アン・クリーヴス 『白夜に惑う夏』 ― 2021/03/12
「シェットランド四重奏」第二章。シェットランド諸島の夏は白夜の季節。
「昼間はぎらぎらと降りそそぎ、夜になっても消えない光」で「ひとびとは一種の躁状態」におちいるのだそうです。
スコットランドに夏に行った時、夜の9時過ぎなのに明るくて、驚いたことがあります。シェットランド諸島はスコットランドよりももっと北にあり、スカンジナビア半島に近いので、白夜があるのでしょうね。冬にはオーロラが見えるらしいです。
行きたくなりました。
シェットランド署の警部・ジミー・ペレスと画家のフラン・ハンターは付き合い始めたばかりでした。
フランが地元の有名な画家であるベラ・シンクレアと共同展覧会を画廊<ヘリング・ハウス>で開くことになり、ペレスはオープニング・パーティに招かれます。
ベラの甥である売り出し中の音楽家、ロディ・シンクレアがシェットランドのフィドル音楽を演奏し場を盛り上げましたが、何故だか会場にはいつもよりも客がいません。
ペレスは一人の男に気づきます。
彼はベラの自画像やフランの娘の絵を妙に熱心に見ていたのですが、急に床に両手をつき、顔をおおうと泣き出したのです。
ペレスは彼のところに行き、会場から連れ出し、キッチンに連れて行きました。
男は自分の名前もわからなければ、どうしてここにいるのかも覚えていないと言います。
とりあえず会場に戻って彼のかばんを探し、ベラの招待客かどうか確かめますが、彼女は知らない男だと言います。
キッチンに戻ると、その男はいなくなっていました。
翌朝、桟橋近くの小屋で首吊り死体が発見されます。死体は道化師の仮面をかぶっており、それは昨夜の泣いていた男でした。検死により自殺ではなく他殺であることが判明します。
本土から前回の事件でコンビを組んだインヴァネス署の主任警部・ロイ・テイラーがやってきます。
実は彼、前回の事件がペレスの手柄とされたことを面白くなく思っていました。
競争心が強く、じっとしているのが苦手で、ペレスのゆったりしたペースにいらだっていたのですが、一応シェットランドのやり方を尊重していました。
今回もペレスのやり方に我慢できるかしら?
しばらくして、死んだ男が港で道化師のような格好をして、展覧会のオープニングが中止になったというちらしを配っていたことがわかります。
一体彼はなんのために展覧会を妨害したのでしょうか。
ベラに、もしくはフランに恨みがあったのでしょうか。
第一発見者のケニー・トムソンがもう一度死体を見たいと言ってきます。
行方不明の彼の兄のローレンスではないか確かめたいと言うのです。
ローレンスは腕のいい大工で、<ヘリング・ハウス>の改装を手がけていました。
ベラと結婚するつもりでしたが、改装が完了した後に振られたらしく、島から出ていき、連絡が途絶えていたのです。
しかし死体は残念ながらローレンスではありませんでした。
死体の身元確認が難航し、やっと判明かという時に、次なる殺人が…。
発見したのはまたもやケニーでした。
「みんなちょっとずつ秘密をもっている」という島で暮らすうちに、閉塞感ですこしずつ真綿で首を絞められている感じになっていき、感情が爆発すると恐ろしいことが起こるような気がします。
白夜でみんな「すこし頭がおかしく」なっていますしね。
一見とろそうなペレスですが、「動物学者のデイヴィッド・アッテンボローが動物を観察するように、人間を観察」しており、人の話したことを熟考し、矛盾点を見つけ出し、正しい質問をすることで犯人を徐々に追い詰めていきます。
ペレス独自のシェットランド向きの捜査方法ですね。
そんなおっとりとしたペレスですが、部下のサンディには常にいらついています。彼が「緊急時や興奮したときには、いつでも支離滅裂」で、自分から考えて動かないで、いつも指示待ちするからです。
ひどいんですよ。「サンディは二歳児みたいにぐずることができた。ときどき、脳みそのほうも二歳児並みではないのか、とペレスは思うことがあった」なんて書いてあるんです。
唯一のサンディの取り柄はITに精通しているところらしいです。二歳児にはできませんよね。読み進んでいくうちにサンディも成長していくのでしょうね。
頑張れ、サンディ、笑。
冬から夏に行き、次は春らしいです。
実際の題名には四季が入っていません。
『Raven Black』、『White Nights』、『Red Bones』、『Blue Lightning』と黒、白、赤、青の色シリーズです。
ちなみに古代日本にはこの四色しかなかったらしいです。
シェットランドもそうなのかしら?
今週のお取り寄せはクッキーです。
すぐに食べてしまいました。カロリーが恐ろしいですね。
マフィンとかケーキを焼いても量が多く、捨てることになるので、これからはそんなに作るのは止めようと思います。
それにプロの作る方が美味しいもの。
「大丈夫ですよ。僕はママの作るものなら何でも食ベます」と言われても、お菓子は犬にはあげません。
この頃、痩せ気味なヨーキー。カリカリを兄より多くあげてますが、エネルギー消費がいいようです(羨ましいわ)。
ヨーキーはテリア系なので、活発でエネルギッシュな性格の子が多いそうです。
自己主張が強く勝気なのに、臆病な一面もあり、大きな音などを怖がって吼えてしまうそうで、まるで弟のことを言っていますわ。
毛の色がまた黒くなってきました。ヨーキーの毛の色はよく変わりますね。
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