「人生をしまう時間」@ユジク阿佐ヶ谷2020/01/21



NHKBS1スペシャルの「在宅死”死に際の医療”200日の記録」というドキュメンタリーを映画にしたものです。

埼玉県新座市にある「堀ノ内病院」には在宅医が4人います。
そのうちの1人は80歳の森鴎外の孫で元外科医の小堀鴎一郎。
とても80歳にはみえない、ざっくばらんな人です。
67歳で退職した後に在宅医療に関わることにしたそうです。
もう一人は56歳の国際医療機関の医師だった堀越洋一。
堀越医師はマザー・テレサの「死を待つ人々の家」を訪ねたことがあり、その時のことがずっと心の中で気にかかっていたそうです。
優しい物静かな、丁寧な医師のように思います。
この2人の医師と看護師、ケアマネージャーたちが関わった人々のドキュメンタリーです。

寝たきりで部屋から一歩も出ない妻の面倒をみる夫。
便座に腰掛けられない妻を一本の紐でひょいと持ち上げた時の誇らしげな顔が印象的でした。
施設に入れるお金がないとは言いつつも、妻のことをよく世話していましたが、共倒れになってはいけないと、ケアマネージャーたちが介入した時、妻さんは不機嫌になってしまいます。
いつまでも夫に面倒を看てもらいたいのでしょうね。

103歳の母親を70代の夫婦が見るという老老介護もありました。
母親はなんとも品のいい女性で、膝小僧がきれいだと小堀医師に言われ、はにかんでいた姿が印象的でした。
しかし、だんだんと介護が難しくなり、施設に入り、癌が見つかり、病院で最期を迎えたようです。

77歳の母が癌の52歳の娘の最期をみるというのもありました。
どんな思いで娘を看ていたのでしょう。

映画の中で一番多く時間がさかれていたのが、47歳の盲目の娘のことが心配でと在宅医療を受けていた父親です。
娘可愛さに、手元に置いてずっと面倒を見てきたようです。
小堀医師と柿の話をよくしていました。
娘さんが父親が亡くなるということを理解していないようだと心配していた小堀医師。
最期が近づいていると知らずに、父親の言ったちょっとしたことで泣いてしまったことを後悔している娘さんを慰めながらも、彼女に父親の喉を触らせ、ここが動かなくなったら息をしなくなったということだと教えます。
残された娘さんは父親が亡くなった後どう生きていくのか、とても気にかかりました。

色々な人たちの最期をみて、自分はどういう最期を迎えるのか。
思いをはせてもどうにもなりませんが。
あなたがいい人だから周りにいい人がいるというようなことを小堀医師はある患者さんに言っていましたが、望むらくはいい人たちが最期の時にいますように。
そうは思いつつ、最期は「人生フルーツ」の夫さんみたいに、昼寝をしたら起きてこなかったがいいのですけど。

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