舟越桂 「夏の邸宅」@東京庭園美術館2008/08/30

舟越桂の彫刻を知ったきっかけは、天童荒太の本でした。
本の表紙に彼の彫刻の写真が使われていたのです。
不思議な彫刻でした。
一見表情がないのですが、よくよく見ると何かをじっと考えているような、そんな遠い目をした人の彫刻が、天童の本に何故か合っていたのです。
いつか本物を見てみたいと思っていました。
庭園美術館は素敵なアール・デコの邸宅です。
あの空間にどのように彼の作品が展示されているのでしょうか。
そんな好奇心から、心配していた雨も降る気配がなかったので、思いきって行ってみました。

彫刻以外にドローイングや版画も展示されています。
彫刻は主に木と大理石でできています。
入り口で彼の新作スフィンクスが出迎えてくれました。
彫刻のモデルは人です。それも女性ならダンサーやデザイナー、男性なら音楽家や数学者という雰囲気の人たちです。 
じっと前を見つめる瞳が印象的です。
瞳の向こうに何を思っているのかと想像力をかき立てられます。

「森へ行く日」 「山と水の間に」 「水に映る月蝕」 「肩で眠る月」 「私の中の緑の湖」 「夜は夜に」 「冬の会話」 「言葉をつかむ手」・・・。
すべてのタイトルの中に物語りがあります。

最新作のスフィンクス・シリーズが一番印象的でした。
男であって女でもあるスフィンクスですが、彼は中性の雰囲気を持つ顔と長い首、女性の乳房、男性の下半身でスフィンクスを表しました。(写真は「遠い手のスフィンクス」)
「戦争をみるスフィンクス」は人間達の愚かしさを見据える涼しい目をしています。
しかし、「戦争をみるスフィンクスⅡ」では、彼の彫刻には珍しく、顔がゆがんでいます。

庭園美術館の持つ雰囲気と彼の彫刻がピッタリ合っていました。

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