アメリカ人って占い好きとは知りませんでしたわ。
まあ、一回試しに観てみようかと思って見出すと、面白いこと。
それにしても題名が合っていません。
日本で言う占い系ではなく、美輪明宏さん系じゃないですか。


この番組の題名は「SEATBELT PSYCHIC」で、主役はトーマス・ジョン。
彼は自分のことを「psychic medium」と言い、有名人を顧客に持つプロの霊媒師で、生まれた時から幽霊が見えていたようです。
このトーマスがタクシー運転手に扮して、タクシーに乗ってくる人たちにまつわる死者の言葉、メッセージを伝えるというのがこの番組の趣旨です。

やらせではないかという噂もありますが、どうなんでしょうね。
彼のタクシーに乗ってくる人は知らずに乗るのか、番組の趣旨を知らされて乗るのか?
彼が霊媒師と名乗った時の乗客の反応を見ると、乗ってから知ったように見えますが。
そんなことよりも私が気になったのが、死者の声を聞きながら運転していて事故を起こさないかということです。
トーマスがちゃんと前を見ていないようなこともありますから、笑。

番組では幽霊を見た人を見抜いたり、葬儀社で働いている女性に何百体もの霊がついているので、事故を起こしたらいけないから降りてくれと乗車拒否したりしています。
そういうのを見ると、本当に彼は見える人だと思えますが、どうなんでしょう。

乗客は様々な人がいて、死者も様々です。
例えば病気で子どもを亡くした夫婦や、911で父親を亡くした母と子、ペットを亡くした女性、ゲイの息子に批判的だった父親などなど。
日本とは違うのは、犯罪で殺されたり、麻薬で亡くなったりする人がいることです。
死者に対する思いは共通で、どうして死んでしまったのとか、こうしてあげればよかった、自分はもっと何かできなかったのかなどと悔いたり、自分を責めたり、罪悪感を持ったりしています。
トーマスはそういう人たちに寄り添い、具体的に、優しい言葉を選んで、死者の言葉を伝えています。

一番印象的だったのが、霊媒師に懐疑的だと言った牧師が、トーマスから亡くなった妻のことを聞き、涙を流す場面です。
牧師であろうがなかろうが、肉親の死による悲しみはなかなか癒えないものなのだなと思わせられました。

20分のエピソードの中に乗客が4、5組出てくるのですが、彼らとトーマスの話を聞きながら、気づくと私も一緒に涙を流していました。
最後にタクシーから降りた人たちが癒やされ、前に向かって人生を歩んでいける様子にホッとさせられます。

信じるも信じないもあなた次第。
見始めるとそんなことが気にならなくなり、最後は自分もこのタクシーに乗り、死んだあの人の言葉を聞きたいと思うでしょう。
美輪さんがタクシー運転手に扮してくれるなら、是非お願いしたいですが、無理よねwww。

近藤史恵 『間の悪いスフレ』2023/10/27

ビストロ・パ・マル・シリーズの『タルト・タタンの夢』、『ヴァン・ショーをあなたに』、『マカロンはマカロン』に続く四巻目。
テレビドラマの「シェフは名探偵」の原作です。


全七作の短編集。

「クスクスのきた道」
常連の早川夫妻の娘、結莉亜が音楽専門の高校、仙女学園に合格し、<パ・マル>で合格祝いをするが、結莉亜はご機嫌斜めで、両親と喧嘩を始める。
翌日、結莉亜が一人で店に現れる…。

「未来のプラトー・ド・フロマージュ」
<パ・マル>はコロナ禍でテイクアウトを始める。
そんな中に、場違いと思える中学生ぐらいの少年が来て、何回もテイクアウトをしていく。
高築は少年が河原でテイクアウトした料理を食べているのを見かける。
気になる<パ・マル>の面々。

「知らないタジン」
オーナーが今度は料理教室を開こうと言い始める。
人当たりのいいスーシェフの志村が講師となって始めるが、意外と評判がいい。
二回目の料理教室の日、生徒の一人がタジンが原因で彼氏と喧嘩したという。
何故なのか?

「幻想のフリカッセ」
クリスマスも近付いた頃、店に二人の兄弟がやって来る。
二人はフリカッセを食べ、自分たちの母親の味とそっくりだと言う。
それを聞いた志村が「料理がお上手なお母様なんですね」と訊くと、「料理が得意だった人が、いきなり料理下手になるってこと、あるんですかね?」と問い返される。

「間の悪いスフレ」
高築のいとこ、畠中博己が相談があると店にやって来る。
結婚相談所で知り合った彼女に<パ・マル>でプロポーズをしたいというのだ。
当日、間の悪いことにデザートのスフレが出された時に畠中はプロポーズを始め、彼女は考えさせてくれと答える。彼を慰めるパ・マルのみんなだった。
しかし、次の週…。

「モンドールの理由」
二軒のフランス料理店を経営している羽田野がやって来て、辞めたいと言っている才能のある料理人を来週連れてくるので、フランス料理の業界に残りたくなるような料理を作って欲しいと頼む。
果たして変人シェフ三舟の作った料理は彼の決心を翻させることができるのか?

「ベラベッカという名前」
店に同業者の横尾がオーナーかシェフに相談したいとやって来る。
彼の店は従業員の定着率が悪く、悩んでいるという。
彼のレストランを辞めた人に話を聞いてみると…。

どのお話も短いですが、上手くまとまっています。
しかし、差別やコロナ禍などの社会問題を扱っているわりに、謎解きの部分がサラッと終わり、物足りないのが残念です。

出てくるどの料理も美味しそうです。フランス料理はこの頃食べていないので、食べたくなりました。
<パ・マル>のような気さくなお店がないかしら?

「ゴッホと静物画ー伝統から革新へ」@SOMPO美術館2023/10/25

ランキングがこの頃おかしいです。
昨日が三位で、今日は十二位。誰がどこから見に来ているのかしら?
そのうち落ち着くでしょう。


パスポートを申請しに行くついでに、美術館にも行って来ました。
安田火災海上本社ビルの42階に東郷青児美術館があったのですが、別東を建てて移転し、SOMPO美術館として2020年にオープンしたそうです。

建物の入り口でチケットを持っているかどうかチェックされ、中ではバッグの中身までも見られました。こんなこと初めてです。
入場予約ができ、入場制限があるので、それほど人がいないと思っていたのですが…。


入り口の撮影スポット。

エレベーターで5階に行き、会場に入ると、開場間際にもかかわらず、思ったよりも混雑しています。
この展覧会は写真を撮っていい絵が沢山あります。
音声ガイドが導入された時も思ったのですが、写真を撮ってからその場で絵を見るので、人がなかなか絵の前から動かなくなっているようです。
寒くなったからか、右膝の痛みが出てきていたので、私はさっと流して見ました。

ゴッホの絵の中では、私は植物を描いたものが好きです。
彼の静物画はあまり見たことがないので、どういうものか興味がありました。

この展覧会は「17世紀から20世紀初頭まで、ヨーロッパの静物画の流れのなかにゴッホを位置づけ、ゴッホが先人達から何を学び、それをいかに自らの作品に反映させ、さらに次世代の画家たちにどのような影響を与えたかを探る」ものだそうです。
名だたる画家たち(クラウス、ドラクロワ、マネ、モネ、ピサロ、ルノワール、ゴーギャン、セザンヌ、ヴラマンク、シャガールなど)とともにゴッホの静物画が紹介されています。

1:伝統ー17世紀から19世紀


一番最初に飾られている「麦わら帽のある静物」(1881年)。
ゴッホの初期の静物画です。

       ピエール・クラース 「ヴァニタス」(1630年頃)
静物画というとこんな(↑)のが浮かびますが、ゴッホが描くと…。

              「骸骨」(1887年)
骸骨を描いてもゴッホらしさがありますね。

         「野菜と果物のある静物」(1884年)
他に「コウモリ」とか「燻製ニシン」、「鳥の巣」とかの静物画が展示されています。
もともとデッサン力のある人なので、こういう絵を見てもそれほど驚きはないです。

        ルノワールの「アネモネ」(1883年~1890年)
いかにもルノワールという「ばら」の絵もあります。

        「野牡丹とばらのある静物」(1886年~87年)

          「青い花瓶にいけた花」(1887年)
人の後ろから撮っているので、トリミングしないとこんな感じですwww。
これらの花の絵は後の「ひまわり」に続く習作なのでしょうね。

2:花の静物画ー「ひまわり」をめぐって

        クロード・モネ 「グラジオラス」(1881年)


「ひまわり」(1881年)と「アイリス」(1890年)が並んでいます。
何故なのかわかりませんが、「アイリス」の前に誰もいません。
やっぱり「ひまわり」の方が人気があるのですね。
こうして並べて見てみると、「ひまわり」も悪くはないのですが、私は「アイリス」の方が生き生きとしていて好きです。

          「結実期のひまわり」(1887年)
正面から写真を撮っていないので、ちょっと斜めっていますが、こんなひまわりも描いていたんですね。
他にも様々な画家が描いたひまわりの絵があります。
その中に好きな絵があったのですが、撮れませんでした。

3:革新ー19世紀から20世紀

             「靴」 (1886年)
意外と好きなのが、靴の絵です。この絵だけでも色々なことが想像できます。

      ポール・ゴーギャン「りんごのある静物」(1895年)
ゴッホといえば、この人がいなけりゃいけません(ということもないのですが)。

      ポール・ゴーギャン「ばらと彫像のある静物」(1889年)
ゴーギャンらしい花の絵ですね。私はあまり好きではないですが(ゴメン)。

ゴッホの静物画、結構よかったです。
人がもっと少なければ、じっくり見られたのですが、日本の美術展では無理ですねぇ。
出展作品が全69点で、ゴッホの油彩画が25点です。
早めの時間よりも遅めの方が人が少なくていいのかもしれません。
11月17日と12月8日の金曜日は20時までやっているらしいので、狙い目でしょう。
そういえばカフェがやっていませんでした。土日祝日のみだそうです。
新宿駅に近いので、いいのですが、ちょっと残念でした。

「ボッシュ:受け継がれるもの シーズン2 エピソード1~4」を観る2023/10/23

Amazon Prime Videoで「ヒロシのぼっちキャンプ」のシーズン6が配信されたので観てみました。
まあこれは他のことをしていて見逃しても、それほど影響がないのでいいのですが、構成が少し変わってきたようです。
以前は一つのキャンプ場を前編と後編に分けていましたが、シーズン6ではヒロシさんが地元の人と触れ合うことが多くなり、一つのエピソード全部が地元の人とのことなんてのがあります。
宿場町で出会った老婦人とか渋川市の骨董品集めが趣味のおじさんとのやり取りなんか面白かったのですが、純粋にキャンプしている姿を見たい方には評判が悪いですね。
そんな方はテレビで観ないで、Prime Videoとかで観ると、飛ばせるからいいですよ。
私としてはヒロシさんのしゃべりを少なくして、キャンプ地の風景を多くしていただけたら文句ないです、笑。
今はシーズン8が放送されているようですが、未だ人気があるんですね。

さて、「ボッシュ:受け継がれるもの」のシーズン2が配信されました。
シーズン1はマディがレイプ犯に拉致されたところで終わっています。
さて、マディはどうなるのか?
シーズン1同様に見出すと止らなくなります。

「ボッシュ:受け継がれるもの」シーズン2


<エピソード1・拉致>
ボッシュはマディが拉致される前に、チャンドラーから何度か電話があったこと知り、チャンドラーに会いに行く。
チャンドラーは拉致の前日にマディと彼女のアパートで会っており、中庭に煙草を吸っている男性を見かけたと言う。
ボッシュはそれが犯人だと確信し、似顔絵を描かせる。
この似顔絵から犯人が特定される。
令状を待てないボッシュは犯人の家に行くが、逃げられる。
逮捕を免れないと知った犯人はハリウッド署に出頭し、弁護士が来るまでは何も話さないと言う。

<エピソード2・悪魔の砂時計>
犯人は全面不起訴を要求するが、地方判事は突っぱね、マディの居場所を話せば、終身刑は求刑しないとする。
しかし犯人は主導権はこちらにある、時間が大事だ、何度でも全面不起訴が条件だと繰り返せと弁護士に強いる。
そうしているうちに監禁されたマディの様子がライブ配信される。
ボッシュは警察署に侵入し、犯人を脅すが、エドガーに止められる。
ボッシュはエドガーから聞いた犯人の家にあったマットの分析結果と犯人の証言、マディが送ったヒント、弁護士の書類からマディの居場所の見当をつける。
ボッシュとチャンドラーはヘリコプターで現地に飛ぶ。

<エピソード3・癒えない傷>
市政管理官補のレクシー・パークスが自宅のベッドルームで殺害されているのを保安官補の夫が見つける。
その四ヶ月後、チャンドラーの知り合いのデビッド・フォスターがパークス殺害容疑で逮捕され、チャンドラーが弁護することになる。

数ヶ月前、ロジャースとケーディングの遺体がホーチミンに陸揚げされたコンテナから見つかる。
コンテナの出発地はロングビーチ港で、携帯の基地局データからチャンドラーとボッシュの二人がコンテナ付近にいたことがわかり、FBIはチャンドラーとボッシュに召喚状を出す。
チャンドラーはボッシュにフォスターの事件を依頼し、FBI対策を練る口実にする。
調査の結果、事務所の助手・マシュー・ラミレスがFBIに内通していることがわかり、二人は彼に偽情報を流し、FBIに罠をかけることにする。

<エピソード4・追う者と追われる者>
フォスターのアリバイ証人の男はハリウッドで絞殺死体として見つかる。
ボッシュとチャンドラーを二人の男が見張っている。
チャンドラーは飲酒運転だと偽りの通報をされ、呼気検査を拒否したため警察署に連行される。
男たちはチャンドラーの車をあさり、フォスター事件の書類を盗み見る。
FBIはサイモン・ウェイクフィールドの殺害とチャンドラーの関わりを知る。

シーズン2はシーズン1と同様にエピソードが10まであるようです。
FBIとボッシュの戦いを、どうやってボッシュたちは勝つのでしょうか。
早く続きが見たいです。

城山真一 『看守の信念』2023/10/21

看守の流儀』の続編。
何があっても『看守の流儀』からお読み下さい。
それじゃなきゃ、面白さが半減してしまいますから。


加賀刑務所で起る出来事を描いた五話の短編集。

第一話:しゃくぜん
「しゃくぜん」とは、仮出所予定者に対して、出所予定日の二週間前から行われる更生プログラムのこと。
釈放前の模範囚・坂本は、新しく導入された「外出プログラム」の一環として海岸清掃のボランティアに参加する。
しかし、刑務官たちが北朝鮮籍の船に気を取られている隙にいなくなり、三十分後に姿を現す。
彼は一体何をしていたのか?

第二話:甘シャリ
「甘シャリ」とは、金一封として送られる菓子やジュースなどの特食のこと。
年に一度の運動会が開かれた翌日の昼食で集団食中毒が発生する。
チャーハンを作った受刑者が疑われるが…。

第三話:赤犬
「赤犬」とは「放火」のこと。
就労支援室の稲代は第五工場の裏手にある備品保管庫から煙が出ているのに気づく。
火事は備品保管庫のみにとどまり、人的被害もなかった。
おかしなことに備品保管庫には火の気もなく、誰もその日に出入りしていない。
それなのに何故出火したのか?

第四話:がて
「がて」とは「手紙」のこと。
教誨師である寺の住職がぎっくり腰でしばらく来られなくなり、実家が寺で仏教系大学を出た諸田が代わりを務めることになる。
諸田は教誨面接である受刑者が語ったことが気になる。
彼はジャズシンガーをしている女と文通しているというが、住職はそれは嘘だという。
諸田は手紙を読み、女が歌っているという店をつきとめ行ってみるが、店はなかった。
受刑者は嘘を言っているのか?

第五話:チンコロ
「チンコロ」とは「告げ口」のこと。
加賀刑務所に匿名の手紙が届く。
出所者の受け入れに協力的な「協力雇用主」である桜栄土木の専務のイジメがひどく、また殺されるというのだ。
差出人は元受刑者なのか?
総務課長の芦立は桜栄土木に出向き、そこに勤めている元受刑者と話をしてみることにする。

メインの話の謎は、前回同様にキャリア採用の火石指導官が難なく解いてくれます。すごいですね。
謎解きの合間に、刑務官たちの私的な出来事や、火石を排除しようとする所長の目論見、火石が何故法務省から加賀刑務所に異動し、三年近くもそこに勤務し続けているのか、その理由などが書かれています。
最後に驚かされることがありますので、お楽しみに。
詳しくは書けませんが、読みながら何やら違和感があり、よくある私の記憶違いだったのかなと思いましたが、記憶違いじゃなかったことがわかり、よかったです。
記憶に自信がないもんでぇww。

刑務官というのも大変な仕事なんだということがわかります。
更生への道は厳しい。それでも信じ続けていかなければならないのだもの。

第三弾を期待して待ちますね。

伊坂幸太郎 『777 トリプルセブン』2023/10/20

今週、何故だかわかりませんが、ランキングの上下が激しいです。
12位↘ランキング外↗20位↘ランキング外↗11位↗10位ですから。
なんででしょうね。

とにかく、ブログを読みに来て下さってありがとうございます。
面白そうな本があったら読んでみて下さいね。
読書には癒やし効果があるそうですから。


『グラスホッパー』、『マリアビートル』、『AX』に続く殺し屋シリーズ。

ツキにとことん見放されている殺し屋、七尾こと「天道虫」は真莉亜から超高級ホテルの一室にプレゼントを届けるという簡単かつ安全な仕事を請け負う。
それなのに、七尾は部屋にいた男を殺してしまう。
なんということだろう、七尾は部屋を間違えたのだ。

同じホテルに、驚異的な記憶力を備えた紙野結花が潜んでいた。
彼女は「逃がし屋」、またの名が「ハッキングのおばちゃん」というココに、二年間使えていた怪しい仕事をする乾から追われているので、逃してくれと頼む。
ところが、何かあったら七尾に頼れといいおいてココは亡くなる。
もちろん紙野はココの言うとおりにする。

世界で一番不運な男、七尾はエレベーターで紙野に捕まり、今度はホテルから出られなくなる。

紙野を追うのはイケメン、イケ女の殺し屋六人組。
紙野を追う乾の意図は?
そして、七尾は生きてホテルを出られるのか…。

モウフとマクラのメイドコンビやコーラとソーダの炭酸コンビなど他にも楽しい殺し屋たちが集まって来ます。
殺し屋たちの戦いなのに、嫌~な感じがしないのは、伊坂さんの腕がいいからでしょうね。
『マリア・ビートル』の映画版「ブレット・トレイン」は見ていないけど、これも映画になるとおもしろいかも。

とにかく、こんなホテルには泊まりたくない!

アンデシュ・ルースルンド 『三時間の導線』2023/10/19

グレーンス警部・シリーズの八作目。


ストックホルム南病院の遺体安置所で、男性の遺体が一体多いことがわかる。

法医学者によると、推定死因は窒息、死亡推定時刻は二十五時間以内、推定出身地は西アフリカ。
インターポールに歯形と指紋を問い合わせても、男の身元はわからない。

そしてさらに余分な女性の遺体が現れる。
死因は男性と同じ窒息。

一体遺体はどこから運ばれて来たのか?
グレーンスは思いつく。
遺体は病院の内部から運ばれたのだ、あの地下道を通って…。

警察犬を使って辿っていくと、行き着いた先は港の輸送用コンテナ。
その中はまるで集団墓地のような有様。
愕然とするグレーンスたち。
その時、遺体の服の山から電話の呼出音が聞え、途絶える。

電話から見つかった指紋は2つ。
そのひとつが、グレーンスが二度と会わないと約束した男のものだった。
グレーンスは彼の妻に会いに行き、男の行き先を訊く。

グレーンスはニジェールの首都、ニアメに飛ぶ。
男は事件に関係なかったが、密航業者のリーダー風の男の顔を見ている。
グレーンスは切り札を使い、無理矢理彼を密航業者の組織に潜入させ、スウェーデンにいるリーダーを探らせる。

男は休暇の二週間を囮捜査に使うことにするが、短すぎる。
そのため密航業者たちと正面から対決し、近付くことにするが…。

さて、男の潜入は成功するのだろうか。

今回は難民問題です。
密航業者に高い金を払ったとしても、無事に望んだヨーロッパの国にまで辿り着ける人は多くはないのです。
このお話のようにとんでもない業者もいますし、海を渡るということには遭難がつきものですから。

変人だったグレーンスが今回はまともに見えます。
意外と彼って子ども好きだったんですね。
天涯孤独のグレーンスにひょっとしたら家族のようなものができたかもしれません。よかったです。

この本から執筆者がルースルンドだけになりました。
そのためか読みやすく、軽い感じに仕上がっています。
グレーンス警部・シリーズも後二冊。どちらも「三日間」、「三年間」というように三という数字が使われています。
彼が、今度はグレーンスのいい相棒として活躍してくれるのかしら?
そう思いながら本を検索してみると…アラ。


<今週のおやつ>


シズカ洋菓子店のクッキー、No21.Autumn Bisucuitsが手に入りました。
ちょっとずつ、楽しみにしながら食べますわ。