森谷明子 『南風吹く』 ― 2017/09/29

『春や春』に続く高校生俳句甲子園シリーズ、第二弾。
今度は俳句甲子園の地元、瀬戸内海に浮かぶ島、五木島の分校に通う高校生たちのお話です。
愛媛県出身の俳人、歌人には正岡子規、河東碧梧桐、高浜虚子、中村草田男などそうそうたるメンバーがいるんですね。
そのためか愛媛県に住んでいる子供はみんな学校で俳句を作らせられるそうです。
卒業記念品は歳時記らしいですよ。(本に書いてあった)
全く興味のない子にとっては毎回夏休みの宿題が俳句なんてことがあったら、拷問みたいなものですね(笑)。
さて、お話はというと・・・。
怪我のため高校生活最後の大会にでられなくなりバスケット部を辞めた航太は、たまたま俳句甲子園に出るためにメンバーを探していた同級生の日向子のメンバー探しを手伝うことになりました。
そして、何故か航太までもがメンバーの一員になり、なんとか五人がそろい、俳句甲子園出場のために本格的に活動を始めます。
高校三年生ですから、進路について悩む時期です。
航太は実家の和菓子屋を継ぎたくて、製菓の専門学校へ進もうと思っていましたが、父親は反対していました。
メンバーたちにもそれぞれに悩みが・・・。
航太の作った句。
「今ここがおれのポジション南風吹く」
若者らしいいい句です。
実は『春や春』の少女たちと同じ大会に航太たちは出ているのです。
結果はわかっていますが、出場することに意義があり、彼らのガンバリが青春そのものです。
今時の子っぽくないけれど、こういう真面目な子たちって清々しくていいですね。
そうそう『春や春』の書道少女が現れる場面もあります。
私は忘れていましたが、そういえば・・・と思いだしました。
私が高校生に戻れるのなら、俳句甲子園、目指したくなりました。
書道甲子園もいいかも・・・。
次はどこの県の高校生が出てくるのでしょうね。
篠原 ウミハル 『図書館の主』&埜納 タオ 『夜明けの図書館』 ― 2017/09/30
図書館を舞台にした漫画ってあるんですね。
どんなもんか読んでみました。

私立児童図書館「タチアオイ児童図書館」には御子柴という司書がいました。
彼はレファレンスがうまく、どの質問にも答えられ、その人に一番合った本を紹介します。
この図書館にふとしたことで立ち寄った宮本は、初めは児童図書とバカにしていたのですが、御子柴の影響か、児童図書の良さに気づき、「タチアオイ児童図書館」の常連になっていきます。
この二人を軸に図書館スタッフの板谷と神田、そして図書館オーナーの小手川など多彩な登場人物がでてきます。
図書館には色々な人が来ます。
その人たちとの揉め事などを御子柴たちがどうやって解決していくのか。
御子柴のレファレンスはどんなものか。
「タチアオイ児童図書館」はこのまま続けて行けるのか。
最後にはアッと驚く結末が・・・。(途中でわかっちゃいましたけどね)
何かおもしろそうな児童書をと思う方には参考にならないと思います。
定番を載せているという感じです。
自分の子に何を読ませたらいいかわからない人にはいいでしょうね。

市立図書館で働いている新米司書葵の、主にレファレンスに関する業務を描いた作品です。
図書館で働きたいと思っている方、読んでみてください。
図書館の仕事を知るいいきっかけになりそうな本です。
ただし、区立図書館に勤めている人に聞いたところレファレンスはこんなにないそうですし、残業してまで一生懸命探したりすることはないそうです。
「こんな本しかないです」、で終わりのことが多いようですよ。
図書館の仕事の大部分は地味な力仕事だそうなので、これを読んでレファレンスをやりたいと思って働き始めると、こんなんじゃなかったと思うかも。
それに正規職員って少ないそうで、今はパートや派遣が多いんですって。
業務委託の影響ですね。
こういう現状を知った上で、こんな仕事しているんだと思って読むといいと思います。
本当は図書館の仕事の醍醐味ってレファレンスのような気がします。
でも、今の時代、ひとつひとつを丁寧に受けていると効率が悪いと言われ、やらなくていいになるんでしょうね。
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