「お江戸けもの医 毛玉堂」シリーズ ― 2025/03/01

江戸時代に獣医がいたとは思いもしませんでした。
本当にいたのでしょうか?
谷中感応寺の境内に、かつて小石川養生所で腕が良いと評判の医者だった凌雲と妻の美津が営んでいる≪毛玉堂≫という動物の病を診る医院がある。
凌雲と美津は≪毛玉堂≫の庭に捨てられた黒太郎と白太郎、茶太郎という三匹の犬とキジトラ猫のマネキを飼っている。
凌雲は腕は確かなのだが、無愛想。
美津が凌雲と患者の飼い主の間を取り持ち、なんとかやっている。
毛玉堂に毎日やって来るのが、美津の幼馴染みで江戸三大美人と言われる美貌のお仙。
お仙は笠森稲荷の境内にある水茶屋≪鍵屋≫の看板娘で、笠森稲荷一帯の地主で三百石の旗本である倉地家の跡取り息子の政之助と恋仲になっている。
毛玉堂に持ち込まれるけものたちの問題を、凌雲と美津は様々な観点から探り解決していく。
さて、どのような問題が持ち込まれたのか。
『お江戸けもの医 毛玉堂』
「お化け犬」
十二歳になるコタロウという犬が三日も食べていない。これ以上苦しませたくないという飼い主だが。
「そろばん馬」
算術ができるという”そろばん馬”の竹馬が、算術を間違えるようになったのは何故かという相談。
「婿さま猫」
六つになる牡猫のトラジが、この一月ほど、夜になると何の理由もなく急に飼い主の妻に襲いかかるようになったという。その理由は?
「禿げ兎」
絵師の鈴木春信が飼っている兎の耳の裏側に禿げができたという。近頃、春信は兎を抱いたお仙の絵を描いている。春信はお仙が原因だというが。
「おもらし犬」
深川今川町の足袋問屋≪山吹屋≫の若旦那が飼っている狆が、息子が生まれて一月ほどしてから、息子はを追いかけ回して、小便を引っ掛けようとするので、困っているという。何故なのか?
『玉の輿猫 お江戸けもの医 毛玉堂』
「玉の輿猫」
飼い主に連れられて来た茶色い狐顔の仔犬のコンタはとても利口な犬だ。
ところが数日前から脚を引きずり、押すと痛むという。どうも生まれつき節が弱いようだが。
「ご隠居鳥」
料亭≪玉屋≫で飼われていた緋鸚哥の赤玉が自分の嘴で羽を毟るので、胸のあたりの羽がごそっと抜けてしまったという。鳥に詳しくない凌雲は鳥屋に紹介してもらい、赤玉の相談ができるようにする。
「お馬鹿犬」
てろ助は飼い主が躾もせずにかわいがるばかりなので、傍若無人にふるまい、周りを困らせているが、飼い主は頓着しない。凌雲がてろ助はいつか命に関わる事故に遭うと言うと、それでは凌雲と美津で躾の行き届いた良い犬にしてくださいと言いだす。てろ助を引き受けた凌雲と美津は賢犬堂の伝右衛門に相談しに行く。
「目覚まし猫」
十三歳になる雄猫の玉三郎がこのところ夜中に騒いで飼い主を起こすという。
飼い主の家に行き、夜中に凌雲は飼い主と釣りをし、美津は玉三郎の様子を見ることにする。
「けんけん堂」
賢犬堂から迎えた一歳ぐらいの中型犬、影法師は穏やかで、何があっても怒らない。大八車に轢かれて尾が千切れても悲鳴さえあげず、微動だにしない。それなのに、人間が手を上げると怯える。なんとも不自然だ。何か理由があるのか?凌雲と美津は賢犬堂の伝右衛門に影法師のことを聞きにいく。
『うぬぼれ犬 お江戸けもの医 毛玉堂』
「よごれ猫」
お仙がもぐらという猫を連れて来た。もぐらは薄汚れていて、ものすごい臭いがする。猫は本来、匂いが少ないはずなのに何故なのか。
「猿田彦」
お仙が小梅という犬を抱いてやって来る。猫派だったはずなのに、この頃は犬の匂いが好きだという。
猿回しが猿を連れて来た。猿が鍵の開け方を覚えてしまい、檻の中に閉じ込めても、鍵を開けて外に出てしまい困っているという。猿を預かることにするが。
「うぬぼれ犬」
鈴蘭という女けもの医者が猿に噛まれ腫れていた美津の手の治療をしてくれる。
千駄ヶ谷の湯屋の娘が二歳の雌犬のお姫を連れてくる。お姫は鏡に映った己の姿に岡惚れしているという。
「愛馬小栗」
柳沢村の死産した馬の小栗が立てなくなった。早速、凌雲と美津、そしてたまたま毛玉堂に来ていた鈴蘭は柳沢村へ行く。鈴蘭は膿で晴れたところに針を差し、膿を出し、小栗を助けた。村人の男たちは凌雲先生のお陰だと言うが、女たちは…。
「金八金魚」
赤ちゃん連れの若い母親が金八という金魚が気鬱の病に侵されたといってやって来る。金八はもともと色鮮やかな琉金だったのに、色が黒ずんでしまったという。
凌雲と美津は彼女と亭主が営む古着屋に行って調べてみると・・・。
ほとんどのけものたちは環境の変化に馴染めず、問題行動を取るようになったようで、凌雲と美津夫婦はその原因を上手く探っていきます。
ちなみに、うちの弟犬はたまに休日に吠えるという問題行動を起こします。
休日はパパがいるので、何かあるんでしょうねww。
お仙はトラブルメーカーなのですが、美津はそんなこと気にしていませんし、凌雲や飼い主に対する接し方が優しいです。
美津はしっかり者で気のいい女性です。
いつか凌雲先生と本当の夫婦になれるといいですね。
けものたちのこと以外に、凌雲と美津夫婦のことやお仙に押し付けられた子ども、善次のこと、お仙の嫁入り話、女けもの医者、鈴蘭のこと、仔犬たちに厳しい躾をする≪賢犬堂≫の伝右衛門のことなどが書かれています。
悪い人の出てこない、ほっこりしたお話です。
犬の躾のやり方も参考になるかもしれません。
気になる方は読んでみてください。
堂場瞬一 『初心の業 ボーダーズ4』 ― 2025/03/02
SCUとは英語の「Special Case Unit」の略で、「特殊事件対策班」のこと。
メンバーは五人いますが、シリーズ四作目の今回はサブキャップの綿谷亮介が主人公です。
綿谷の父親は元岩手県警釜石警察署長なので、警察官の二代目です。
綿谷は組織犯罪対策部からSCUに異動してきました。

綿谷の父親が脳梗塞で倒れたとの連絡があり、綿谷はすぐに東京から盛岡に飛んだ。
幸い命に別条はないし、認知能力には問題はないが、左足に軽い麻痺が残る可能性があった。
五十一歳の姉の真咲は同じ県に住んでいるとはいえ、車で片道二時間ぐらいかかり、夫のお義母さんも介護が必要だという。
父と母の年寄りふたりの面倒は見てもらえそうもない。
自分の住む我孫子に引き取り、同居すべきなのかもしれないが、父親は自分の家に執着し、家に帰ると言い張っている。
ならば…。
綿谷は四十九歳で、人生の大きな転換期が来たと感じていた。
そんな時に、盛岡で立て籠もり事件が起こる。
立て籠もったのは、菅原大治。
彼は元暴力団幹部で、六年前に殺人容疑で指名手配されていた。
綿谷たちが逮捕できるところまで追い詰めたのに、逃げられたのだ。
綿谷は個人的にも知り合いだということで、説得に入るよう指示される。
なんとか綿谷が菅原を説得し、人質二人を解放させ、菅原の確保という時に、菅原は銃を持った刑事を見て逆上し、銃を撃とうとし、頭を撃たれてしまう。
一命は取り留めたが、話はできない。
綿谷は撃たれた直後に菅原が言った言葉が気にかかった。
綿谷はキャプの結城から岩手県警への期限付レンタル移籍を命じられる。
綿谷は前に所属していた組織犯罪対策部の時に縁のあった暴力団関係者から菅原に関する情報を収集する。
ところが、しばらくして自宅付近で何物かに襲われる。
綿谷は警視庁を辞め、地元に戻るのか。
SCUのメンバーにも異動の話が出ているという。
SCUは解体し、新しい段階にいくのか。
今回は警視庁と岩手県警、千葉県警、大阪府警が関わる事件です。
ひとつのケースとして複数の警察が関わったようです。
綿谷は柔道四段、剣道二段、空手二段、将棋がアマ三段の十一段でしたが、今回、喧嘩五段が加わり、トータル十六段になったそうですwww。
がさつな人かと思ったら、意外と家族思いの細やかな神経の人でした。
お父さんは署長まで務めた人で、息子よりも大きな器の人のようです。
みんなに謎の人だと思われている結城は、今回は美味しい和菓子を作って、綿谷を慰労しました。
次の手作りスイーツは何かが、楽しみのひとつになってます。
さて、次回は結城が主人公なのか、それとも新人さんなのか。
楽しみです。
「ボーダーズ」シリーズの順番
①『ボーダーズ』
②『夢の終焉 ボーダーズ2』
③『野心 ボーダーズ3』
④『初心の業 ボーダーズ4』(本書)
<今日のわんこ>

兄犬は先週の火曜日から下痢気味で、ママとパパを心配させました。
たぶんパパが長く散歩させ過ぎて疲れたのでしょう。
ママは三食、カボチャやサツマイモなどを使い消化のいい餌を作り、お腹の薬を混ぜて食べさせ、やっと昨日から普通の便が出ました。
元気になったので、今日はお散歩に行きました。
ヨーキー弟は兄がいい物を食べていると勘違いして、餌を食べなくなりました。
といっても、後から見ると食べているのですがw。
明日から寒くなるようですが、だんだんと暖かくなるので、そろそろ公園に行けるようになるでしょう。
元気に見えても、お年(犬年齢12歳と10歳、人間年齢では64歳と56歳)なので、気をつけて遊ばせます。
BBCドラマ「Miss Austen」を観る ― 2025/03/03
YouTubeのお勧めに出てきたので、早速、観てみました。
原作はジル・ホーンビーによるベストセラー小説『Miss Austen』で、イギリスでは今年の二月、日曜日に放映されていたようです。
「ミス・オースティン」の主役は作家ジェーン・オースティンの姉のカサンドラです。

「エピソード1」
1830年、ジェーン・オースティンが亡くなってから10年以上が経った。
カサンドラのところに、ジェーンと彼女の友人、エリザの娘、イザベラ・ファウルから手紙が届く。
父親のフルウォ-・ファウルが危篤状態だというのだ。
カサンドラはすぐにキンベリー村に駆けつける。
もちろんイザベラの力になりたかったこともあるが、他の人の手に渡る前にジェーンがエリザに宛てた手紙を探したかったのだ。
フルウォーが亡くなった後すぐに彼の跡を継ぐ牧師がやって来た。
妻が一ヶ月以内に4番目の子を出産するので、牧師館を二週間後に牧師館を明け渡すように言いに来たのだ。
イザベラにカサンドラは姉たちと暮らすように助言するが、イザベラは気乗りしないようだ。
イザベラの叔母であり、ジェイムズ・オースティンの妻であるメアリーは、ジェーンだけでなく亡夫のジェイムズの伝記を書く時に役立つから、エリザの個人的な手紙を取っておくようにイライザに言ったとカサンドラに告げる。
カサンドラはこっそりとジェーンの手紙を探す。
見つけた手紙を読むうちに、昔のことを思い出す。
カサンドラはトム・ファウルからプロポーズされる。
しかし、承諾した後にトムは一年間、西インドに行くということを知らされる。
結局、トムは船上で黄熱病にかかり、亡くなってしまう。
「エピソード2」
失意のカサンドラを兄のエドワードはケントにある屋敷に招く。
だが、義姉のエリザベスはカサンドラを体のいいベビーシッターのようにしか思っていないことがわかり、早々にカサンドラは屋敷から去る。
カサンドラはイザベラの姉、メアリージェーンとエリザベスに会いに行く。
メアリージェーンは剥製が飾られている不気味な家に住んでいた。
エリザベスは子どもを預かる仕事以外に、リダーデイル医師の助手をしていて、病気が移ったら大変だと、ろくに話もできず、追い帰される。
屋敷に戻るとメアリーが来ていて、エリザの机をあさっていた。
カサンドラがイザベラとメアリーとお茶をしていると、メアリーが急にカサンドラが昔、浜辺で出会った男性のことを話し始める。
カサンドラは気分が悪くなり、部屋に戻る。
カサンドラは家族でシドマウスに来ていた。
彼女はドレスショップに母親を迎えに来たヘンリー・ホブデイという男性と出会う。
偶然に何回か出会ううちに、カサンドラはヘンリーのことが好きになる。
ジェーンも彼はカサンドラのことが好きだというが、カサンドラは頑なに違うと言い張る。
その夜、カサンドラは高熱を出す。
「エピソード3」
イザベラは高熱を出したカサンドラの看病をする。
メイドのダイナはリダーデイル医師を呼びに行くと言うが、イザベラは行かせない。
ダイナから聞き、牧師館にリダーデイル医師が来てカサンドラを診たいと言うが、イザベラは断る。
高熱の中、カサンドラは昔のことを思い出している。
ある日、ヘンリーがやって来て、カサンドラを散歩に誘う。
浜辺でヘンリーはカサンドラの手を取り、ひざまづき、プロポーズする。
イザベラとダイナは教会堂にいるカサンドラを見つける。
またメアリーがやって来て、手紙のことを聞かれるが、どこにあるのか知らないとカサンドラは答える。
ジェーンとカサンドラはメニーダウンにあるビッグ姉妹の屋敷に滞在していた。
そこでジェーンはハリス・ビッグ=ウイザーにプロポーズされる。
最初はプロポーズを受けたのだが、翌日、断る。
兄のジェームズとメアリー夫妻がやって来る。
両親たちが住んでいる家は、両親と妹たちが住むには大き過ぎるだろうから、これから家族が増える自分たちが住みたいという。
ジェーンは小説を書き終わり、出版社に送る。
両親とジェーン、カサンドラはジェームズたちに家を譲り、バースに行く。
ジェーンは横になることが多くなる。
そんな時に、『Susan』が出版されるという手紙が来る。
大喜びする家族だったが、父親が倒れてしまう。
カサンドラはイザベラの姉、エリザベスのところに行き、彼女にイザベラの未来のために援助してほしいと頼む。
カサンドラは彼女とリダーデイル医師が結婚すると思い込んでいたが・・・。
「エピソード4」
カサンドラはリダーデイル医師とのことをイザベラに聞く。
プロポーズされたが、彼の母親が召使いだったので父親が許さず、断ったとのこと。
イザベラは彼女の姉、メリージェーンといっしょに住むことにし、家を探し始める。
カサンドラは自分の家に戻ることにする。
父が死亡してから、母とジェーン、カサンドラの三人の経済状況は切迫し、より小さい家を借りることになる。
ジェーンは小説が売れず、自分は役立たずだと嘆く。
イザベラとメリージェーンの好みが合わず、家はなかなか決まらない。
新しい家に落ち着いたカサンドラに会いに、ヘンリー・ホブデイがやって来る。
彼は再びプロポーズをするが、カサンドラは妹のために自分がここにいなければならないと言って断る。
兄のエドワードの妻、エリザベスが亡くなる。
カサンドラはいっしょに住まないかと誘われるが、母とジェーンといっしょにいるのが自分の務めだと断る。
しかし、近くのコテージに母とジェーンと彼女が住むことを提案する。
やっと家が決まった帰り道で、カサンドラとイザベラはリダーデイル医師と出会う。
彼は別の町で職を得、町を出て行くという。
イザベラにジェーンの本『説得』を朗読するカサンドラ。
部屋の外で朗読を聞いていたメイドのダイナはわざと階段から落ちる。
カサンドラはイザベラに急いでリダーデイル医師を呼びに行くように頼む。
医師はすぐにやって来て、ダイナを診る。
治療を終えたリダーデイル医師は帰ろうとするが…。
『分別と多感』が出版され、喜ぶジェーンたち。
それから次々に本が出版されるが、ジェーンはだんだんと体調が悪くなる。
家に帰るカサンドラにダイナは一通のジェーンの手紙を渡す。
カサンドラはメアリーにsettle(木製の長いすで、床から座部までが引き出しになっている)の中は探していないので、その中に青いリボンで括ったジェーンの手紙があるかもしれないと告げる。
カサンドラは別れを告げ、一人、コーチに乗る。
ダイナから渡された手紙はジェーンがエリザに書いた最後の手紙だった。
家に戻ったカサンドラは…。
このドラマはYouTubeで見られますが、日本語の字幕がないので、英語でもいいと思う方は見てみてください。
お勧めです。
私が書いたエピソードの内容が間違っていましたら、教えていただけるとありがたいです。
「Miss Austen」Episode.1-4
カサンドラはジェーンの手紙の多くを燃やしたそうです。
それは何故なのかが「文学ミステリ」になっているといいます。
このドラマは姉妹愛の観点から描かれ、「主演のキーリー・ホーズは、カサンドラの行為を「高潔な判断」と評価」し、「プライバシーを守り、作品そのものに注目してもらうための愛情の表れだったと解釈」しているそうです。
脚本家アンドレア・ギブはこのドラマを「フェミニスト作品」としているそうです。
ジェーンたちの時代は、女性は結婚しなければ財産権もなく、夫や兄弟、父親に依存せざるおえませんでした。
父親と暮らしていたイライザは父が亡くなると、他に三人の兄弟がいましたが、姉たちと暮らす以外の選択肢はなかったようです。
ジェーンもカサンドラも同じような境遇でしたが、兄たちが援助してくれただけましだったようです。
今年はジェーン・オースティン生誕250周年だそうです。
ジェーンは1775年12月16日にイギリスのハンプシャー州スティーブントンに生まれています。
どんな生誕祭が行われるのでしょうか。
見に行きたいです。
オースティンの作品は映画やドラマにもなっているので、本を読むのは…と思う方は見てみてください。
<映画>
「プライドと偏見」(キーラ・ナイトレイ主演)
「エマ」(アニャ・テイラー=ジョイ主演)
「いつか晴れた日に」(エマ・トンプソン主演)
「説得」(ダコタ・ジョンソン主演)
「ジェーン・オースティン 秘められた恋」(アン・ハサウェイ主演)
「マンスフィールド・パーク」(フランシス・オコナー主演)
<ドラマ>
「高慢と偏見」(ジェニファー・イーリー主演)
「ジェーン・オースティンの後悔」(オリヴィア・ウィリアムズ主演)
「説きふせられて」(サリー・ホーキンス主演)
「ノーサンガー・アベイ」(キャサリン・シュレシンガー主演)
「ジェーン・オースティン 秘められた恋」と「ジェーン・オースティンの後悔」以外は見ていると思います。
お勧めはドラマの「高慢と偏見」です。ダーシー役のコリン・ファースがいいんですよww。
エマちゃんも可愛いです。
「デュオ1/ 2のピアニスト」を観る ― 2025/03/05
実在するフランスのダイアン&オードリー・プレネ姉妹をモデルにして作られた映画です。
原題が「Prodegieuses」。「驚異的な、素晴らしい」とかいう意味です。

クレール・ヴァロアとジャンヌ・ヴァロアは幼い頃からピアノを習い、ピアニストになることを夢見てきた。
父親のセルジュは何事も一番になることに価値を置く人で、娘たちがコンテストで二番になったことに不満を持ち、夜にできる仕事に転職し、日中、娘たちをしごくことにする。
そのかいもあり、クレールとジャンヌはドイツの名門カールスルーエ音楽院に入学する。
しかし、入学後のオーディションで、あがり症のジャンヌは実力を発揮できず、姉のクレールとは別のクラスになる。
この時、レンハルト教授はオリジナルがいるのにコピーはいらないなどと言う。
レンハルトは技術を重んじる教え方をする。
彼の厳しい練習に何とかついていこうとするクレールだったが、突然、手首に痛みが出て、病院で腱鞘炎と診断される。
しかし、次のコンサートでソロに抜擢され、無理を重ねる。
クレールが練習するたびに下手になっていくことに我慢できなくなったレンハルトはジャンヌが弾くのを聞いて、クレールの代わりにジャンヌにソロを弾かせることにする。
父親に手首のことがばれ、病院で詳しい検査をすると、遺伝性の難病で、ジャンヌも発病する確率が90%以上あることがわかる。
ジャンヌにそのことを隠していたが、やがてジャンヌも発病してしまう。
二人は音楽院を辞め、コンサート会場で働き始める。
ピアノへの思いを捨てきれず、終演後、二人は舞台にあるピアノを弾き始める。
やがて二人は痛みが出ないような弾き方を考えていく。
二人がピアノを諦めていないことに気づいた母のカトリーヌは音楽院に行き、娘たちを再入学させてくれるように頼む。
一端は断られるが、学校のスキャンダルを公にすると言うと、あっさり申し出は受け入れられた。
レンハルトは指揮者にピアニストの変更を訴えるが、拒絶される。
レンハルトはジャンヌは必ず失敗すると思い、自分の愛弟子を待機させることにする。
クレールとジャンヌはフィッシャー先生の助けを借り、二人で手分けして、二台のピアノを使い、曲を弾くことにする。
コンサート当日、出番が近づくが、クレールが現れない…。
双子という設定ですが、あまり似ていないと思っていたら、双子ではありませんでした。
二人はフランスの小さな村で育った同級生で友人なのだそうです。
初めて男性と付き合う時の初々しさが出ていたので、年齢が30代と聞き、びっくりしました。
演技がうまいんですね。
コンプライアンス的にどうなのというところがありました。
日本なら即、首です。
レンハルト役の俳優さん、無駄にイケメンですわww。
両親の叶えられなかった夢を託された子どもたちは大変ですね。
彼女たちがその重みに耐えられたのは、両親からたっぷり愛情を与えられているのがわかっていたからでしょうね。
お母さん、娘たちのために戦う姿が素敵でしたよ。
よくあんな時にあれを出しましたね。
気になったのは、お父さんが一番になれと言っていることです。
娘は二人いるんですけど。
どちらかが一番になると、もう一人はなれないんです。
なれなかった方のことを考えていないんでしょうかね。
病気になったから、二人で弾くようになったんですよね。
そうじゃなければ、二人の関係はどうなっていたんでしょうねぇ。
スポーツと芸術は違うということが、ひょっとしてお父さんはわかっていないのかしら。
レンハルトとお父さんは同じ穴の狢ですかね。
男と女が古風なステレオタイプに描かれているのが気になりました。
「コーダ あいのうた」のプロデューサーが作った映画だそうです。
コミカルな場面や突っ込みたくなる場面がけっこうあり、感動とまではいきませんでしたが、それなりに楽しめる映画でした。
流れているピアノ曲はヴェートーベンのピアノソナタ第17番「テンペスト」第3楽章のようです。
新川帆立 『目には目を』 ― 2025/03/06

土木作業員、少年Aの死体が寮の部屋で発見された。
容疑者はすぐに見つかった。自首したのだ。
容疑者の娘は少年Aに殺されたが、少年Aは十五歳だったので、少年院に一年三カ月入っただけで退院していた。
人を殺して、たった一年三カ月入っただけで、許されるのはおかしい。
死には死をもって償ってもらう。
そう思った容疑者はインターネット上で少年Aの情報を集め、Aと同じ時期をN少年院ですごした少年Bからの情報提供でAの所在を特定し、殺害したと語ったという。
裁判で犯行動機を聞かれ、容疑者はハンムラビ法典の「目には目を」を引用した。
そのため被害者家族が加害者に復讐した稀有な例として、この事件は「目には目を」事件と呼ばれるようになる。
フリーのルポライター、仮谷苑子は他の多くの少年は罰を受けていないのに、なぜ、少年Aだけが殺されたのか。少年Aは運が悪かったのか。あるいは殺されるだけの事情があったのかという疑問を持ち、「目には目を」事件の関係者の証言をもとに、少年法のベールに包まれた事件の真相を解明しようと思った。
少年Aと同じ時期にN少年院ミドリ班にいた少年は六人。
①大坂雅也(仮名):先輩に命じられ、名前も知らない少年に暴行を働き、翌朝、少年は死亡。弟が子役で有名だった。目立ちたがり屋。少年院が楽しかったという。
②堂城武史(仮名):中3の時に十歳ぐらいの女の子をトイレに連れ込みいたずらしようとするが、叫ばれたので殺す。IQ76。「根は優しい」と幼なじみはいう。
③小堺隼人(仮名):受験に失敗し、自殺しようとして誤って母親をナイフで刺してしまう。自分は利口で天才ゆえ、生きづらいと思っている。
④進藤正義(仮名):14歳で特殊詐欺の受け子で逮捕されるが不処分。中学の女子更衣室に隠しカメラを仕掛け盗撮し、保護観察処分。18歳で暴力団員に金を払えと恫喝され、大きな屋敷に盗みに入り、家主に見つかり逃亡し、窃盗未遂で少年院に入る。大声で話し、社交的だが、虚言癖があるという。
⑤雨宮太一(仮名):妹の友だちの女の子と男の子を殺し、切り刻んで、つなぎ合わせて民家の前においた元猟奇殺人犯。タワマンに住み、YouTuberをしている。
⑥岩田優輔(仮名):吃音を気にして高校からしゃべらなくなる。醜形恐怖症と男性器が小さいことに悩んでいる。高校1年の夏休みから母親や姉に暴力を振るうようになり、高校2年の時に母に暴力を振るうのを止めようとした姉を殴り、鑑別所から少年院に送られる。姉は未だに植物状態。今は父親と暮らし、話せるようになっている。
この6人のうち、誰が被害者で、誰が密告者なのか。
仮谷苑子の隠された意図はなんなのか。
意外な事実が明らかになる。
各少年たちの話を読んでいくと、この子たちとの意思の疎通は難しいだろうなと思いました。
厳しい見方をすると、自分がしたことを客観的には見られないようですし、被害者と被害者家族に対して悪いことをしたとか罪を償おうとか、それほど思っていないように感じました。
少年院の職員の方々は大変ですね。
読んでいて、どうしても私にはわからなかったのが、少年Aの母親です。
少年Aは少女を殺しているんですよ。そうでなければ、少女の母親は少年Aを殺さなかったはずです。
それなのに、そのことは棚に上げ、「じぶんの息子が学校で虐められていた。ストレスがたまっていたんだ。少年院で自分の罪と向き合っていたはずだ。殺さなくてもいいじゃないか。これからというときだったのに」とか言っています。
そして、加害者には手が出せないので、「自分の子を裏切った情報提供者に報いを受けさせなくてはならない」と思うのです。
なんかこの論理の飛躍が私には理解できませんでした。
今までの新川さんとは全く違う作品です。
興味がある方は読んでみてください。
<今週のおやつ>

ガトーフェスタハラダのグーテ・デ・レーヌとグーテ・デ・ロワ プレミアム ノワゼットです。
グーテ・デ・レーヌは薄くスライスしたガトーラスクでレーズンクリームを挟んだもの。
ノワゼットの方はクーベルチュールミルクチョコレートにノワゼットのペーストを練り込んだものをガトーラスクにコーティングしたもので、すごく甘いです。
河津桜とわんこ ― 2025/03/08
暖かくなったと思ったら、また寒くなり、今晩から雪が降りそうだとか。
体がとまどっているみたいです。

先週、お腹の調子が悪かった兄は元気になったので、お散歩を解禁すると、次の日に食べた朝食を吐き、う◯ちが緩くなりました。
それでも元気なので、様子見です。
お腹の調子がよくならないようなら、獣医さんに行こうと思います。
犬も12歳になると、元気そうでも体は正直です。
人間も同じです。
おかしなことに、先週、暖かくなったのに、体が寒いのです。
寒いのに暑く感じることはよくあるのですが、暖かいのに寒く感じるなんて、自律神経の乱れなのかしら?
ヨーキー弟といつもと違うところにお散歩に行きました。

風が強くて、耳のたてがみが風に吹かれています。

弟の方がお腹が緩くなることが多かったのに、この頃、餌がいいのか、快調です。

いつもは行かない大きな公園の方へ行ってみました。
河津桜(だと思う)が満開でした。
弟にお座りをさせ、写真を撮りました。

人がいたので、急いで撮ったので、こんな写真になってしまいました。
リードが邪魔。せっかくいいポーズを取っているのにねぇ。
もっとしゃがんで、下の方から撮った方がよかったですね。
若竹七海 『まぐさ桶の犬』 ― 2025/03/09

昨日とは別の道でお散歩をすると、神社に河津桜が咲いていました。

意外とどこでも見られるようになったのですね。

吉祥寺のミステリ専門書店<MURDER BEAR BOOKSHOP>のアルバイト兼<白熊探偵社>の調査員である葉村晶は、ご近所さんの奥山香苗の娘に無理やり頼み込まれて、香苗の父方の叔母の三十三回忌の法要に、香苗のボディガードとして参加することになる。
香苗は身近な人間にはワガママを通すのに、親戚たちにはいい顔をしたがるという。
どうも親戚連中はそれにつけこんでいるようだ。
法要がおわったので、しつこい親戚連中から逃れ帰ろうとする葉村たちは白いワゴン車の事故に巻き込まれる。
香苗はかすり傷ひとつ負わなかったが、葉村は額を強打し、たんこぶができた上に、乗っていった<MURDER BEAR BOOKSHOP>のワゴン車は潰れてしまう。
実質七時間働いたのに、「ボディガード料」はたった二万円という安さ。
店長の冨山泰之から「葉村はヤキが回ったんじゃないか」と言われる始末。
法要の間に香苗の屋敷に窃盗団が浸入し、家財道具を盗もうとしていたというオチがあったが、何かおかしいと思った葉村は前もってセキュリティー会社に注意喚起をしていたので、未然に防げたのは幸いだった。
この後、香苗から呼び出され、一応謝られたが、本題は国分寺の叔父様が葉村に頼みたいことがあるということだった。
国分寺の叔父様こと乾嚴は魁星学園の創始者・乾聡哲の孫で、学園で教鞭を取る傍ら理事もしていたという。
現在は世田谷の介護付きシルバーマンションに入っている。
彼から葉村は秘密厳守で稲本和子という元養護教諭の女性を探して欲しいと頼まれる。
コロナ禍で三年ぶりに調査の仕事をする葉村晶だったが、一筋縄ではいかない関係者たちの間で翻弄される。
そしてまた満身創痍という、誠についていない葉村晶だった。
葉村晶も五十代に突入し、老眼が進み、「保湿剤や日焼け止めの量が増え、目薬、皮膚炎、湿布薬の消費が激しく」なり、「痛む膝をかばうためのサポーターや、歩きやすい靴に動きやすい服、ヘアマニキュアから白髪染め。いずれ補聴器や入れ歯、場合によっては人工関節なんてものまで必要になるかもしれないが、わたしはその費用を捻出できるんだろうか」なんて書いてあるので、笑ってしまいました。
ホント、笑い事ではないですねぇ。明日は我が身ですわwww。
それなのに、葉村晶は頑張ります。
なんとかならないのでしょうか、若竹さん。
毎回、痛い目にあうなんて、かわいそすぎますよ。
とにかく出てくる人が多過ぎて、途中でわけがわからなくなるので、気をつけて下さい。
私のような人は、最初から家系図を書いてみるといいでしょう。
私は読み終わってから書いてみましたが、後からじゃ意味がなかったです、笑。
「まぐさ桶の犬」って初めて聞きました。
本の中では、「自分には役に立たないが、誰かがそれでいい思いをするのは絶対にイヤだ、とその「役に立たないもの」を手放さずに意地悪や嫌がらせをし続けるひとを「秣桶の犬」と呼ぶ」そうです。
何故か葉村晶の周りには、人の話を聞かないで、仕事を押し付けるワガママな人ばかりです。
何ででしょうね。
毎回楽しませてくれる葉村晶シリーズです。
シリーズの順番
①『プレゼント』
④『暗い越流』
⑤『さよならの手口』
⑥『静かな炎天』
⑦『錆びた滑車』
⑧『不穏な眠り』
⑨『まぐさ桶の犬』(本書)
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