山本おさむ 『今日もいい天気 田舎暮らし編 & 原発事故編』 ― 2014/11/03
原発事故から三年以上も経ち、人々の暮らしから忘れられつつある現在、未だ原発からは放射能が出続けています。
これでいいんだろうかという気持ちはあっても、一体、自分になにができるのか、それがわかりません。
日々の暮らしに流されているのが現実です。
山本さんは漫画家だそうですが、どんな作品を描いているのか、全く知りませんでした。
最初に読んだのは、『今日もいい天気 原発事故編』。
この本だけでは彼の中にある怒りや空しさなどを理解できないと思い、彼の描く原発事故前の、のどかな福島の暮らしを味わってみようと思い、『今日もいい天気 田舎暮らし編』も読んでみました。

彼だけではなく、福島に住んでいた人はみな福島の自然は美しいと言います。
彼はたまたま車で東北の温泉に行った帰りに、奥さんの両親の出身地・福里村のオジの家に立ち寄ったことから、軽い気持ちで田舎暮らしをすることにしてしまいます。
都会もんですから、色々と失敗をします。
雪国や田舎に暮らしたことのない人にはわかりませんものね。
しばらくして妻の両親もやって来ます。
山本さんは仕事のこともありますから、東京と福島を行ったり来たりしますが、奥さんと両親は福島で暮らし始めます。

3月11日、山本さんは埼玉の仕事場にいました。
福島の家は原発から70キロ離れています。
それでも奥さんと犬のコタのことが心配だった山本さんは、奥さんに福島から脱出するようにと言います。
埼玉に無事に避難してきた一人と一匹でしたが、もはや福島へは戻れません。
さいたま市で避難生活をすることとなります。
幸いなことに奥さんの両親は原発事故前に福島でお亡くなりになっていました。
埼玉に来てから奥さんは口内炎ができ、不思議なことに犬のコタは事故以来声がでなくなっていました。
コタを被ばくさせてしまったと悩む山本さん。
なんとかして福島に暮らせるようにしようと、自分で除染をしようと奮闘する山本さんでしたが、そう簡単にはいきません。
福島の現実に直面するたびに湧いてくるのは、国や東電、政治家、経済人に対する恨みばかり。
「国や東電はダラダラと時間稼ぎをし、反原発熱が冷め私たちが福島を忘れるのをまっているかのようです。彼らは私たちをなめきっています。「脱原発」を口にしながら再稼働を画策しています。忘れないでください。心に刻んでください。そしてあきらめないで行動してください。私もそうします」
福島のことは決して忘れてはいけないことであると心に刻んでいきたいと思いました。
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