大山淳子 『光二郎分解日記 西郷さんの犬』 ― 2017/09/15
日本人が11年連続、イグ・ノーベル賞を取ったそうです。
イグ・ノーベル賞とは、「人々を笑わせ、考えさせた」業績に送られる賞です。
おめでとうございます。
雄と雌、「逆転」の虫の研究だそうで、興味のある方は調べてみてください。

『分解日記光二郎備忘ファイル』の続きです。
元理科教師で認知症のせいか、もともとの性格のせいか、よくわかりませんが、物忘れが激しく、物を分解するのが大好きで、ひとつのことにのめり込むと回りのことを忘れてしまい、人間関係を築くのが下手で、頑固、そういう人が光二郎です。
光二郎は自宅を出て、一人暮らしを始めました。
シルバー人材センター『ほのぼの』に登録し、ほそぼそと仕事をしています。
仕事の相棒は、山氷。
この名前が何故か覚えられないのです。
ある日、庭の手入れを頼まれ、山氷と一緒に伺っていると、電話がきました。
他人の家の電話なのに、でてしまう光二郎。
その電話はよくあるオレオレ詐欺でした。
光二郎は孫のかけるを助けなきゃと、銀行に行きお金をおろそうとしますが、キャッシュカードが他のものに化けていて、家に電話が行ってしまいました。
かけるが駆けつけ、一件落着と思ったら・・・。
別のある日、『ほのぼの』に「落し物をさがしてくれ」という依頼がきます。
その依頼は、なんと、西郷さんの犬を探してくれというものでした。
上野の山の西郷像から犬が盗まれたのです。
前回、警察を助けた光二郎は犬を探す手伝いを頼まれます。
西郷隆盛像にも色々とあるのですね。
犬は雌で名がツンというなんて、知りませんでした。
相変わらずの光二郎ですから、他にも色々なことに巻き込まれますが、うまく解決していきます。
かける君も自分の人生の行き先をどうにか決めることができつつあるようです。
かけるの祖母でリケジョ、時計にとり付いでいる元子さん、素人川柳教室を開催している、かけるの母の雪絵さん、新しく登場してきた獣医さんや独居老人の安佐顔さんなど、とっても魅力のある登場人物たちがこれから何をやらかすのかが楽しみになってきました。
これからこういう老人が増えていくのなら、日本の未来は明るいかも。
クルプフル&コブル 『大鎌殺人と収穫の秋』 ― 2017/09/16
『ミルク殺人と憂鬱な夏』に続く、中年警部クルフティンガー・シリーズ第二弾。

バイエルン地方の平和な田舎町に殺人事件が起きます。
死体の首は大鎌でバッサリ切られていました。
死体一体でも十分なのに、もう一体見つかってしまい、クルフティンガーは大忙し。
それなのに、ついていない彼。
前回は妻との旅ができず、今回は家の浴室の水道管が壊れてしまい、家の中は水浸し。
家にはいられないので、ホテルにでも泊まろうかなどと思っていたら、奥方が勝手に友人の医師の家にお世話になることにしてしまいます。
実はクルフティンガーは彼が大嫌い。
奥方は知ってか知らずか、クルフティンガーの嫌がることをやります。
混迷を極める事件と家庭生活をどう乗り切りのか、クルフティンガー。
ちょっとかわったドイツのミステリです。
ビールを飲みながら読むのもよさそうですね。

夜、見るたびに笑わせてくれる兄犬。
このまま熟睡か、と思っていると・・・。
私が寝ようと思って部屋を見てみると、ちゃんと起きてきます。
この頃、ベッドの三分の二を占領されています(笑)。
見ていると、横向きになって堂々と寝ています。
いつも体のどこかをママの体にくっつけておきたいようです。
お尻を向けてくるのは困ります。
弟も一緒に寝たいようですが、彼は落ち着きがなく、ばっちいし、たぶん兄が許さないでしょうから、一人で寝てもらっています。
だんだんと犬に甘くなっています。
R・D・ウィングフィールド 『フロスト始末』 ― 2017/09/18

デントン署の半数は麻薬がらみの事件に駆り出され、残ったフロスト警部たちは大忙し。
強姦・脅迫・失踪と事件が次々と起こります。
フロストは足りない人員のなか、眠る暇もなく、事件に立ち向かいますが、署長のマレットは新たに着任したスキナー主任警部と組み、フロストをよその署に異動させようと目論んでいました。
スキナーは肝心な時にどこかに雲隠れするのに、犯人検挙かというところで仕事を横取りするようなとんでもない野郎です。
そんな時にとうとうフロストがしてきたガソリン代などの経費の領収書の改ざんがばれてしまい、異動の同意書にサインさせられてしまいます。
フロスト、大ピンチ!
なんとも下品なフロストですが、意外と憎めない人なのです。
彼は子供が被害者になる事件が大嫌い。
それほどきれる頭ではない(失礼)のですが、たとえ違法なことであろうが、彼がこれだと思ったらやっちゃいます。
事件がこんがらがっちゃって、結末のつけかたが今ひとつ納得できませんでしたが、フロストの推理の過程を読むものじゃないので、まあ、こんなもんでしょう。
残念なことに作者のウィングフィールドさんはお亡くなりになってしまったので、シリーズの続きはないようです。
フロストがこの後どうなったのか、知りたいところですが。
大山淳子 『あずかりやさん 桐島くんの青春』 ― 2017/09/19

『あずかりやさん』の二巻目です。
一日百円でどんなものでも預かる「あずかりやさん」のお話です。
オルゴールにまつわる話がよかったです。
大切にされた物には物語があるのです。
オルゴールは語ります。
「「もしも」は心残りです。その心残りこそが「夢」ですし、それがこの世に生まれた証で、宝物のような気がするのです。」
50年間あずかりやさんに預けられたオルゴールは幸せな最期を迎えられるのでしょうね。
一番最後のお話はあずかりやさんの店主の青春時代のお話です。
彼の盲学校での思い出、そして、あずかりやさんになった元和菓子屋の生まれ育った家に帰ろうと思った理由が描かれています。
あれから考え続けていますが、残念ながら私には預けたいものがないようです。
朝日新聞迫る2025ショック取材班 『日本で老いて死ぬということ 2025年、老人「医療・介護」崩壊で何が起こるか』 ― 2017/09/20

2025年になにが起こるかわかりますか?
団塊の世代がすべて後期高齢者の75歳になるのです。
病院も介護施設も足りなくなり、在宅死を迎える人が増えざる得ないという現実が迫っているのです。
その時までに訪問医師や看護師、介護福祉士が増えているのかどうか。
今と同じように不足しているというのが現実ではないでしょうか。
この本に出てくるような在宅死をどの地域に住んでいようが誰もが迎えられるような制度が早くできることを望みます。
まだまだ遠い自分の最期と思っていましたが、いつどうなるのかわかりません。
もし癌になったら、ホスピスは少なくとも6ヶ月ぐらい前に訪問しようと思っています。
悪くなってからすぐには入れない所がありますから。
私の場合は癌よりも脳や心臓の病気で死ぬ確率が高そうですがね。
とにかく延命処置はしないでほしいです。
葬式はしないで直葬とかがありますから、そうしてもらおうと思っています。
花が好きなので、花をいっぱい用意してもらい、音楽はフォーレのレクイエムかな?モーツァルトでもいいわ。
お墓には入りたくないので、海に遺骨を撒いてもらいたいのですが、許可なくできるのかどうか調べておきましょう。
こういうことを家族に伝えておくか、書いて置いておこうと思います。
夫は俺にではなく他の家族に言っておいてくれと言います。
自分が先に亡くなると思っているようです(笑)。
M.C. ビートン 『アガサ・レーズンと禁断の惚れ薬』 ― 2017/09/22
アガサ・レーズン・シリーズの九作目。

なんかこのシリーズをよむたびに、アガサがかわいそうになってきます。
バリバリのキャリア・ウーマンだったのに、引退してしまうと典型的な未婚女性になっているんですもの。
男がいないことで自分を卑下する暇があったら、他のわくわくすることを見つけりゃいいのにと思うのですがね。
前回の事件で髪の毛を失ったアガサは、元通りになるまでさびれた海辺のリゾート、ワイカーデンに滞在することにする。
アガサが予約したガーデン・ホテルはヴィクトリア時代調のホテルで、他の宿泊客はすべて年配者で、ホテル暮らしており、夜になるとスクラブルをして暇を潰しているという感じ。
アガサは一人でパブに行ってみたり、地元の魔女のところに行ってみたりする。
パブではジムという刑事に出会いダンスパーティに誘われ、魔女からは毛生え薬と惚れ薬を手に入れた。
惚れ薬はジムに使ってみることにする。
アガサの行くところに殺人あり。
魔女のところから帰ると、昨夜のダンスパーティに着て行ったミンクのコートが引き裂かれ、赤いペンキがぶちまけられていた。
頭にきたアガサは魔女がやったのだと思い、よせばいいのに真夜中に魔女のところに怒鳴り込みにいく。
すると、魔女はベッドの上で殺されていた。
アガサは犯人を捜そうとしますが、宿泊客たちはアガサの前では殺人について話そうとはしない。
犯人を見つけるために宿泊客と仲良くしようと努力するアガサだが…。
そろそろアガサにいい人が現れてもいいのにと思います。
次は占い師に言われたノーフォークに行くらしいです。
かわいそうなアガサ。
また占い師に騙されたのね(笑)。
石田衣良 『裏切りのホワイトカード 池袋ウエストゲートパーク 13』 ― 2017/09/23

池袋のトラブルシューター、マコトとGボーイズを率いて池袋の裏側を取り仕切るタカシが事件を解決するシリーズ物。
このシリーズが20周年を迎えるそうです。
13冊目ということは1年に1冊ずつというわけではなかったのですね。
マコトとタカシの二人の魅力的なキャラと現代の日本に起こっている事件をタイムリーに取り上げているということが、このシリーズの続いている理由でしょうか。
今回の事件は幼児虐待とネット炎上、ドラッグ、オカルト・サイト、ATMの不正操作による大規模詐欺事件。
これらが今の世の中にあふれている、普通のありふれた事件のように思えてくるのが、ちょっと怖いですねぇ。
「嘘も百回つくと本当になる」などと言う人がいましたが、ネット社会では嘘を書いても拡散してしまえば誰も事実を調べることなく本当のことのようになってしまいます。
もし悪意を持った人にやられたら、どうやって対処すればいいのかわかりません。唯一できることは、できるだけそういう人やネットに近づかないで、周りの人といい人間関係を築いていくことしかなさそうです。
ネットで流れていることを鵜呑みにするのではなく、本当かな?と疑ってみることが大事ですよね。
マコトとタカシのコンビの馴れ合いも楽しいシリーズですが、そろそろマコトに彼女が出来て欲しいです。
次はどういう事件が起こるのでしょうか。
漫画のシリーズ ― 2017/09/25
いい年になってますが、未だに漫画が好きです。
流石に電車の中で読むことはないですが、この頃はkindleで読むことが多いです。
本を買いに本屋に行かなくていいし、携帯のアプリで読めるので、バッグが重くならなくてありがたいですわ。
さて、シリーズ物の続きが次々と出ています。

またテレビドラマでやるそうですね。
私は数回しか見たことがありませんが。
このシリーズを読むたびに産科医、看護師、助産師の方々に頭が下がります。
赤ちゃんが生まれてくるということは当たり前だと思ってしまいますが、そうではないことがあるということを知ることができました。
これから子供を産もうと思っている人たちに読んでもらいたいです。
おざわゆき 『傘寿まり子 4』
小説家で80歳のまり子は家出をし、様々な人と出会います。
ネットゲームで知り合ったちえぞうとゲームセンターに行き、少年と熱戦を繰り広げるちえぞうを見て刺激を受けるまり子でした。
実はちえぞうは娘との間に問題がありました。
何歳でもやろうと思えばできる。
そう思って何でも挑戦してみようと思いました。
まり子は高齢化社会のアイドルですね。
大谷紀子 『おとむらいさん 1~4』
義母のお葬式は一日葬というものでした。
今は色々な形のお葬式があるのですね。
この漫画は一人一人に合った、色々な別れの儀式の形をプロデュースしてくれる葬儀屋のお話です。
自分はどういう葬儀にしようかと考えてしまいました(笑)。
古賀慶 『トレース 科捜研法医研究員の追想 3』
23年前の犯人を追う科学捜査研究所研究員・真野礼二。
彼は真実だけを求め、鑑定を行う。
彼が望むのは真実の探究なのか、復讐なのか・・・。
杜野亜希 『屍活師 女王の法医学 16』
女王・ユキ(法医学科の准教授)の過去が徐々に明らかになっていきます。
ワンコ(犬飼一・医学部四年生)は自分はユキにとってどんな存在なのかと悩みます。
法医学のおもしろさがわかるシリーズです。
今市子 『百鬼夜行抄 26』
このシリーズも26巻になりますか。
現代に生きるあやかしたちと彼らに翻弄される飯島律。
私の理解力のせいで、わからないところもありますが、幻想的な絵が好きです。
こやす珠代 『病院で念仏を唱えないでください 4』
僧侶で救急センターで働く救急医である照円の活躍するシリーズ。
医師同士でも色々と意見の相違はありますが、これからどうなるのでしょうね。
荒川弘 『銀の匙 14』
いよいよやってきた大学受験の季節。
八軒たちの進路は・・・。
このシリーズも八軒たちの卒業と共に終わるのでしょうかね。
卒業式は大々的にやっていただきたいものです。
豚や牛の丸焼きとか、チーズたっぷりのピザ・・・。
う~ん、食べたい。
田中ひろみ 『ナースは今日も眠れない!』
シリーズ物ではないのですが、読んだので載せておきます。
ナースのお仕事は大変だなといつも思っています。
緩和病棟は患者7人に対しナース1人。
一般病棟は患者7人~15人に対しナース1人。
一人で看る患者の多さにびっくりです。
大人しい患者さんが多ければ忙しくならないと思いますが、それでもナースの数が少ないですよね。
緩和病棟に入院していた義母がほっておかれた理由がわかりますわ。
認知症なのでナースコールの存在を忘れてしまい、押せなかったんですもの。
ほったらかしにもなるわよねぇ・・・。
どのシリーズもお勧めです。
久しぶりに庭で遊ぶ ― 2017/09/26
蚊が多いので、夏の間は庭で遊ばせていませんでした。
蚊はまだ多いのですが、涼しくなったし、ママの調子が悪いので、今日は庭で遊ぶことにしました。
久しぶりなので、兄犬は思いっきり駆け回っています。
弟はボールが好きなので、しばらくするとボールのあった所にいってボールで遊んでとアピールします。
ボールを投げてやると・・・。

嬉しそうにボールを掴んでいます。

兄はボールではなくて、ボールを追いかける弟にタックルをしてきます。

ボールを追いかける弟。
弟にタックルする兄。

兄に勘弁してよとひっくり返った弟。

ボールを取ろうとする弟を邪魔する兄。

弟は兄の妨害を避けてボールを取ろうとしてヘトヘトです。

兄もそろそろ飽きてきたようです。

満足した表情の弟でした。
久坂部羊 『老乱』 ― 2017/09/28

親が認知症か、認知症になったらどうしようと思っている方に是非読んでいただきたい本です。
私の義理の親は二人共認知症でした。
最初に認知症になったのは義父の方で、自転車に乗って行方不明になってわかりました。
彼は攻撃的な認知症だったので、ケアマネージャーと相談し、認知症が専門の精神病院に入り、その後、特別養護老人ホームに入居し亡くなりました。
一方、義母は穏やかな認知症でした。
心臓の手術をした後に認知症の症状が出始め、義父の死後、ケアハウスに入居、後に末期癌であることがわかり、病院で亡くなりました。
読みながら当時のことを思い出しました。
テレビの弊害なのか、認知症というと徘徊、妄想、異食、暴言、暴力などの症状を思う人が多いようです。
しかし、久坂部さんが朝日新聞に寄稿していますが、認知症は分類不能なほど様々なタイプがあるのです。
どういうタイプの認知症になるのかはわからないのです。
この小説は、78歳の五十川幸造が自転車で出かけているうちに居場所がわからなくなったことから始まります。
妻の雅美はニュースや新聞で認知症の人が引き起こした事件を見て、義父が何かやらかすのではないかと常に心配し、何かしてしまったらどうなるの、賠償金なんて出せないわ、まだまだ子供たちにはお金がかかるし、家にはそんな余裕はないのよ、病院に連れて行きましょう、一人暮らしはさせられないわ、家は狭くて引き取れないから施設を探しましょうと次から次へと不安をつのらせていき、夫に訴えます。
一方、夫の幸造は父親が認知症っぽいけど、まだまだ大丈夫、と妻の訴えを軽視しがちです。
幸造は家族の疑いの目がうっとうしく、病人扱いも不愉快だし、馬鹿にされているようでプライドが傷つけられ、怒りや苛立ちがつのっていきます。
そうすると脳は混乱し、勘違いや思い込みがひどくなっていき、増々家族に認知症だと疑われていきます。
認知症の人の思考がリアルに描かれています。
久坂部さんによると、親が認知症になって一番大事なことは、次のことです。
「介護がうまくいかない最大の原因は、ご家族が認知症を治したいと思うことなのです。(中略)
認知症を治そうと思わず、受け入れることです」
受け入れるということほど難しいことはないと思います。
認知症は治らないと受け入れ、これからどうしていこうかと思うところから始めないとダメなんですね。
そして、受け入れてから「恩返しの発想」に気持ちがいけば介護は楽になると言います。
相手に対する感謝と尊敬の念があれば、介護をする時にその思いが伝わり、その状況を失うような行動はしなくなるらしいですよ。
最後に、心配になった人へ本の中の言葉を載せておきます。
「起こってもいないことを考えだすと、不安はどんどん膨らみます。起こったらどうしようと考えるより、起こらないようにする方法を考えましょう」
最近のコメント