太田愛 『天上の葦』2017/11/01



渋谷駅前の交差点で、老人が空を指さしながら死んだ。
その様子がニュースで流れ、テレビやsnsで話題になった。

興信所を営む鑓水と修司の元に、渋谷の老人、正光秀雄が空に何を見ていたのかを突き止めて欲しいという依頼が舞い込む。
一千万円という報酬のため、修司の反対にもかかわらず借金のある鑓水はその依頼を引き受ける。
一方、刑事の相馬は停職中に、失踪した公安警察官、山波の捜索を命じられる。
調べていくと正光と山波に接点があったことがわかる。

鑓水・修司・相馬の三人のシリーズはこれで三作目。
毎回、追いかけられるのがパターンですが、今回は公安から追いかけられ、瀬戸内海の小島まで行ってしまいます。

戦時中の場面が色々と出てきます。
あの時代、国民はどのように戦争へと導かれていったのか。
今、私たちは同じ轍を踏んではいないのか。
小さな火を小さいうちに消さなければ、その火はいつか大きな火になってしまう。
なんかきな臭い今、考えていかなければなりませんね。

前回同様、物語が上手く一つに収斂していくのがすごいです。