「母との約束、250通の手紙」を見る2020/02/05



フランスの作家、ロマン・ガリの『夜明けの約束』の映画化。
ロマン・ガリって有名な作家だったのですね、知らなかった。
ゴンクール賞を2度も取った作家だそうです。
作品を読もうと思って図書館で借りようと思ったら予約が入っていました。
残念ながらしばらく読めそうもないです。
(ネタバレあり)

メキシコ旅行中に倒れたロマンはメキシコシティの病院へと運ばれます。
車中で妻は夫が寝ている隙に原稿を読み始めます。

ロマンと母のニナはロシアからポーランドに渡り、帽子の訪問販売で生計を立てていました。
周りのポーランド人のやっかみか、ユダヤ人いじめか、警察に盗品があると密告されたりする日々。
母は詐欺まがいの嘘をでっち上げ、高級ブティックを始めます。
店は一時期繁栄しますが、お金を払わない貴婦人が現れ、経営は悪化、店を手放し、二人はフランスのニースに行くことにします。

ニナはロマンを溺愛し、この子は将軍になる、フランス大使になる、作家になるとロマンにも言い聞かせ続け、周りにも吹聴していました。

ロマンたちはフランスの国籍を取り、ニナはホテルを経営するようになり、やがてロマンはパリの大学に入学します。
母の期待に応えようと、ロマンは授業をサボって作品を書き続けます。
やっと一作品が新聞に掲載されますが、その後はパッとしませんでした。

大学を卒業したロマンは空軍士官学校に入りますが、300人中ただ一人、留年してしまいます。
ユダヤ人で帰化してからの期間が短いからでした。
母の心を傷つけないためにロマンは校長の奥さんとできてしまったからと嘘をつきます。

戦争が始まり、ド・ゴールがイギリスへ亡命。
その後を追ってロマンたちもイギリスへ亡命しようとしていました。
しかし、当日、病院からの電話に出ている時にロマンが乗るはずだった飛行機が爆発し、ロマンは命びろいをします。
母は糖尿病が悪化して入院していたのです。
母の病状の説明を求めるのですが、医師はロマンを無視します。
怒ったロマンは医師を殴り、医師に母を自分の母親だと思って診るようにと言います。
それからしばらくしてロマンはイギリスに亡命し、母の「どんなことがあっても書き続けろ。死ぬな」という手紙に勇気づけられ、アフリカ戦線に送られてからも、そして病に倒れても書き続けます。
やがてロマンはパイロットとして成功し、小説も出版されます。

戦争が終わりフランスに戻ったロマンは母に会いに病院に行きますが、母の病室には見知らぬ男が寝ていました。
医師に母はどこにいるのかと聞くと、母は三年前に亡くなり、その時250通の手紙を託され、スイスの友達に頼んで送ってもらっていたと言うのでした・・・。


映画を見ていると、母の強すぎる愛情に辟易します。
尋常ではないです。
ロマンも母の愛に反発したく思うこともあったのでしょうが、溺愛の重圧に負けることなく、母と彼の夢を叶えていきます。
ものすごいマザコンですね。

ロマンの生涯を見てみると、作家として成功し、外交官となり、2度結婚しています。
映画の人は一度目の人で2度目は有名な女優のジーン・セバーグとです。
順調な一生に見えますが、ロマンは66歳で自殺します。
(ちなみにジーン・セバーグも自殺しました。)
映画では母親に反抗せず、母の期待に応えようと努力する素直な息子に描かれていましたが、実際は母の呪詛から逃れられず、苦悩していたのではないでしょうか。
すべてをなし遂げた後、何を目標にして生きればいいのかわからなくなったのでは・・・。

とにかく母のエキセントリックさに圧倒され続けた映画でした(笑)。

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