大山淳子 『猫弁と透明人間』2013/07/19



30回もお見合いでお付き合いを断られた天才弁護士・百瀬太郎は、やっと婚約までこぎつけた。
しかし、人間の心の機微にうといので、なかなか彼女との仲は深まらない。

ある日、透明人間と名乗る人物から依頼メールが来る。
タイハクオウムが心配だから見てきて欲しいと言うのだ。
このメールを発端に、色々と事件は起こり、透明人間を探しに百瀬は駆けずり回ることになる。

ふと思ったのは、これってミステリーだったんですね。
なんかミステリーっぽくないです。
この本、テレビドラマになっていたそうですが、人気があったんでしょうか?
前回も書いたように百瀬と彼を取り巻く人々を楽しみに読む本です。
猫弁というわりに、猫は活躍しませんがね。


<今日のわんこ>
我が家の犬は甘えん坊。
今日もかまってもらおうと、ケージの中で暴れて、クッションをトイレの上に乗せ、その上にオシッコをしていました(怒)。
怒られても、すぐに忘れてはしゃいでいます。


かまって欲しい時にふせをするようになりました。
かまってもらえないと、相変わらずカラビナをかじっています。


カラビナって美味しいのかしら?

加納朋子 『レインレイン・ボウ』2013/07/17



高校を卒業してから七年。
ソフトボール部の一人が心不全で亡くなった。
もともと彼女は心臓が悪かったのに、ソフトボール部に入部したのだ。
会社は毎年健康診断をして、彼女の体のことを知っていたはずなのに、毎日夜の九時、十時まで働いていたという。
元部員がそれぞれに彼女の死の感慨にふけっている時に、彼女と一番仲のよかった子が行方不明になる。
彼女は何故姿を隠したのか。

25歳の女性たちが、それぞれの人生を歩き始めています。
同じ高校に通っていたのに、歩く道はそれぞれ。

自分の25歳の頃のことを思い出しても、これほどのことは全くなかったです。
運動部に入っていなかったからかもしれません。
夫は高校時代にバレーボール部に入っていました。
今でもOB会のようなことをやっているようで、名簿や集まりの連絡が来ています。
すごいですね。

ミステリー仕立てですが、それぞれの女性の心情が緻密に書かれています。
七人の中に自分の姿を見つけるかもしれません。

加納朋子 『七人の敵がいる』2013/07/14




いつもほんわかした心が温かくなる小説を書く加納さんですが、今回の本はまったく違った話で、びっくりしました。
作家ですから、書こうと思えばどんな本でも書けるんですね。

テーマは簡単に言うと子供が小学校に入学した、仕事を持つ母親の奮闘記。
子供を持つ親の大変さは頭では理解していたつもりですが、想像以上でした。
PTA、学童保育所父母会、自治会役員などなど、色々とやらなければならないことがあります。
子供を人質にとられているようだということを言っている人がいますが、本当にそういう感じですね。
色々と忙しいのはお互い様ですが、だからといって何もやらなければ対立も起こります。
私なんかは人づきあいが下手ですから、今以上にストレスが貯まってしまい、精神的におかしくなってしまうかもと思いました。

これからお子さんが小学校に入学する方や現在PTAなどの人間関係に悩んでいる方が読むと、そうそうと同調したいところも多いし、今後の参考になると思います。
少子化の進む現在、昔に比べると子供にまつわる親の負担が増えているのかもしれませんね。
子供を持つ人のために、なんらかの手助けができるようになればいいのですが。
高齢者の方々の力を借りることも必要でしょうね。
子供は社会で育てる時代ですね。


矢崎存美 『ぶたぶた洋菓子店』2013/07/13



ぶたぶたシリーズの最新作です。
今回のぶたぶたさんは、洋菓子店「コション」のパティシエになります。
「コション」とはフランス語で「ぶた」という意味だそうです。
表紙の絵はぶたの顔形をしたマカロンです。
かわいいですね。

「コション」は地元で有名な洋菓子店。
パティシエを見たことのある人が誰もいません。
高校生の三人組、河合優流、岸利融、森朔也は『全日本高校生スイーツ競技会』にでることにしましたが、自分たちの作るものに自信がありません。
そういうわけで、「コション」のパティシエに協力してもらいたいと思い、パティシエに会いにいきますが、会わせてもらえません。
仕方がないので、アトリエから店にお菓子を運んでいる車の後をつけていき、やっとパティシエに会うことができました。
そう、パティシエはぶたぶたさん。
彼の姿を見ると、そちらの方が話題になってしまい、お菓子の味がちゃんと評価されないのではないかとぶたぶたさんは思って自分の姿を隠していたのです。
そろそろ表に出たいと思っていたぶたぶたさんは、喜んで高校生たちに協力することにします。

出てくるマカロンとマドレーヌ、ラスクが食べたいですわ。
本当においしいマドレーヌって、ちゃんとした洋菓子店のものじゃなきゃならないような気がします。
私の好きなものは、バターの味がしっかりしたものです。
ミルクと一緒にというよりも、私はカフェオレと一緒に食べたいです。
明日、マドレーヌを買いに行こうかしら?

加納朋子 『ささやさら』2013/07/11



夫が交通事故であっけなく亡くなり、うまれたばかりの息子と残されたサヤ。
彼女は儚げで頼りなく、世間知らずでした。
彼女には頼りになる身内はいなく、夫の実家は映画会社を経営するような家で、サヤから息子を取り上げようとします。
サヤはそんな夫の家族から逃げるように、おばから譲られた家のある佐々良へ引越します。
そこにはおせっかいやきのばあさん連中がいました。
夫はそんなサヤが心配だったからか、死んでも成仏せず、サヤになにか起こりそうな時に、人にのり移って来てくれます。
夫は成仏できるのでしょうか。

加納さんらしい、ハートウォーミングな、浮世離れした話です。
彼女の本は人を信じられなくなった時に読むと、元気づけられるでしょう。
図書館に彼女の本が何冊かあったので、しばらく読んでみようと思っています。




幼い頃からずっと傍においてある犬のぬいぐるみが、何故か暴れる時に振り回され、噛みつかれています。

昨日、白い泡を口から出していました。
ネットで調べてみると、どうも胃液らしく、お腹が空いた時に出すことがあるそうです。
その後、餌をやるとぺロッと食べていましたし、元気でした。
今日は昨日よりも元気いっぱいです。

中性脂肪を減らすために、この頃、医師に勧められたキョウリやトマトなどの野菜をおやつにあげるようにしています。
ひょっとすると野菜を消化できないのかもしれません。
しばらく野菜をあげるのをやめて様子をみてみます。

大山淳子 『猫弁 天才百瀬とやっかいな依頼人たち』2013/07/09



結婚紹介所の紹介で30回もお見合いをし、30回断られた弁護士、百瀬太郎。
彼は『猫弁』と言われている。
前の弁護士事務所で世田谷猫屋敷事件を扱い、ワイドショーに取り上げられ、判決が新聞の第一面を飾ったためだ。
この事件以降、百瀬にペット控訴の依頼が押し寄せるようになる。

百瀬はちょっと人とは違った生い立ちがあり、底抜けのお人良しのため、前の事務所から無理やり独立させられ、依頼人が来るたびに何故か猫を押し付けられ、今や事務所が猫屋敷の様相になっている。

さて、今回の依頼はペットではなく、霊柩車の盗難事件だ。

どことなく頼りなげではなるのですが、不思議な優しさを持った百瀬と、何やら変った周りの人々が織り成す心暖まるお話です。

大崎梢 『クローバー・レイン』2013/07/06

国立の大学通りで朝顔市が開かれています。
昨年は四色咲く鉢を一つ買ってきて、種を取りました。
種を庭のある人にあげたところ、少し茎が出てきたそうです。
今年は四色咲く日本の朝顔と水色一色の西洋朝顔の鉢を一つずつ買ってきました。
どういう花が咲くのか楽しみです。



朝顔市は明日もやっているので、お暇なら行って一鉢(1500円)買ってみてください。



お仕事本です。
『プリティが多すぎる』では雑誌、この『クローバー・レイン』では単行本という風に、同じ出版社でも色々なお仕事があります。

千石社の編集者、工藤彰彦は今までそれなりに仕事をこなしていました。
しかし、ひょんなことから彼の編集者としての人生を変える小説に出会います。
一つの小説が出版されるまで、色々なことがあります。
そのことを一つずつクリアして行って、やっと出版にこぎつけるのです。
彼のこれはと思った小説は千石社では出せないとまで言われるのですが、彼の一途さが周りを動かしていきます。

ちょっとした恋話もあり、編集者の仕事を知るのにいい本です。

自衛隊本2冊2013/07/05

7月に入って、何故か管理画面が表示されなくなりました。
仕方ないので、古いパソコンをひっぱりだしてブログを書いています。
どうしたらいいのか、考え中です。



テレビドラマでやっていたのが、有川浩の『空飛ぶ広報室』。
といっても、私はまったく見ていません。
ドラマはおもしろかったんでしょうか?

航空自衛隊の戦闘機パイロットだった空井は、交通事故の足の怪我のためパイロットを続けることができなくなり、ブルーインパルスの一員になるという夢をあきらめ、航空自衛隊航空幕僚監部広報室へと転勤になります。 
空井に割り当てられた始めての仕事は、テレビ局の女ディレクターの子守役。
彼女は一筋縄ではいかない、面倒な女でした。

パイロットになれなかった男と、報道記者からはずされた女。
夢が遠ざかった時に、自分たちの職業人としての立ち位置をどう作り上げていくのか。
これもまたお仕事本ですね。

各自衛隊の性質を表す標語なんかが書いてありましたが、本当なんでしょうか?
陸幕~『用意周到・動脈硬化』
海幕~『伝統墨守・唯我独尊』
空幕~『勇猛果敢・支離滅裂』

まったく知らなかった自衛隊が、顔を持った人として迫ってきます。



航空自衛隊の音楽隊でアルトサックスを吹いている、音大出身の鳴瀬佳音(なるせかのん)が主人公の青春物語です。

音楽隊に入るには、ちゃんと試験があって、当たり前のことなのですが、自衛隊員としての訓練もあるのです。
チャリティーコンサートを色々なところで行っているので、機会があったら一度聞いてみたいものです。
とはいっても、吹奏楽はあまり好きじゃないのでどうでしょう。

私としては、福田さんがこのような話を書いたということが不思議です。

2冊とも、自衛隊で働いている人を知るにはいい本です。

高村薫 『冷血』2013/06/28



『冷血』といえば、アメリカ文学が好きな人はトルーマン・カポーティの小説を思い出すでしょう。
カポーティの本は読んでいませんが、関係があるのかどうかと思っていたら、文藝春秋webに高村さんのインタビューが載っていました。
やはりカポーティの本が頭にあったようです。
カポーティは、カンザスで起こった実際の家族四人の殺人事件を五年間かけて取材し、執筆しました。
この高村さんの『冷血』は2002年の東京を舞台にしています。

携帯電話の求人サイトで知り合った男二人がATMを襲撃し、コンビニ強盗をし、最後に歯科医一家四人を惨殺する。
何故彼らは犯罪を犯してしまったのか。
彼ら二人と会い、手紙をやり取りするようになった刑事合田は、彼らの心の闇に迫ろうとするが…。

はっきり言って、読むのが辛い本でした。
内容が頭に入ってこないのです。
犯罪を犯す二人が、全く身近に感じられません。
世の中で起こる犯罪が、ひょっとしたら彼らのような人たちによりなされているのでしょうか?
何故犯罪が起こるのか。
人の心の奥ははっきりしないもので、こうだからという断定的なものはありえないのでしょうね。

原田マハ 『ジヴェルニーの食卓』2013/06/26



”読む美術館”の第二弾。短編集です。
kindle版があったので、買ってみました。
紙の本にはない、絵の写真がついてきました。でも、kindleって白黒なのよね。意味ないじゃん。
仕方ないので、iPhoneで絵を見ました。
私は『楽園のカンヴァス』よりも、こちらの本の方が好きです。

「うつくしい墓」
晩年のマティスに使えた女性のお話。
絵は『マグノリアのある静物』。
マティスが亡くなった後のことを読みながら涙が浮かんできました。
マティスが設計したヴァンスのロザリオ礼拝堂に行ってみたいです。


「エトワール」
ドガの「14歳の小さな踊り子」からインスピレーションをもらったお話。
この頃の貧しい少女たちのけなげさをドガはどう思っていたのでしょうね。

「タンギー爺さん」
ゴッホの話だと思って読み始めましたら違いました。
画材屋のタンギー氏は貧しい画家たちに、つけで画材を渡していたのですね。
セザンヌにタンギー氏の娘が出した手紙からセザンヌが画家として認められていく様子がわかります。
絵は「りんごとナプキン」。

「ジヴェルニーの食卓」
これはモネのことだと、すぐにわかりますね。
晩年、白内障を患いながらも睡蓮を描いていたモネ。
モネは二回結婚していて、初めの妻、カミーユの死にゆく様子を絵に残しています。
実はこの頃、モネは後に二番目の妻になる人と彼女の子供たちと一緒に暮らしていたのです。
もしかしたらモネの心はカミーユから離れていたのでは。
だからこそ、冷静にカミーユの姿を描けたのではないでしょうか。